ポルノ、WANIMAらが己の流儀で沸かせ、CRAZYBOY&HIROOMI TOSAKAの大トリには三代目JSBも登場 テレビ朝日ドリームフェスティバル 2018・3日目

2018.9.18
レポート
音楽

CRAZYBOY&HIROOMI TOSAKA ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

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テレビ朝日ドリームフェスティバル 2018・DAY3  2018.9.17  幕張メッセ

■WANIMA

WANIMA ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

ドリフェス3日目のトップバッターはWANIMA。ただ、この日はちょっと勝手が違っていて、TV番組『MUSIC STATION ウルトラFES』の生中継で演奏を披露することになっている……のだが、冒頭のタモリとの中継トークではKENTA(Vo/Ba)が「キーが高い曲をやるので、もしかしたら、もしかしますよ?」と謎の宣言、ステージに出れば第一声が「ゆずです、よろしくお願いします!」。普段のライブとは勝手が違うはずの状況も、どうやら全く問題にしていない様子だ。そのまま「シグナル」へと突入すると、会場中から拳とサイリウムが上がり、大音量のシンガロングがこだました。

WANIMA ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

「何事もなかったかのように、一旦ハケます」とステージを去ってからの再登場以降が、正式なドリフェスでのライブ。手始めに「いいから」でしっかりオーディエンスの耳目を鷲掴むと、自己紹介で無駄にハモったり、「残り52曲」と告げたり、キワどいワードを口にしたりと、完全に彼らのペースに。そのまま嵐の如くグイグイと加速を続け、「Drive」や「Hey Lady」などを次々に披露していった(当然、随所に煽りや小ネタを挟みこむのも忘れない)。3ピースならではのタイトでパンチの効いた演奏のかたわら、KENTAは隙あらばベースを置いてステージを動き回り、KO-SHIN(Gt)とFUJI(Dr)もコーラスを入れつつ要所でしっかりアジテーションするなど、徹底的に楽しませてくれる。

WANIMA ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

ハイライトは1万5000人の大合唱となった「ともに」。徹底してキャッチーな陽性メロディック・サウンドに飛び跳ねたり、痛快なほど好き放題なパフォーマンスに笑ったりしているうちに、WANIMAの音楽はいつの間にか会場全体を大きく包み込んでいたようだ。ハチャメチャなように見えて、実は誰一人置いて行くまいとする心優しきエンターテイナーは、最終日に最高のスタートダッシュを決めてくれた。

 

■Mrs. GREEN APPLE

Mrs. GREEN APPLE ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

ちょうど1週間前に同会場でワンマンライブを成功させたばかりのMrs. GREEN APPLEは、その余韻と熱量そのままに、ワンマンライブでもオープニングを飾っていた「Love me, Love you」からスタート。ミュージカルの世界に迷い込んだような華やかなバンドサウンドに軽やかに弾むメロディ、花道を歩きながら「好きに楽しんでください!」と煽る大森元貴(Vo/Gt)の声にも気合いが滲む。

Mrs. GREEN APPLE ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

若井滉斗(Gt)の大ジャンプをきっかけにアグレッシブなロックサウンドが炸裂した「StaRt」では、キーボードの藤澤涼架が(キーボードを弾かずに)花道を自由に走り回って盛り上げていたが、あわや最後のピアノの決めフレーズに間に合わなくなりそうになり、全力ダッシュ。ギリギリ間に合った……ように見えたが、大森曰く「いま絶対に間に合ってなかったと思います(笑)」。山中綾華(Dr)と髙野清宗(Ba)が繰り出すヘヴィなグルーヴにのせて、大森がステージに寝転び、悶えるようにしながらラップをした「REVERSE」など、ロックバンドの概念を超え、あらゆるジャンルの音楽をMrs. GREEN APPLEというエンターテインメントに呑み込むようなステージ。なかでも鮮烈だったのは、バラード曲「鯨の唄」だ。“もう泣かないで”と、悲しみや絶望にさいなまれた心を救い上げるような楽曲を渾身の歌唱で伝えた大森が、間奏部分でそっと目を閉じ、祈るように両手を組む仕草が印象的だった。

