『NAOTO LIVE 2018 "SUMMER" FULL BLOOM』レポート 様々なエッセンスが濃厚に溶け込んだヴァイオリニストNAOTOの音楽

2018.8.27
レポート
音楽
クラシック

『NAOTO LIVE 2018 "SUMMER" FULL BLOOM』

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ヴァイオリンという小さな楽器に、無限に広がるイマジネーションを詰め込んで、あらゆるジャンルを軽やかに飛び越えてゆく音楽家。NAOTOの活動は、クラシックのみならず、ロックバンドやポップ・シンガーとのコラボレーション、さらに近年は“ROCKIN’ QUARTET”と題し、ロック・ボーカリストと弦楽四重奏との斬新な共演を打ち出すなど、活躍のフィールドをさらに広げている。そんな彼にとって、自らのバンドを率いて臨むソロ・ライブは、ホームグラウンドであり、同時に新たなアイディアを披露する挑戦の場。しかも8月15日は、NAOTOの45回目のバースデーだ。何か素敵なことが起こりそうな予感と共に、午後4時、期待に満ちた幕が開く。

NAOTO

「みなさん、こんばんは、NAOTOです。1曲目から、回していくぞ!」

ヴァイオリンのコンサート、というイメージでここに来た人がいたとすれば、最初のシーンで度肝を抜かれるだろう。「Fantasista」の、ドラムス、エレクトリック・ギター、キーボードが奏でるダンサブルなビートに乗り、タオルをぶんぶん振り回す、金髪のNAOTO。観客は総立ちで、「Before the Wind」では、全員参加のクラップと、手を大きく左右に振るワイパーで盛り上がる。「tomorrow」は、ギターがワウを効かせたファンキーなフレーズを繰り出し、観客を踊らせる。これはロック・ライブですか? ある意味正解。NAOTOのライブには、ロック、ダンス、フュージョン、クラシックなど、様々なエッセンスが濃厚に溶け込んでいる。

NAOTO

NAOTO『NAOTO LIVE 2018 "SUMMER" FULL BLOOM』

「いい光景を、ありがとうございます。“SUMMER”FULL BLOOMは、夏満開です。みなさんが盛り上がるライブをやりたいと思います」

「Southern Cross」では、フュージョン・ロック的な鋭いカッティングを、「strings shower」では、チェロに持ち替え高速4ビートを刻む、伊藤ハルトシの華麗なプレーが冴えわたる。負けじとドラムスの伊吹文裕、ベースの山田章典、キーボードの松本圭司が、ジャズのインタープレーを思わせる、伸びやかなソロをつないで盛り上げる。踊るようにステップを踏みながら、心弾むメロディを歌いあげるNAOTOは、バンドのコンダクターであり、フロントを飾るボーカリストの役割だ。ひとことで言えば、強力な華がある。

伊藤ハルトシ

伊吹文裕

山田章典

松本圭司

シンフォニーに例えるなら、ここまでが第一楽章。ここからは趣を変え、独りになったNAOTOが、左手でボディを叩き、右手で弓を操る、ヴァイオリンでは珍しいタッピング奏法を駆使して、メロディを奏で始める。この旋律は聴き憶えがあるぞ。そうだ、TM NETWORK「Get Wild」だ。4月に放送された「関ジャム~完全燃SHOW」のバイオリン特集で、金原千恵子とのコンビで奏でたパフォーマンスの単独再現。「92点かな」。弾き終えたNAOTOが笑う。続いてもカバー曲で、マイケル・ジャクソン「スムース・クリミナル」を。伊藤ハルトシのチェロとのデュオで、猛烈に速いテンポ、抑揚の激しいメロディを乗りこなす超絶演奏ぶりは、クラシックのコンサートなら「ブラボー!」の嵐は確実だ。

ジュリー(沢田研二)に憧れ、玉置浩二(安全地帯)を好きになり、上京し、マイケル・ジャクソンに衝撃を受け、デビューする時にレコード会社の担当者に「マイケル・ジャクソンになりたい」と言って呆れられたこと――。愛を込め自らのルーツを紹介する、ユーモアたっぷりのMCが楽しい。クラシカルな格調の高さと、庶民的な親しみやすさ。やはりNAOTOの本質は、ヴァイオリンを持ったポップ・アーティストだ。

