エレファントカシマシのツアー振替公演・Zepp NAGOYAは、怒涛の2017〜18年の総決算だった
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エレファントカシマシ 撮影=岡田貴之
TOUR 2018 “WAKE UP!!” 2018.9.11 Zepp NAGOYA
ニュー・アルバム『Wake Up』のリリース・ツアーのスタート地点だった6月25・26日Zepp NAGOYAの2デイズが、宮本浩次のノドの不調で延期。それ以降のツアーは無事行われ、フジロックやロック・イン・ジャパンなど各地の夏フェスを回り、そのあとに開催されることになった振替公演が、この9月10・11日のZepp NAGOYAである。
ツアーの初っ端のはずがトラブルでファイナルになった、ということなわけだが、結果的に、『Wake Up』のツアーのファイナルであるということだけでなく、2017年のデビュー30周年記念全都道府県ツアー→その30周年イヤーの締めくくりの2018年3月17・18日のさいたまスーパーアリーナ2デイズ(1日目はワンマン、2日目はスピッツとMr.Childrenを迎えての3マン)→ニュー・アルバム『Wake Up』の制作とリリースとそのツアー──と、休む間もなく怒濤の勢いで動きまくった2017年と2018年のエレファントカシマシ、その総決算のようなすばらしいライブになった。というか、そんなふうに「これ、去年と今年の総括みたいだなあ」などと思いながら観ていたら、10曲目「夢を追う旅人」と11曲目「今を歌え」の間のMCで、宮本もそう口にしたのだった。「去年の30周年の全都道府県ツアーから転がり続けて来た、今日はそれも含めてのファイナルな感じがする」と。
僕はこのツアー、7月6日のZepp Tokyoも観た。一部は『Wake Up』の曲が軸、二部は過去の名曲たちが中心、というセットリスト全体のラインは、その東京もこの名古屋も同じだったが、18曲目の「シャララ」が「暑中見舞-憂鬱な午後-」に変わっていたり、20曲目の「歩いてゆく」がカットされて代わりに21曲目に「友達がいるのさ」が足されたり、「ファイティングマン」で終わらずに「風に吹かれて」をやった上でアンコールで「待つ男」が追加されたりと、異なっているポイントもあり。
にしても、「暑中見舞-憂鬱な午後-」を、ライブで聴いたの、かなり久々な気がする。下手したら5〜6年ぶりぐらいではないか。終演後、宮本にそう訊いたところ、「昨日ぶりです」と答えられました。
1曲目「Easy Go」を、つんのめるような速い演奏を乗りこなすどころか、さらにそれよりも速くつっ走っていくように歌いきった宮本。そこからのギャップが激しい2曲目「風と共に」では、サビの高音部分がギリギリ届く感じで一瞬心配になったが、それ以降はどんどん調子を取り戻していく。5曲目「神様俺を」ではイントロで何度も奇声を発しまくる(あんなゆったりした曲なのに)。8曲目「ガストロンジャー」を歌いきったあとのMCで「みんなのおかげで、声、調子よく歌えてます!」。続く「RESTART」では、間奏で「アー!!!!」と、ものすごいシャウトを決める。
このツアー、恒例の日比谷野音の2日後からのスタートだったので、大丈夫かなと心配していたら、声が出なくなってしまった、でもそうやって神経質になってしまったことがよくなかったのかもしれない。そのあと節制して、6月、7月、8月、9月と一切酒をやめた、そしたら声が出ることを発見してしまった──二部の20曲目「so many people」と21曲目「友達がいるのさ」の間には、宮本、そんなぶっちゃけた話もする。超満員のフロアと二階席が、笑い声と拍手で包まれた。
このツアーが始まった時は、ヘアスタイルも衣装も普通に戻っていたが、夏フェスが始まったら「オールバックでサングラスでタンクトップとホットパンツ」というスタイルになっていて観る者の度肝を抜いた、石くんことギター石森敏行、今日はタンクトップではなくTシャツだが、それ以外は同じ出で立ち。そして心なしか、全身が日焼けしておられるご様子。
そんな石くんが、21曲目の「友達がいるのさ」が終わるや否や、セミアコを見慣れたテレキャスにサッと持ち替えて構え、合図を待って宮本にじっと視線を注ぐ。この時の緊張感、何度観てもしびれるし、そこから宮本の合図で石くんがリフを弾き始めて「ファイティングマン」が始まる瞬間は、さらにしびれる。
宮本、もう数え切れないほど歌って来たであろうこの歌を歌いながらステージ右方向に突進、マイクのコードがひっかかってサポート・ギターのヒラマミキオのマイクスタンドや譜面台がバタバタ倒れる、ミッキー、ギターを弾きながら思わず笑顔──という楽しいカオス状態で、この日のステージはクライマックスを迎える。
曲終わりでソデのスタッフと宮本が何か言葉を交わして、メンバーみんなその様子をうかがってから、ラストの「風に吹かれて」に突入したところを見ると、「ファイティングマン」で終わるはずだったが、急遽その場で「風に吹かれて」を追加したのかもしれない(前日は「ファイティングマン」で終わったし)。
アンコールは「待つ男」。照明が赤一色にステージもフロアも二階も染め抜く中、この曲を発表した30年前よりもすごいんじゃないか?と思わせる、宮本の圧倒的な、ワン&オンリーにも程がある、「叫びとの境界線のない歌」が響きわたり、ライブは終了した。最後は6人であいさつ。手をつないで腕を振り上げておじぎしてからしばし静止、そのままの形で6人でズズズッと前に出て来るおなじみのやつを見せる。もうひとつのおなじみのやつ、「そのあと肩を組んで宮本が両足上げてバタバタする」は、この日はなしでした。
なお、エレファントカシマシ、さすがにこのあとはどかーんと休んだりしてもいいんじゃないか、去年今年の活動の激しさ及び濃密さを知っているファンなら、そうしたって納得するだろうし──と思っていたが、このツアー終了直後に、恒例の新春コンサートのスケジュールが発表された。しかも例年より規模を拡大、1月4・5日大阪フェスティバルホールと1月16・18日日本武道館という、東阪大会場2デイズです。
取材・文=兵庫慎司 撮影=岡田貴之
セットリスト
[一部]
1 Easy Go
2 風と共に
3 RAINBOW
4 悲しみの果て
5 神様俺を
6 自由
7 i am hungry
8 ガストロンジャー
9 RESTART
10 夢を追う旅人
11 今を歌え
12 いつもの顔で
13 旅立ちの朝
14 オレを生きる
15 Wake Up
[二部]
16 今宵の月のように
17 笑顔の未来へ
18 暑中見舞-憂鬱な午後-
19 俺たちの明日
20 so many people
21 友達がいるのさ
22 ファイティングマン
23 風に吹かれて
[ENCORE]
24 待つ男
ライブ情報
2019年1月4日(金) 大阪・フェスティバルホール 17:30 / 18:30
2019年1月5日(土) 大阪・フェスティバルホール 16:00 / 17:00
Info.キョードーインフォメーション 0570-200-888(全日 10:00〜18:00)
2019年1月18日(金) 東京・日本武道館 17:30 / 18:30
Info.ディスクガレージ 050-5533-0888(平日 12:00~19:00)
指定席 8,000円(税込)
※3歳以上
< オフィシャルサイト
■受付期間:9月12日(水) 17:00 〜 9月30日(日) 23:59
http://www.elephantkashimashi.com/