Mrs. GREEN APPLE ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

この夏、全国のフェス会場を席捲した最新シングル「青と夏」をエネルギッシュな演奏で届けたあと、ラストを締めくくったのは「WanteD! WanteD!」。トロピカルハウスをイントロに取り入れながら、目まぐるしく曲調を変えゆくアップナンバーで、最高潮の盛り上がりに達してライブは終了。演奏を終え、ずいぶん長いこと頭を下げるメンバーに、会場からは惜しみない拍手が贈られた。

 

■LiSA

LiSA ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

次の出演者を告げるオープニングの映像が映る前から、ピンクのペンライトがいたるところで点灯。「なんで分かったんだろう?」と思ったら、すでにスタンバイが完了していたようで、間髪を入れず「Rising Hope」からライブが始まった。と同時に、一気にセンターステージまで駆け出したLiSAは、ステップを踏みながら、可憐かつ芯のある凜とした歌声を響かせる。ちなみに彼女は、この後ライブが終わるまでほとんど定位置に戻ることなく、絶えず前後左右へと駆け回り、一人ひとりのファンと視線を交わしたり手を振ったりしながら、歌を届けていくことになる。

LiSA ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

初見のファンも多いであろう環境もしっかり楽しんでいて、「say my nameの片想い」では簡単な振り付けをレクチャーして共に盛り上がり、「わたし、アニメソングをよく歌ってるんですけど、せっかくなのでみんなが知ってるアニメソングを歌っていいですか?」と、トリビュートアルバムでも歌唱した「ムーンライト伝説」(『美少女戦士セーラームーン』主題歌)も披露。終わり際には「月に代わっておしおきよ」ポーズで決めるサービスも忘れない。また、フェスの短いステージの中にも趣向を凝らしたライブ演出が用意されていて、「DOCTOR」では一瞬で衣装チェンジ、和傘をさした艶やかな衣装で舞い踊り、激しくも妖艶なパフォーマンスを展開した。

LiSA ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

後半、「Rock-mode’18」でハードに攻めたあとに、冒頭のアカペラで喝采を浴びたスローバラード「シルシ」をピアノの調べと共に歌いあげたりと、シンガーとしての実力の高さ、ロックヒロインと呼ばれる由縁をしっかりと発揮したLiSA。最後は、「ここにいる皆さんが最高の瞬間を、全部掴んで帰れますように」と「Catch the Moment」を届け、「本当に(×20回位)、ありがとうございました!!」と笑顔を輝かせながらステージを後にした。

 

■平井堅

平井堅 ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

若い世代のアーティストの登場が続いたイベントの折り返し地点に登場したのは、この日、最年長の平井堅。「平均年齢を上げて申し訳ありません。フレッシュな果実もいいですけど、腐りかけの果実の旨味を味あわせてやろうと思います」。そんな自虐気味な言葉で笑いを誘っていたが、そのライブは、年齢とともに深みを増す彼の歌声に酔いしれる極上のひとときだった。

平井堅 ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

ピアノとアコースティックギターのみが置かれたステージに現れた平井。180cmを超える長身だけにステージに立つだけで圧倒的な存在感がある。何も言わずにアカペラで「Love Love Love」を歌い始めると、平井のライブで長年サポートを務める鈴木大のピアノがその歌に優しく寄り添った。鈴木と同じく、平井のライブには欠かせないギタリスト・石成正人を迎えて披露した2曲……不明瞭な愛のかたちをリアルな筆致で捉える「魔法って言っていいかな?」も、自殺した親友への想いをとおして“生きること”の意味を鮮烈に綴る「ノンフィクション」も、平井堅が歌う楽曲たちは、人肌のぬくもりや熱い呼吸を痛いほど感じられるものばかりだ。

