フランクフルト放送交響楽団がアンドレス・オロスコ=エストラーダとのコンビで新たな時代を築くーーチョ・ソンジンとの熱き音の対話
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フランクフルト放送交響楽団が3年ぶりに来日する。音楽監督・指揮には、今もっとも勢いのある指揮者のひとりアンドレス・オロスコ=エストラーダ。ソリストには2015年のショパン国際ピアノ・コンクールの若き覇者、チョ・ソンジンが、フェスティバルホールに初登場。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番をどんな音色で響かせるか。次代を担うピアニストを囲み、懇親会が行われた。
●アンドレス・オロスコ=エストラーダへのインタビュー●
ーーまず最初に、プログラムについて伺います。今回の選曲の決め手は何ですか。
私たちは今回ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を演奏します。この曲は誰もがとてもよく知っている作品で非常に美しい曲だと私は思います。作品中には、良い意味で、とても親しみやすい旋律が溢れているので、誰もがこの曲をどこかで耳にしたことがあるような、懐かしさを感じることができます。また、旋律の多くは、皆さんも口ずさむことができます。こういう点が私がいつも大変好ましく思っていることなのです。
今回、この作品を演奏できること、つまり、作品のテーマや数々の旋律を聴衆の皆さんの前で演奏できることに、大きな喜びを感じます。
ドヴォルザークの音楽は、中央ヨーロッパと密接な関係があります。というのは、彼がブラームスと頻繁に接触していたからなのですが、ドヴォルザークの作品中には、ある意味、彼独自の音楽で表現したブラームスの深い響きが感じられると思います。交響曲第9番は、コントラストや美しさが一杯詰まった素晴らしい作品です。私たちは大阪でこの素晴らしい曲を演奏するチャンスをもてることをとても嬉しく思っています。
ーーマエストロは世界の名高いオーケストラの数々と共演していますが、フランクフルト放送交響楽団の魅力は何ですか。
まず第一に、情熱です。団員たちは、どの演奏会でも、大変な熱意を持って、精魂を込めて演奏します。しかし、同時に、彼らは技術面についても常に最高のレベルを目指しています。そのため、聴衆の皆さんは、完璧な技術に裏付けられた極上のサウンドと、聴き手を音楽の世界に引き込む情熱を併せ持つ、まさに非の打ちどころのないコンサートを楽しむことができます。
ーーこれまでに日本を訪れたことはありますか。もしあるなら日本の印象を、もしなければ日本に期待することを教えてください。
日本にはこれまでに2回来たことがあります。いずれも指揮をするために来ました。日本には素晴らしい聴衆の皆さんがいますし、素晴らしいホールもあるので、私は日本が大好きです。しかし過去2回の来日の際には、私は仕事に追われていたので、日本の色々な都市や、日本という国について、あまり詳しく知る機会がありませんでした。それでも私には、一つ知っていることがあります。日本の聴衆の皆さんが音楽に対して真摯であるということです。つまり、日本の皆さんは、興味を持って、本当に熱心に耳を傾け、心から音楽を鑑賞してくれるのです。これはとても有り難いことです。日本人の暮らし方にも、私は大変興味をそそられました。というのは、日本にはたくさんの極めて近代的なものと、伝統的で歴史と関わりの深いものがあり、それらが混在しているのを目にしたからです。特に、日本人の物腰や言葉のやり取りからは、お互いが相手をとても敬っていることが感じられます。また、私が出会った人たちは、とても寛大であると同時にとても親切でした。日本で演奏したり初めての場所を訪れたりする時に、私が実際、一番楽しみにしていることは、そこにはどんな人がいるか、そして、いかにして自分がその人々と交流するかということです。
ーー今回のツアーに際し、日本の皆さんへのメッセージをお願いします。
最後になりましたが、日本の皆さんには、感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。再び日本にお招きいただき、本当に有り難うございます。私たちが皆さんに素晴らしい音楽とたくさんの感動をお届けできることを、そして皆さんが至極のコンサートを満喫されることを祈っています。私たち一同は、大阪公演をとても楽しみにしています。
●チョ・ソンジンへのインタビュー●
cHarald Hoffmann DG
ーーショパン・コンクールに優勝して
ショパン・コンクールの前は、年間20~30ぐらいのリサイタルをしていましたが、今はその3倍ぐらいさせていただいています。忙しくなって、家にいる時間が年間3、4か月になりましたが、日々の過ごし方は変わりません。
ショパンは大好きな作曲家ですが、これから数年は新しいことにチャレンジしていきたいので、ショパン以外も弾きたいと考えています。
ーー指揮者・エストラーダとフランクフルト放送交響楽団への印象
エストラーダさんとはまだお会いしたことはないのですが、彼の音楽はCDなどで何度も聴いています。ショスタコーヴィチのシンフォニー5番は、柔らかで深く、そして勢いのある演奏をされていました。オーケストラも初共演ですが、韓国での公演を聴きに行った時は、ドイツらしい演奏で素晴らしかったです。
cHarald Hoffmann DG
ーー今回の演奏曲について
ラフマニノフの2番は、6年前に初めて演奏し、これまで6回演奏して来ました。でも、何度演奏しても技術的に本当に難しい曲です。ロシアの雄大さと共に、暗い側面も盛り込まれている曲なので、今回はそこも意識しながら壮大に演奏したいと思います。
ーー今後の活動について
昨年は、ベルリン・フィルと共演する、カーネギーホールで演奏する、という子供の頃からの2つの夢がどちらも叶って、信じられないぐらい幸せでした。今後は、世界各国の様々な会場でコンサートをしたい。それから、ベートーヴェンのソナタを全曲、10年後までに演奏できればと思っています。チャレンジしたい作曲家はほかにもいますが、実は僕が一番尊敬する作曲家はベートーヴェン。小さなモチーフを大きく発展させて素晴らしい芸術にするところがすごい。特に彼のピアノ曲はシンフォニックで、いろんな楽器の音が聞こえるように感じます。ずっと弾いていきたい作曲家です。
ーーリフレッシュはどのように?
旅をしていて忙しく、なかなかリラックスする暇がないのですが、訪れた土地の美味しいものを食べたりするのが好きですね。日本食が大好きなので、日本公演はいつもとても楽しみにしています。お好み焼きやたこ焼きも好きで、コンビニにも行きますよ(笑)。
インタビュー協力: 關智子 (ライター)
イベント情報
フランクフルト放送交響楽団
ピアノ:チョ・ソンジン
6月13日(水)
開演/19:00
曲目/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18
ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95「新世界より」
料金/S 15,000円 A 12,000円 B 10,000円 C 8,000円
お問い合わせ/フェスティバルホール 06-6231-2221