「ここから、ガツンと盛り上がっていくけど、いいか!」

ドラムス、ベース、キーボード、ギターの編成に戻り、アップテンポのダンスチューン「悪童」から、ハッピータイムが再開。TEAM NACS 最新舞台のテーマ曲「PARAMUSHIR」は、どことなくアイリッシュ的な、郷愁を誘うメロディと、アップテンポに疾走するパートを組み合わせ、ぐんぐんと観客を引き込んでゆく。ライブでの絶対定番曲「Si-So♪Dance」では、ステージに寝転がって弾きまくる、NAOTOオリジナルの“ブリッジ奏法”も飛び出した。会場内は完全にライブハウス状態で、歓声と拍手のやむ隙間がない。素晴らしい熱気、素晴らしい一体感だ。

NAOTO

「45歳初ライブですが、いつもより8小節多く飛びました。ブリッジも2回もやりました(笑)。全然つらくないです。50になってもできる!」

頼もしいブリッジ続行宣言に続き、ライブは最終楽章へ。マイナー調のアップテンポ、愁いを帯びた饒舌なメロディが耳に残る「GRASSHOPPER」から、三味線をサンプリングしたキッチュな和風ダンスチューン「GE・I・SHA」へ。全員揃っての三三七拍子も、ばっちり決まった。終了間際にE線が切れるハプニングも何のその、バックの演奏を止めず、素早く張り替えて続行する。ハッピーな時間は、一秒たりとも途切れない。途切れさせない。

「Precious Day」は、テレビ新広島「ひろしま満点ママ!!」のオープニングテーマとして昨年の4月から使用されている楽曲。明るく弾むリズムに乗せ、NAOTOが教えた簡単なリフレインを大合唱する、客席のどの顔を見ても笑顔しかない。そのままグッとテンポを上げ、「HIRUKAZE」では盛大な手拍子とワイパーを。「Glowing」では、息を揃えて一斉ジャンプ!を。NAOTOのライブは、黙って聴いているだけじゃもったいない。全身を使って、参加することに意義がある。

NAOTO『NAOTO LIVE 2018 "SUMMER" FULL BLOOM』

「飛んで、跳ねて、楽しむ、これが僕の好きなライブのスタイルです。ずっとこういうことができるように、健康に気を付けて、頑張っていきます。これからもよろしく」

アンコール1曲目、「Diary」を弾き終えたNAOTOが、ニューアルバムのリリース(発売日未定)と、来年春からツアーを行うことを発表した。そして「最後、盛り上がっていくぞ!」と、ヴァイオリンを構えた瞬間--突然鳴り出す、「Happy Birthday」のメロディ。大きな拍手に送られて、おごそかに運び入れられる、バースデーケーキ。想定外のハプニングに照れながら、元気よくロウソクの炎を吹き消すNAOTO。心あたたまるひとときとは、こういう時を言うのだろう。明るいダンスチューン「Let’s Party!!!」も、ほとんどハードロックな「TWIN DRAGON」も、すべてがNAOTOの世界の中で仲良く共存している。こうして、一つずつ年を重ねながら、楽しい時間を続けていくこと。今年のバースデーライブもまた、ファンとの間に結ばれた固い絆を確かめ合う、素晴らしい時間になった。

NAOTO

「これからも、みなさんと一緒に、楽しくライブができるように。僕に元気をくれるみなさんに、感謝しています。今日は、ありがとうございました」

およそ2時間15分、ハッピーなダンスチューン、哀愁のメロディ、思い出のカバー、怒涛のロックなど、バラエティに富んだ、心踊る18曲の音楽の旅。この後もライブ出演は続き、特に大規模なものとしては、9月23日に横浜赤レンガ倉庫で行われる「STAND UP! CLASSIC FESTIVAL’18」への出演も決まった。唯一無二のポップ・ヴァイオリニスト、NAOTOの音楽を、まだ見ぬあなたへ。それはきっと、いや必ず、あなたの生活に豊かな彩りを添えるものになるはずだ。

