中山優馬&松岡充&中村雅俊トリプル主演! 『ローリング・ソング』初日プレスコールレポート
8月11日(土)東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで初日を迎えた鴻上尚史作・演出の新作オリジナル音楽劇『ローリング・ソング』。初日の幕が上がるのに先立ちプレスコールが開催されたので、その模様をレポートする。
プレスコールで公開されたのは3つのシーン。最初の2シーンは、実際の舞台で始まって15分の間に演じられるとあって物語のかぎを握る重要なシーンといえる。すべてのシーンについて演出の鴻上尚史のユニークな解説付きだった。
まずは松岡充演じる山脇雅生が、父親から継いだ納豆売りの会社が危ないので、母親にお金を貸してほしいと頼むシーンから始まった。母親・山脇久美子は久野綾希子が演じる。
元ロッカーという設定の松岡だが、地味な作業着姿で登場。母親に「お金を貸して」という一言がなかなか言えず、言い訳をする松岡のおどおどした演技がとても良い。
やっと「お金を貸して!」と言えたと思ったら、母の「お金、ないの」という発言から「母さんね、再婚しようと思うの!」と爆弾宣言が飛び出す。そこで曲が流れ、久野が『恋をしたの、私。』を熱唱する。
久野 綾希子
どこか昭和感が漂うムーディーなこの曲は、途中から久野の恋の相手、中村雅俊演じる小笠原慎一郎とのデュエットになる。ミュージカル出演経験が豊富な久野と歌手として数々のヒットを飛ばしてきた中村のデュエットは聞いていてとても心地良かった。そして熱唱する二人の間で呆然とする松岡の表情がかなり面白い。
このシーンが終わったあとに、鴻上から「今回の(中村)雅俊さんの役は、結婚詐欺師です」と説明があり、それを受けた中村が「非常に楽しいです」とコメントする一幕も。
次は山脇雅生が、元妻のもとで生活する娘から「ロッカーをやっている尊敬する先輩の曲を聞いてほしい」と呼び出されるシーン。娘の原口綾奈は森田涼花が演じる。今回は公開されなかったが、このシーンの前にリアカーをひいて納豆を売り歩く雅生に、中山優馬演じる篠崎良雅が「あなたは僕の父親だ」と衝撃的な出会いをする場面があるとのこと。その篠崎良雅こそが、綾奈が尊敬する先輩というわけだ。鴻上は「失敗した韓流ドラマのような設定ですが……」と自身の作品にツッコミを入れる発言し、会場は爆笑の渦に包まれた。
幼い頃から父親はかっこいいロッカーだったと母親に聞かされていた良雅は、現在の雅生の姿に失望感を抱く。綾奈に「篠崎さんのお父さんは有名なロッカーなんだって」と言われても「いや、間違えていたみたいです。たぶんロックを捨てて平凡な中年になっているんだと思うな」と雅生に当てつけるように言い放つ。カチンときた雅生は「平凡を選ぶには平凡を選ぶ事情があったと思うんだ」と言い返す。
そんな二人のバトルから、『夢と才能』の歌唱がスタート。
松岡 充
アップテンポな曲に合わせて、良雅と雅生がそれぞれの思いを歌で吐き出す。中山と松岡の本領発揮といったところだ。お互いに掴みかからんばかりの迫力ある歌唱はまさに見どころ言ってよい。中山と松岡のハモりもなかなかのものだ。途中で森田も歌唱に加わり、盛り上がりを見せる。
最後は、音楽を目指す篠崎良雅が小笠原慎一郎のもとへ相談に来るシーン。結婚詐欺師の小笠原は、音楽業界に30年以上いるという設定なのだ。今回公開されたのは、小笠原が20代の頃支えになった曲『あゝ青春』を歌唱する場面だ。
中村 雅俊
『ローリング・ソング』で披露される7曲中、6曲はオリジナルだが、『あゝ青春』のみ43年前、中村のアルバムに入っていた曲。鴻上が「ぜひ雅俊さんに歌ってほしい」とリクエストしたのだという。
良雅に語りかけるように小笠原が歌う『あゝ青春』は、歌詞が芝居のテーマに合致していると鴻上が言うようにグッとくるシーンだ。中村ファンにはうれしいシーンになるのではないだろうか。
プレスコールのあとの囲み取材では、演出の鴻上尚史、中山優馬、松岡充、中村雅俊が登場した。冒頭から稽古場での様子などが語られ、鴻上を中心に和気あいあいとした会見が続いた。時には鴻上が松岡や中村に対してツッコミを入れ、会場に笑いが起こっていた。また作業着姿の松岡に対し、鴻上は「このまま作業着だけでは終わりませんよ!松岡くんの落差を楽しんでください」と、作業着姿以外の松岡も見られることを明らかにした。
また今回の作品は夢がテーマなので、出演者に夢について語ってもらった。中山はこれからもいろいろな役に挑戦したいと言い、松岡はミュージシャンとしてデビューし鴻上によって芝居の世界を教えてもらったことで新しい世界を知ることができ、ある意味夢はかなっていると語った。中村はいい年齢になっているから……と言いつつも、『ローリング・ソング』のタイトルどおり、年齢に関係なくまだまだアクティブでいたい、「キープオン」し続けることを自分のテーマにして、それが夢になっているのだと語った。
最後に初日の幕が上がるにあたって、出演者の意気込みを紹介する。
中山 優馬:本当に楽しいお芝居で、稽古場でもずっと笑いながらやっていました。今日からやっと皆さんに見ていただけるのが本当にうれしい気持ちです。この作品を見たあと、ごはんが美味しいと思います。そして寝る時に「ああ楽しかったな」と思い出す作品だと思いますので、ぜひ劇場にいらしてください。
松岡 充:自分の心をちゃんと動かしながら紡いでいくお芝居なので、毎日いっぱいいっぱい、精一杯稽古を積んで、ようやく今日幕が開きます。優馬くんも言いましたけど、この芝居を観たあとごはんが美味しい、そしてさらに納豆が美味しく感じられると思います。ぜひご来場ください。
中村 雅俊:どんなに素敵な舞台も歌も、観てもらって聞いてもらわなければ始まらないです。こちらが「良い」と言っても観てもらわないと始まらないので、ぜひ足を運んでいただきたいと思います。
鴻上 尚史:トリプル主演という、一歩間違えると各事務所、血の雨が降るようなリスキーなものを(一同爆笑)トライし、今見ていただいたとおり本当にいい関係で初日を迎えられましたので、観て、生きていく元気、エネルギーを与えられる作品になったと思います。お時間がありましたら劇場でお会いしたいと思います。
取材・文・撮影=吉永 麻桔
公演情報
■出演:
中山優馬 松岡充 中村雅俊
森田涼花 久野綾希子 / ほか
■公式サイト:http://www.thirdstage.com/knet/rollingsong/
■公演に関するお問合せ サードステージ 03-5937-4252(平日11:00~18:00)
■公演日程
2018年8月11日(土)~9月2日(日)紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
■企画・製作・主催:サードステージ
■に関するお問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00~18:00)
2018年9月5日(水)~9月6日(木)久留米シティプラザ(ザ・グランドホール)
■企画・製作・主催:サードステージ
■に関するお問合せ:キョードー西日本 092-714-0159(平日10:00~19:00/土曜10:00~17:00)
2018年9月14日(金)~9月16日(日)サンケイホールブリーゼ
■企画・製作:サードステージ
■主催:サンライズプロモーション東京
■に関するお問合:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00~18:00)