映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が12月に公開へ 『この世界の片隅に』に“リンとの交流”など30分の新カットを追加
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(C)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
『この世界の片隅に』の新バージョンとなるアニメーション映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が12月に劇場公開されることが決定した。
『この世界の片隅に』は、こうの史代原作の同名漫画を原作に、アニメ『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督が6年の歳月をかけて映像化したアニメーション映画。第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、戦況が悪化していく世の中で大切なものを失いながらも、日々を前向きに生きる女性・すずの姿を綿密な時代考証をもとに描く。主人公・すずを女優のんが演じたほか、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔ら多くの才能が同作のために集結。音楽をシンガーソングライター・コトリンゴが担当している。
同作は、2016年11月12日に封切られ、爆発的な口コミと共にヒット。同年度のキネマ旬報ベストテンでは『となりのトトロ』以来アニメでは2回目となる日本映画第一位に輝いたほか、日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞など数々の賞を受賞。世界34カ国でも劇場公開されて、海外でも高い評価を得た。今夏も全国各地で再上映が実施され、東京・大阪・神戸・広島・呉ではのんと片渕須直監督による舞台挨拶を予定している。
片渕監督は、原作には映画で描かれていなかったまだまだ魅力的なエピソードを描き足すことによって、主人公のすずだけではない、「さらにいくつもの人生」を描き出したいと考え、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の制作に至ったという。新バージョンは、約30分の新規シーンを追加され、現行版とも一部主題が変わるため、新たな作品として制作。タイトルは片渕監督が提案し、原作者こうの史代氏が快諾したものだ。
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』では、主人公すずと、すずが嫁ぎ先の町で初めて出逢う同世代の女性リンとの交流を描いた、昭和19年秋と昭和20年冬から春にかけてのエピソードを追加。さらに、妹すみを案じて過ごす中で迎える20年9月の枕崎台風のシーンなども収められる。これまでの登場人物の別の側面なども描かれ、心の奥底で揺れ動く複雑な想いが描き出すことで、“より大人な印象のすず”を見ることができるという。
また、特報映像とティザービジュアルも同時に解禁されている。片渕監督自らが制作した特報映像では、『この世界の片隅に』に続いてコトリンゴが歌う「悲しくてやりきれない」の歌に乗せ、リンの横顔が描かれていく。さらには「リンさんをさがして。そう、うちの声が言うのが聞こえた」という、のん演じるすずの声も。
公開決定を受けた片渕監督のコメントは以下のとおり。
片渕須直監督
戦争しおってもセミは鳴く。ちょうちょも飛ぶ。そして、人には人生がある。
それが戦争中であっても。明るくぼーっとした人のように見えるすずさんが自分以外の「世界の片隅」と巡り合うとき、すずさんの中にはどんな変化が生まれるのでしょうか。
すずさんの中にあったほんとうのものを見つけてください。
映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』はテアトル新宿・ユーロスペースほかにて12月全国公開。