平井堅 ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

やや落ち着いたトーンの曲が続いた前半を終えて、「鬱鬱とした気持ちになってきたでしょ?」と冗談っぽく言った平井。後半は明るめの曲が続く。キレ味のあるダンスを踊るピエロと共演した「トドカナイカラ」のあと、カラフルな照明のなかで届けた「POP STAR」では、それまで着席していたお客さんが一斉に総立ちになった。キラキラとしたメロディにのせて、平井のライブではお馴染みの“あらいぐまのあっくん”と“モグラのモックン”も登場。振り付けで会場が一体となったところで、最後にこの冬にリリースが予定されているという新曲「half of me」を披露した。圧倒的な喪失感を描いた、平井堅の真骨頂といえるラブバラードからは、キャリアが四半世紀に近づいてなお決して妥協することなく、抉るような感情を生々しい温度で歌い続ける“歌うたい”の凄みを感じた。

 

■ポルノグラフィティ

ポルノグラフィティ ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

「フレッシュなメンバーの中にね、参加させてもらって……平井さんはまあ、あれか」
自虐交じりに笑う岡野昭仁(Vo)。先週デビュー19周年を迎えたという、もはやベテランの域といっていいポルノグラフィティは、だからこそ成し得るスキルの高さと求心力の高いステージングで、瞬く間に場内を魅了してみせた。

ポルノグラフィティ ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

ライブの始まりは今年リリースされた「カメレオン・レンズ」から。声量豊かで言葉の一つひとつをはっきりと聴き取りやすい岡野の歌声と、重低音の効いたサウンドの上に表情をつけていく新藤晴一のギターをじっくりと堪能できる、どちらかといえば落ち着いた立ち上がり。これがオトナの余裕というやつだろう。だが、そこから「アニマロッサ」へとつなぐ流れには、ジワジワとした高揚感が確実に存在した。それが一気に解放されたのは、「アポロ」だ。新藤のハードロッキンなソロが炸裂した間奏以降は、岡野がセンターステージへと進み出て、360°から注がれる熱い視線と声援を浴びながらの熱唱。全国各地で相次いだ災害に触れたあと(ポルノは広島出身)“被災地にエールを”と投げ掛けた「アゲハ蝶」では、それに呼応する観客たちのクラップやシンガロングで会場がひとつになった。

ポルノグラフィティ ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

それにしても、こういう世代・ジャンル不問の誰もが知る名曲を持っているのは本当に強みだし、それをちゃんとやってくれるところがフェスの意義ともマッチしていて素晴らしい。ちなみに、テレビ朝日のお偉いさんに言われた話だ、として「ワシらの役目、“盛り上げてくれ”と」「盛り上がらなかったらガチで説教されるから。40過ぎたおっさんが怒られる姿、見たくないやろ? ……まぁ、見えないんやけど」と本当か嘘かわからない話をしていた岡野だったが、ラストの「ハネウマライダー」でアリーナ全体に打ち振られるタオルの海を出現させ、最高潮のフィニッシュを決めた様子を見る限り、怒られる心配は全くなさそうです。

 

■CRAZYBOY&HIROOMI TOSAKA

CRAZYBOY&HIROOMI TOSAKA ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

開演から5時間にわたり様々なアーティストが個性豊かなステージを繰り広げたドリフェスの大トリを飾ったのは、CRAZYBOY&HIROOMI TOSAKA。2018年をソロ活動を強化する年として位置づけている三代目 J Soul Brothersのメンバーふたりによる、ド迫力のパフォーマンスでイベントを締めくくった。

CRAZYBOY ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

パフォーマー・ELLYが国内外のクリエイターを巻き込んだソロプロジェクトとして始動させたCRAZYBOYは、DJと総勢20名以上のダンサーを引き連れて、「NEOTOKYO」からライブをスタート。“近未来の東京”をテーマにした最新ミニアルバムのタイトルトラックを投下することで、ヒップホップアーティスト=CRAZYBOYとしての揺るぎないアティテュードを幕張メッセに示してみせる。重低音を特徴とするハードコアなトラックにのせるフロウはほぼ全編が英語。全身でビートを感じながらのパフォーマンスは最高にクールだ。「(トリという)重役をやらせてもらってるので、全部曝け出して、みなさんと楽しめればと思います!」。誠実な人柄がにじみ出た言葉で語りかけると、ラストソング「Tropical Paradise」までノンストップで畳みかけ、続くHIROOMI TOSAKAへバトンを託した。

