君もスパイダーマンになれる!PlayStation4『Marvel's Spider-Man』最速メディア体験会レポート&開発者インタビュー

2018.8.3
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インソムニアック・ゲームズ ジェームズ・スティーヴンソン氏 撮影:梅田勝司

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先日、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)主催によるPlayStation4(PS4)用ソフトウェア『Marvel's Spider-Man(スパイダーマン)』の国内初となるメディア体験会が行われた。ゲームプレイ時間は約1時間で、ゲームスタートから最初のミッションをクリアできるかどうかというパートをプレイすることができた。PS4の機能をフル活用して作成された『Marvel's Spider-Man』がどのようなゲームなのか? プレイレポートに加え、開発を担当したインソムニアック・ゲームズのコミュニティ・ディレクターであるジェームズ・スティーヴンソン氏のインタビューにより、ゲームの魅力をお伝えしていく。

ピーター・パーカーとスパイダーマンの2重生活をゲームで体験

ゲームのメインビジュアル

PS4の性能をフルに発揮して制作されることで話題となっていた『Marvel's Spider-Man』。これまで、国内外を含めて多数の「スパイダーマン」を題材としたゲームがリリースされてきたが、それらはスパイダーマンのみを操作することに主眼が置かれたアクションゲームがほとんどであった。しかし今作は、「オープンワールドアクションアドベンチャー」と示されているとおり、スパイダーマンを操ってニューヨークで起こる事件の解決や暗躍する悪者=ヴィランとの戦いを体感するだけでなく、生身の姿であるピーター・パーカーを操り、その2重生活を味わうことができるのだ。

8年間スパイダーマンとして生きてきたパーカー

この作品でのピーター・パーカー=スパイダーマンは、NYを守る「親愛なる隣人」として8年にもおよぶヒーロー活動をしてきたベテラン。普段は研究機関を持つ企業で働く優秀な科学者であり、スパイダーマンとしてもスーパーパワーの使い方や戦闘技術にも長けた経験豊富な状態で、ゲームをスタートした直後から多彩な能力を駆使して戦うことができる。

爽快なウェブ・スイングでニューヨークの街を移動

摩天楼の中を自在にスウィングして移動 撮影:梅田勝司

物語は、マーベル世界のニューヨークの闇社会で絶大な力を持つキングピンことウィルソン・フィスクを追い詰めるミッションからスタート。キングピンの潜むビルの場所を知ったピーターはスパイダーマンのコスチュームを身に纏いニューヨークの街へ。

NYの街をリアルに細部まで描写している。

ここで、目的地となるキングピンのビルを目指し、摩天楼をウェブ・スイングで移動することになるわけだが、その操作は「R2ボタンを押し続ける」だけ。複数の複雑な操作で戸惑うことなく、華麗でスピーディーな空中移動を味わうことができるのだ。

操作は画面でも指示が出るのでわかりやすく、すぐに慣れる 撮影:梅田勝司

壁にぶつかりそうになればウォール・ランで移動し、ビルの屋上に着地すればパルクールで障害物を乗り越えられる。もちろん、ジャンプボタンなどプラスアルファの操作で、より迅速かつさらに華麗な動きも可能となるが、初心者でも「熟練のスパイダーマン」の感覚を味わえるのが素晴らしく、ニューヨークの名所などがどう表現されているのか各地をじっくりと観に行きたいという気分にもさせてくれる。

パルクールの軽業を使って移動したり戦ったりできる

壁面に張り付くのはお手のもの

ゲームでは、メインミッションの他にオープンワールドという舞台を駆使した、サイドミッションも多数楽しめるようだ。

多彩なスパイダーアクションを堪能

ビルに到着すると戦闘パートに突入! バトルアクションは、いわゆるパンチとキックによるコンボに加え、スパイダーセンスによって敵の攻撃を察知しての回避、そしてウェブ・シューターから打ち出されるウェブを駆使した特殊攻撃を織り交ぜて戦うことになる。

パンチやキックなどの基本技をまずマスターしよう

コンボ技を使えるようになればこのとおり

コンボに関しては、ジャンプボタンを織り交ぜることで空中コンボやウェブでの絡め取る操作を追加するなど、スパイダーマンらしい戦いをこちらもテンポ良く味わうことができる。体験会では試すことができなかったが、ミッションクリアに伴い、新たなハイテクガジェットの追加やスパイダーマンの攻撃バリエーションが追加され、より華麗な戦いができるようカスタマイズできる機能が搭載されている。

また、バトルアクションのもうひとつの特徴は、戦闘環境とウェブを駆使したロングレンジ攻撃。マンホールや机、壁のパイプなどウェブを使ってそれらの構造物をキャッチし、振り回し、ぶつけるというコミックスや映画でスパイダーマンが見せるアクションを体感することができる。

ウェブで棚を引き寄せて倒したり、物を投げたりできる

ジャンプしながらウェブを使って戦闘を有利に運ぼう

ウェブは緊急回避や相手の動きを鈍らすなど、いくつもの特性があるので戦闘時どう組み込むかという部分で戦い方が大きく変わるので、入る敷居は低いが、極めようと思うといろいろと試すことができるディープさも魅力となっている。