『NAOTO LIVE 2018 "SUMMER" FULL BLOOM』

取材・文=宮本英夫

ライブ情報

『NAOTO LIVE 2018 "SUMMER" FULL BLOOM』
 
日程:2018年8月14日(火)・15日 (水)  【公演終了】
場所:Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
 
出演:
NAOTO(Violin),松本圭司(Key),山田章典(Bs),伊藤ハルトシ(Gt/Vc),伊吹文裕(Ds)
 
料金:
¥6,500(税込) ※別途1drink¥600
キョードー東京 TEL:0570-550-799
 

公演情報

『イープラス presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL 2018』
 
■公演日時:2018年9月23日(日・祝日)開場9:30/開演10:30/終演20:30 ※予定
■会場:横浜赤レンガ倉庫特設会場 (神奈川県)
 
■出演者(50音順):
【ソリスト】
伊藤悠貴(Vc)、伊礼彼方(Vo)、上野耕平(Sax)、大山桃暖(Pf)、金子三勇士(Pf)、北川辰彦(Bar)、小林沙羅(Sop)、小林美樹(Vn)、サラ・オレイン(Vo,Vn)、反田恭平(Pf)、髙木竜馬(Pf)、丹呉由利子(Mez)、DEPAPEPE、NAOTO(Vn)、中井亮一(Ten)、牛牛/ニュウニュウ(Pf)、藤田真央(Pf)、麻衣(Vo)、松下奈緒(Pf)、松田理奈(Vn)、三浦一馬(バンドネオン)、宮本笑里(Vn)、山本耕平(Ten)、LE VELVETS、他
【指揮】
青島広志、岩村力、横山奏
【アンサンブル】
シアター オーケストラ トーキョー、STAND UP! ORCHESTRA、ぱんだウインドオーケストラ、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、岩城直也(Pf,編曲)
【Sunday Brunch Classic Stage】※無料ステージ
1966カルテット、こぱんだドラムス、實川風(Pf)、園田涼(Pf)、新倉瞳(Vc)、藤原功次郎(Tb)、細川千尋ジャズトリオ、正戸里佳(Vn)、mille baisers、山田姉妹、米津真浩(Pf)
【総合司会】松下奈緒
料金:
1日券シーティング:13,800円
1日券スタンディング:9,800円
半日券(14時まで):5,500円
※シーティングエリア内は座席あり・自由席になります。シーティングエリアへのご入場は「1日券シーティング」「半日券(14時まで)」をご購入のお客様に限ります。
※半日券(14時まで)は夜まで楽しみたいけど、小さなお子様がいてお昼過ぎまでしかいられない方の為にご用意した枚数限定の特別なです。開場から14時まで、シーティングエリア・スタンディングエリアの両方をご利用いただけます。それ以降はご退場をお願い致します。
※スタンディングエリアはすべてのお客様にご入場いただけます。
※雨天決行 ※4歳以上必要(3歳以下は保護者1名につき1名のみ入場無料)
※ステージ内容は変更になる場合もございます。予めご了承ください。
:好評販売中
 
■関連サイト:
公式サイト:http://standupclassicfes.jp
e+(イープラス):http://eplus.jp/
株式会社イープラス:http://corp.eplus.jp/
Twitter:https://twitter.com/stacla_fes2018
Facebook:https://www.facebook.com/Stand-Up-Classic-Festival-2018-216194119151436/​
■主催:イープラス/朝日新聞社/BSフジ
■協賛:クレディセゾン/ファミリーマート/テラダ・ミュージック・スコア
■後援:神奈川県/横浜市文化観光局/横浜港運協会/(一社)横浜港振興協会/tvk/FMヨコハマ
■企画制作:イープラス/Zeppライブ
■制作協力:クリエイティブマンプロダクション
■協力:日本クラシック音楽事業協会/ソニー・ミュージックエンタテインメント
■問合せ:イープラス:0570-01-2244(受付時間10時~18時・土日祝含む)
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