TVアニメ『深夜!天才バカボン』入野自由さんインタビュー|“寄る”ことなく、他作品との“コラボ”感が作品の雰囲気として効果的!?

2018.9.2
インタビュー
アニメ/ゲーム

赤塚不二夫の不朽の名作『天才バカボン』が、前作から18年ぶりにTVアニメ化! 『深夜!天才バカボン』として、平成最後の夏、お茶の間にお披露目されました。許諾を得て登場したYOSHIKIさんや、ブラックジャックなど、驚きどころが多く改めて同作に注目した人も多いのではないでしょうか?

そこで、バカボン役の入野自由さんにインタビュー。1話の振り返りから、裏話、さらに「同作でやってみたいこと」についても話を聞きました!

パロディではなく“コラボ”している感じ
――まず、出演が決まったときはどう思われましたか?

入野自由さん(以下、入野):オーディションのお話を頂いたときから絶対やりたいって思っていた作品でした。

なので、オーディションではいろんな声を試して出してみて。細川徹監督や、菊田浩巳音響監督と相談しながら、どんな声がいいのか試行錯誤しながら挑みました。

それもあって決まったときはもちろんうれしかったです。ほかの皆さんも、「この人たちしかいないな!」という顔ぶれでしたし、その中で作品を一緒に作れるっていうのは楽しみでした。

――1話は、期待以上でした! 意外性だらけでしたね。

入野:「古田さん(パパ役・古田新太さん)、全然しゃべらないんだ!」ってなりましたね(笑)。そのぶん、違う方たちがパパとしてたくさんしゃべっていて。バカボンは、パパじゃないパパとずっとしゃべってたな〜っていう感じでした(笑)。

――『レレレの天才バカボン』のパパ役だった小倉久寛さんも登場していましたもんね。あとは、YOSHIKIさん。

入野:そうですね。台本をもらって読んだとき、一番最初にビックリしたところです。字だけでもインパクトがありました(笑)。

あと、ブラックジャックにはみんな大興奮でした。僕は大塚明夫さんのブラックジャックをずっと観てたので。「隣でブラックジャックがしゃべってる……!」って、改めてすごい人たちと一緒にやってるんだなって思いました。

――あのシーンは凄くシュールで面白かったです。

入野:『深夜!天才バカボン』に出ているからといって、こちらに合わせるんじゃなくて、『ブラックジャック』はブラックジャックとしてしゃべってるんですよね。決して“寄る”ことなく、それぞれがそれぞれの役割を果たしている。

そこが面白さだなと思います。だから僕はバカボンを、明夫さんはブラックジャックを至極真っ当にやっていました。そうやって、パロディではなく“コラボ”している感じが、作品の雰囲気として効果的に働いているんじゃないかなと思います。

バカボンのパパなんだっていう説得力がすごい!
――そんな作品で入野さんが演じるバカボンの印象はいかがですか?

入野:ピュアだったり、パパに振り回されたり、主役かと思いきやパパの活躍の場のほうが多かったりしていて、かわいいですね。ただ、声や性格を知るために原作コミックを読んだとき、自分が思っていたのと結構違うな、と感じました。かわいいのに、ブラックユーモアもいっぱいあるんだなって思いましたね。

――では、演じる上での苦労は?

入野:トーンが結構高くて、今まで僕が使ってこなかった声域でお芝居をするんです。これには苦労しましたね。

「高い」と言っても、ある程度までなら使える幅に余裕があるんですけど、今回は全体的にかなり高めなので、感情表現で使いづらい部分が出てくるんですよ。

それにオーディションでも、クリアにしてみたり濁らせてみたりといろんな声でやっていたので、第1話のアフレコが始まるまでは不安でした。キャラでありながら人間なので、バカボンの声はこうだって決めつけすぎずに演じています。

――その不安はどこで払拭されましたか?

