成河が初の一人芝居で全38役に挑む! 舞台『フリー・コミティッド』ゲネプロレポート
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『フリー・コミティッド』のゲネプロの様子
成河(そんは)が全38役を一人で演じるコメディ『フリー・コミティッド』(演出:千葉哲也)が6月28日からDDD青山クロスシアター(東京都渋谷区)で開幕する。初日を控え行なわれた総通し稽古(=ゲネプロ)の様子を写真とともにお伝えする。
インタビューに応じる成河
1999年にオフ・ブロードウェイで世界初演された本作。物語の舞台となるのは、ニューヨークにある四つ星レストランの予約受付室だ。売れない俳優のサムは、予約受付係として働いている。レストランは超人気店で、予約の電話がひっきりなしにかかってくるのだが、同僚は遅刻して職場におらず、サムがすべてを一人で対応しなければならない状況に。次々と降りかかるタスクにサムは、「目一杯、手一杯」ながら、どうにか対応しようとして……。
『フリー・コミティッド』のゲネプロの様子
主人公のサムと、電話をかけてくる様々な老若男女37人、合わせて38役。最大の見所は、なんと言っても、成河が一人でその38役を演じることだろう。
成河本人は、本作の見所について「僕は見所は皆さんそれぞれであってほしいなと思う。本当にくだらないコメディーだったと思ってもいい、何かプライベートの記憶につながるものがあったらそれはそれで素敵だし、38役に圧倒されるのもいい。いろんな角度から楽しんでいただけたら」と語っているが、やはり約1時間50分休憩なし、あくまで会話劇として、たった一人で舞台を進めるのは並大抵なことではないと思う。
「実はもう体がボロボロ(笑)。運動量と肺活量を駆使してやっている。この年で、今自分ができる無茶を散々詰め込んでいただいた」と、成河もその「大変さ」は認めている。
『フリー・コミティッド』のゲネプロの様子
見終わった後に「ドタバタのコメディー」という感想だけではなく、サムの人生やはたまた都会で生きることの意味にまで思いを馳せることができるのは、成河と演出の巧妙な計算があってこそ。
例えば、一人一人のキャラクターの特徴をあえて誇張し、役の切り替えをはっきりと区別している。それはあくまでサムから見たその人物像を表現している。言い換えれば、周りの37人を使ってサムを表現しているということがよく分かる。扮装や小道具で役を切り替えることはなく、芝居だけでその変化を表現しているのが面白い仕掛けだなと思う。
『フリー・コミティッド』のゲネプロの様子
観劇前は、本当に38役なのか、出てくる登場人物の数を数えようと意地悪く企んでいたが、とんでもない。すぐにその会話劇に引き込まれ、数なぞ数えられない。これが一人芝居であることを忘れてしまうほど引力がある舞台だった。成河の芝居の魅力は、「熱量」と「知性」だと常々思っていたが、今回も惜しみなくパワフルでクレバーな芝居を見せてくれた。本当に器用な役者だなと改めて感心する。
『フリー・コミティッド』のゲネプロの様子
作り込まれた舞台装置や電話のベルの音にまでもこだわりが詰まった舞台。
成河は「お客さんが共演者なんだろうと思う。お客さんから活力をいただいて、一緒に作っていけたら楽しい1か月になるんじゃないかな」と話す。7月22日までのロングラン公演。ぜひこの機会をお見逃しなく。
公演情報
■翻訳:常田景子
■演出:千葉哲也
■出演:成河
■企画・製作/主催:シーエイティプロデュース
■日程:2018年6月28日(木)~7月22日(日)
■会場:DDD 青山クロスシアター http://www.ddd-hall.com/
■料金:一般 6,900円(全席指定・税込)
※未就学児入場不可
■問合せ:
■公式サイト:https://www.stagegate.jp/stagegate/performance/2018/free_committed/