Cornelius新曲×9組の映像作家がコラボ 『AUDIO ARCHITECTURE展』6月開催
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展覧会『AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展』が6月29日から東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催される。
同展では小山田圭吾(Cornelius)が「音楽の構造」に着目して書き下ろした新曲“AUDIO ARCHITECTURE”を作家たちがそれぞれの視点から解釈し、制作した映像作品を展示。稲垣哲朗、梅田宏、大西景太、折笠良、辻川幸一郎(GLASSLOFT)×バスキュール×北千住デザイン、勅使河原一雅、水尻自子、UCNV、ユーフラテスの9組が参加する。
ディレクターを務めるのは中村勇吾。会場構成を片山正通(Wonderwall)、技術監修を遠藤豊(LUFTZUG)、グラフィックデザインを北山雅和(Help!)が手掛けている。
ショーン・オノ・レノンがCorneliusの音楽を「He paints a kind of audio architecture.」と表現した一節を目にしたことで今回の展覧会を考案し始めたという中村は、開催に際し「あるひとつの音楽をもとに空間を構築する試みです。映像・インテリア・グラフィックからテキストまで、空間内のあらゆる要素がひとつの音楽と関係しあい、それぞれが固有性を発揮しながらも、そのすべてが音楽を軸に連動し、調和し続けている。そのような『音楽建築空間』をつくり、体感してみたいと思いました」と述べている。
中村勇吾のコメント
昨年の初夏、二子玉川駅のブックファーストでGINZAという女性誌を立ち読みしていたところ、当時ちょうどリリースされたばかりのコーネリアスのニューアルバムについてショーン・オノ・レノンが語ったエッセイを見つけました。その文章の中で、彼がコーネリアスの音楽を「He paints a kind of audio architecture.」と表現している一節に出会いました。音の建築。まさに言い得て妙!と私はこの言葉をすっかり気に入ってしまい、この言葉を頼りにしながら、あるひとつの展示構成について考えはじめました。それがこのAUDIO ARCHITECTURE展です。
AUDIO ARCHITECTURE展は、あるひとつの音楽をもとに空間を構築する試みです。映像・インテリア・グラフィックからテキストまで、空間内のあらゆる要素がひとつの音楽と関係しあい、それぞれが固有性を発揮しながらも、そのすべてが音楽を軸に連動し、調和し続けている。そのような「音楽建築空間」をつくり、体感してみたいと思いました。
他の領域における表現やデザインと同じく、音楽は、その全体から細部に至るまで周到に設計されたひとつの構築物(アーキテクチャ)であることに違いはありません。ただ、音楽は、目で視るのではなく耳で聴くもの、そこに在り続けるのではなく今この瞬間から過去へと流れ続けていくものです。
このような時間軸上の聴覚体験、という知覚モードの特殊性から、私たちは、音楽を、この視覚中心の空間世界からは遊離した、なにか別種の、特別なもののように感じています。
「音楽について語ることは、建築について踊るようなものだ」という言葉にもあるように、音楽を、音楽以外のメディアによって表現し尽くすことは不可能です。しかし私たちは、それが不可能であるからこそ、敢えてそこに接近しようと試みたり、互いに呼応し合うなにかを見出そうとしてしまうのだと思います。このAUDIO ARCHITECURE展も、そのような願望の歴史の延長線上にあります。
具体的な展示にあたっては、独自の方法論で表現やデザイン活動に取り組み、今回の「AUDIO ARCHITECTURE」というプロトコルを豊かに再解釈して頂けそうな作家やデザイナーの方々にお声がけし、ご参加頂きました。この原稿を書いている時点では、その全貌はまだ見えていないのですが、おそらく、それぞれの参加作家がこの音楽と結ぶ関係や距離は、実にさまざまに異なっていることでしょう。それぞれの固有性が連動し、調和し続ける「音楽建築空間」を、ぜひ一緒に体感してください。