科学者であるピーターの行動がスパイダーマンの強化に直結

先に述べたが、ピーターが科学者であることは、スパイダーマンの強化に繋がっていくこともこのゲームも特徴だ。ピーターは、研究者として行動しながら、スパイダーマンの強化アイテムも開発。ウェブ・シューターの強化や、ドローンなどの戦闘に連動したハイテクガジェットなど、ストーリーの進行や条件のクリアによってスパイダーマンをパワーアップできる。今回のメインスーツとなっている赤と青のタイツに白いクモのシンボルが特徴の「アドバンス・スーツ」も、ピーターの行動によって生み出されるようだ。

また、その他にも映画『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』に登場した「アイアン・スパイディ・スーツ」やコミックス『スパイダーバース』に登場した別次元のスパイダーマン「スパイダー・パンク」のスーツをはじめ、さまざまなスパイディ・スーツを手に入れることができるようになるとのこと。

『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』に登場した「アイアン・スパイダースーツ」

コミックス『スパイダーバース』に登場した別次元のスパイダーマン「スパイダーパンク」

今回の『Marvel's Spider-Man』は、これまでの映画やコミックスで描かれたスパイダーマンとは別ユニバースの「スパイダーマン」のストーリーであり、よく知るキャラクターやヴィランたちも、今までとは異なるデザインや設定で登場することも大きな特徴となっている。

ちなみに、マーベル・コミックスの世界には、並行宇宙が存在し、それぞれの宇宙=ユニバースにはさまざまな特性のスパイダーマンがいる。そのスパイダーマンたちは、次元を越えて共闘することもあり、今作のゲーム用のスパイダーマンもそのユニバースのひとつに加わる。そのため、今後は本国で展開される並行宇宙のスパイダーマンが一同に会する大型クロスオーバー『スパイダーゲドン』にも、ゲーム版スパイダーマンが登場することも発表されている。

こうしたコミックス版のディープなファンまでも納得させる付加的な要素も踏まえ、本作がSIEとインソムニアック・ゲームズ、そしてマーベルも全面協力する形で作り込まれたゲームであることがわかる。

約1時間のプレイで、その奥深さと爽快感の一部を体験したが、これはまだまだ広大なオープンワールドとなったニューヨークでのスパイダーマンの活躍のほんの一部。そこから考えるとストーリー展開も含めシングルプレイでかなりディープに楽しめる1本であることは間違いない。

 

インソムニアック・ゲームズ ジェームズ・スティーヴンソン インタビュー

では、ここからインソムニアック・ゲームズのコミュニティ・ディレクターであるジェームズ・スティーヴンソン氏に伺った、ゲームの魅力についてのインタビューをお届けしよう(通訳・JAPANスタジオ ビジネスデベロップメント部ローカライズプロデューサー:石立大介)

インソムニアック・ゲームズ コミュニティ・ディレクター:ジェームズ・スティーヴンソン氏 撮影:梅田勝司

――今作では、スパイダーマンだけでなく、ピーター・パーカーとしてのゲーム要素がありますが、どのような意図で二重生活をゲーム化しようとしたのでしょうか?

今回のゲームはスパイダーマンの物語であるだけでなく、ピーター・パーカーの物語にもしたかった。それが、ピーター・パーカーをプレイアブルにした最も大きな理由です。ピーターとスパイダーマンは表裏一体というか、両方の要素があってこその1人の人間なので、どちらかが欠けたらスパイダーマンの物語は描けません。スパイダーマンの世界とピーターの世界が両方存在し、それが衝突する時が最もスパイダーマンの物語として面白いものだと思っているので、クリエイティブな理由で今回のスタイルが決定しました。ピーターの気持ちをゲームとして表現するには、単にカットバック的な表現ではなく、プレイしてもらうことが最も彼の生活や思いを理解してもらえると思っています。

――ストーリーや設定に関してもかなり詳細に作られていますね。

今回のゲームは、マーベルで『アメイジング・スパイダーマン』のコミックスを担当しているライターのダン・スロットとインソムニアック・ゲームズのジョン・パケットの共同作業でコンセプトを固めました。さらに、コミックスで展開するクロスオーバー『スパイダーゲドン』を手掛けているライターのクリストス・ケージがマーベル側から加わるという形で、マーベルも認める正統派のオリジナルなストーリーになっています。また、『スパイダーゲドン』にもこのゲームのアドヴァンスドスーツを着たピーターが登場します。

コミックスの『スパイダーゲドン』。表紙にPS4ゲームのコスチュームが描かれている 撮影:梅田勝司

――実際にプレイしてみて、ある意味簡単にスパイダーマンのアクションを味わえたのですが、この敷居の低さもポイントのひとつなのでしょうか?