入野:やっぱり、アフレコで皆さんと一緒にやってみてわかった感じです。今も、不安じゃないといえば嘘になりますけど、素直にできていますね。

でも、オープニング曲のレコーディングはアフレコが始まる前にやったので、正解がわからなくて……テクノボーイズさん(OP制作・TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND)が、「いいですね! バカボンっぽいです!」って言ってくださるんですけど「知らないでしょ!?」みたいな(笑)。

――ともあれ、楽しそうです。現場の様子はいかがですか?

入野:和やかだし、みんなから「この作品が好きだ」っていう気持ちを感じられる気がします。役者だけじゃなくて、細川監督にしても、楽しんでいるなって思います。

――バカボンのパパを演じている古田さんとの共演はいかがですか?

入野:TVや舞台で観る古田さんのイメージが強いんですが、「バカボンのパパなんだ」っていう説得力がすごいです!

現代でバカボンのパパといえば古田さんっていうか。それに、いつかご一緒したいと思っていた俳優さんなので、うれしいですね。今度は舞台で共演させてもらえたらいいなぁと思っています。

作品に寄り添うように演じている
――序盤のアフレコは終えているとのことですが、そのなかでお気に入りのエピソードがあれば教えてください。

入野:印象的なのは第3話です。この回でもゲストで大御所の方が出ているんですけど、酷い扱いを受けています(笑)。

あとは、オーディションの原稿が第3話のセリフだったのもありますね。「ついにきた!」という思いと、「こういう流れでいうセリフだったんだ」という発見があって、感慨深かったです。もちろん、面白いですし。

――入野さんのギャグ作品の対応力ですが、キャラだけでなく作品そのものにも溶け込んで居るような感覚を感じました。これは入野さんなりのメソッドなどあるのでしょうか?

入野:これというものや、決まった演じ方があるといったことは、特にないんです。ただ、作品のテンポとか、流れとか、方向性に“寄り添う”みたいな感じを意識しています。

そのために、細川監督の「こういうふうにやりたい」っていう話も聞いたりして、参考にしています。今回は、バカボンという役でどこまで動けるのかなっていうのはチャレンジではありますね。

――この先がますます楽しみになりました。作品そのものにもかなりのインパクトがありますし、これからも驚きや笑いが次々襲うんでしょうね。

入野:古田さん曰く「赤塚さんが『天才バカボン』を連載していた当時は、インテリな人たちが笑っていた」らしいんですよ。だから『深夜!天才バカボン』も、「面白くない!」と言い切らないで、「面白い!」って言っておいたほうが得するかもしれないです(笑)。

いろんなテイストがある作品ですし、とんでもない展開が次々と起こり得る作品なので、ぜひご覧ください!

グッズ開発に携わりたい!
――では最後に、アニメもはじまりいろんな展開が期待されますが、入野さんがこの作品でやってみたいことは?

入野:グッズ開発に携わりたい(笑)! 新しいものもいろいろと作ってみたいんです。

――もし、今思いつくものがあったら教えてもらえませんか?

入野:洋服はやっぱり着たいですよね! デザインの自由度が高いから。

以前、現場で他の役者さんが着ていたTシャツで、デザインの絵柄が触ると他の絵柄になるギミックのものがあったんですが、例えば、それがパパからバカボンになるとか、いいなと思います。グッズ開発も機会があれば、ぜひやりたいです!(笑)

――思わぬお答えをいただけました。開発期待しています! ありがとうございました!

[取材・文/松本まゆげ]

 
作品情報
TVアニメ「深夜!天才バカボン」
毎週火曜 深夜1:35~テレビ東京ほかにて放送

<キャスト>
パパ:古田新太
バカボン:入野自由
ママ:日髙のり子
ハジメ:野中藍
本官:森川智之
レレレのおじさん:石田彰
ウナギイヌ:櫻井孝宏

<スタッフ>
原作:赤塚不二夫
監督・構成:細川徹
副監督:山本天志
キャラクターデザイン:和田高明
音楽:末廣健一郎・眞鍋昭大
音楽制作:テレビ東京ミュージック
エイベックス・ピクチャーズ
音響監督:菊田浩巳
アニメーション制作:studioぴえろ+

公式サイト 
公式ツイッター:@shinya_bakabon

(C)赤塚不二夫/深夜!天才バカボン製作委員会

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