ゲームを制作する上で、私たちのゴールのひとつは、どんな人もでもこのゲームをプレイし、誰でも簡単に「自分は凄いスパイダーマンになった」と思えることを目指しました。その上で、どんどんゲームをプレイして上手くなっていくと、さらにスタイリッシュでカッコイイプレイも決められるようになりますし、ゲームの中にはクリアに必須ではない難しいチャレンジミッションもあります。そうした部分も含めて、ゲームの初心者からゲーム上級者まで幅広く楽しめるようになっていると言えるでしょう。

目がくらむような高さまでのぼることもできる

――ウェブ・スイングに関しても、引っかかってしまうようなストレスを感じないのが印象的でした。

ゲームの中で、プレイヤーの勢いを止めたくなかったというのが、制作の狙いとしてはあります。我々はR2ボタンを「GOボタン」と呼べるものとして、プレイヤーがR2ボタンを押し続ければずっとどこかに進み続けられるようにしたかったんです。このゲームでは、ピーターはスパイダーマンになってから8年も経過しているので、プレイヤーの操作の上手い、下手に関わらず街の中を思うように飛び回らせたかったんです。

――また、このゲームではオープンワールドとしてのニューヨークのつくりこみも素晴らしいですね。

ニューヨークの表現に関しては、入念な準備をして、可能な限り本物のように描き込みました。それは、単に本物だというのではなく、マーベルのファンにとってのニューヨークを作りたかったんです。だから、街の中には、他のヒーローの存在が感じられる施設が登場したりもします。

ウェブスイングをしながらも敵を倒す! 背景のビルは現実とコミックスの世界が混じっている

背景がしっかり描写されていることでリアリティはずば抜けている

私自身も先日、ある映画の撮影地を観光したいということで、ニューヨークに訪れたんですが、その際にホテルの窓から近くのビルの屋上などの写真を撮影して、SNSにアップしたんです。すると、ゲームの開発チームのメンバーがその写真を見てゲームのスクリーンショットだと勘違いすることがありました。つまり、ゲームの中のニューヨークは、開発者でさえ見間違えるレベルの作り込みになっているということです。実際にニューヨークに行って、現地の雰囲気を味わうのが一番ですが、なんらかの理由があってニューヨークに行けない人にとっては、このゲームが擬似的なニューヨークを味わうという意味ではいい選択になるんじゃないかとも思っています。

――それらの街並の表現はPS4だからこそできたものですか?

そうですね。PS4専用としてカスタマイズして形作ることができたおかげで、これだけのリアリティを出せたと思います。これまでインソムニアックが開発したゲームの中でも最も大きなサイズのステージになっていますし、最も多くの要素を持つ内容にもなっています。そして、私たちが作ったゲームの中で、最も美しいゲームかもしれません。ゲームのチャプターによって時間が変わるので、昼と夕暮れ時と夜とそれぞれの時間帯のスイングでは、まったく違う情景を観ることができると思います。また、街並だけでなく、多くの歩行者を描くこともPS4専用だからこそ実現できたものです。

ゲーム体験で道路スレスレをスウィング。通行人や車もしっかり描かれている 撮影:梅田勝司

――本作で最も気に入っている部分はどこですか?

やはりウェブ・スイングで街を飛び回っているときが最高ですね。時にはある種のゾーンに入った気分にさえなるんです。このゲームは3年半くらい開発してきたんですが、ずっと「いきなりプレイをした人が、どれだけ気持ち良く遊べるか」という部分を追求してきました。シングルプレイ用のゲームで、ここまで何度もプレイしたいと思えるものは作ったことがないです。みなさんがプレイしていただける9月7日が来るのが待ち遠しくてしかたがないですね。

偶然、両者がウェブスウィング。ゲームの出だしは比較的サクサク進んだ 撮影:梅田勝司

――最後に発売を待ち望むゲームファンにひと言お願いします。

日本のゲームファンの方からは、これまでSNSなどを通じてたくさんの応援メッセージをいただき、それはすごく嬉しかったですし、チームにとっても大きな励みになりました。日本でも期待値が高く、予約もかなりの本数になっていると聞き、そうした応援や期待にはお礼を言いたいですね。実はインソムニアック・ゲームズの内部には日本製である東映版のスパイダーマンファンもいて、そういう部分にも注意をはらった作り込みとなっているので、みなさんぜひプレイを楽しんでいただければと思っています。

撮影:梅田勝司

ジェームズの足元は靴下も含めてスパイダーマン尽くしだった! 撮影:梅田勝司

ゲームのリリースを前に日本のスパイダーマンファンも期待値が高まっているが、今回の体験会で実際にゲームを操作した感触、そしてまだ明かされていない情報の話を訊いて、ゲームが期待以上の出来であることを確信できた。9月7日の発売日が今から楽しみだ。

取材・文:石井誠 撮影:梅田勝司

ゲーム情報

『Marvel’s Spider-Man』

ジャンル:オープンワールドアクションアドベンチャー
対応機種:PlayStation4、PlayStation4 Pro
プレイヤー数:1人
発売予定日:2018年9月7日(金)
販売形態:Blu-ray Disc/ダウンロード
価格:Blu-ray Disc版6,900円+税
   ダウンロード版7,452円(税込)
   デジタルデラックス版(ダウンロード)9,612円(税込)
CERO:C(15 才以上対象)
発売元:株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
 
『Marvel’s Spider-Man』公式ページ:
 
(c)2018 MARVEL (c)Sony Interactive Entertainment LLC. Developed by Insomniac Games, Inc.
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