CRAZYBOY ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

HIROOMI TOSAKA ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

登坂広臣ことHIROOMI TOSAKAは、生バンドが繰り出す荘厳なサウンドを身に受けステージに登場。ブルーの光でステージが染まり、炎が吹き上がれば、会場から悲鳴のような歓声が湧き起こる。冒頭、印象的だったのはソロ活動の象徴である“満月”が大きくステージに映し出された「FULL MOON」。ファルセットを駆使したセクシーな歌声が広い会場の隅々まで響きわたっていく。ライブの中盤にはCRAZYBOYを迎えて、「LUXE」や「CHAIN BREAKER」といったエッジの効いた楽曲を立て続けに披露していき、ライブを締めくくったのは、“たとえ涙を流すことがあっても前を向いていこう”と語りかけるように歌った「HEART of GOLD」。エレクトロなロックナンバーからエールソングまで、鮮やかに声色と表情を変える、絶対的なボーカリストとしての貫禄を見せつけたHIROOMI TOSAKAは、「こうして歌うことができて幸せでした!」と笑顔で手を振り、ステージをあとにした。

HIROOMI TOSAKA ©テレビ朝日 ドリームフェスティバル 2018 / 写真:岸田哲平

ふたりのステージが終わったあとには、トップバッターのWANIMAと同じように、生放送中の『ウルトラFES』へと中継をつなぎ、三代目J Soul Brothersによる「R・Y・U・S・E・I」がサプライズで披露された。今市隆二から登坂広臣へとメロディを歌い継ぎ、7人全員が華麗な足技を魅せるランニングマンとパフォーマー陣のソロが見事に決まったところで、会場のボルテージは最高潮へ。フィナーレにはお客さんの頭上を金テープが舞い、3日間にわたり、日本の音楽シーンをリードする豪華アーティストたちが共演したドリームフェスティバルは幕を閉じた。


取材・文=風間大洋(WANIMALiSAポルノグラフィティ)/秦理絵(Mrs. GREEN APPLE、平井堅、CRAZYBOY&HIROOMI TOSAKA)
撮影=岸田哲平

セットリスト

■WANIMA
生中継. シグナル
1. いいから
2. Drive
3. オドルヨル
4. サブマリン
5. Hey Lady
6. ともに
7. Everybody!! 
  
■Mrs. GREEN APPLE
1. Love Me,Love You
2. アンゼンパイ
3. StaRt
4. REVERSE
5. 鯨の唄
6. 青と夏
7. WanteD! WanteD!
  
■LiSA
1. Rising Hope
2. No More TimeMachine
3. say my nameの片想い
4. ムーンライト伝説
5. DOCTOR
6. ROCK-mode’18
7. シルシ
8. Catch the Moment
  
■平井堅
1. Love Love Love
2. 魔法って言っていいかな?
3. ノンフィクション
4. トドカナイカラ
5. 君の好きなとこ
6. POP STAR
7. half of me
  
■ポルノグラフィティ
1. カメレオン・レンズ
2. アニマロッサ
3. アポロ
4. Winding Road
5. アゲハ蝶
6. ハネウマライダー
  
■CRAZYBOY
1. NEOTOKYO
2. Double Play
3. BO$$
4. LOCO
5. WAY UP
6. Japanicano
7. Tropical Paradise
  
■HIROOMI TOSAKA
1. INTORO ~WAKE THE MOON~
2. FULL MOON
3. WASTED LOVE
4. OUTRO ~ECLIPSE DE LUNE~
5. LUXE
6. CHAIN BREAKER
7. DIAMOND SUNSET
8. HEART of GOLD
  
■三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE

1. R.Y.U.S.E.I.
  • イープラス
  • ポルノグラフィティ
  • ポルノ、WANIMAらが己の流儀で沸かせ、CRAZYBOY&HIROOMI TOSAKAの大トリには三代目JSBも登場 テレビ朝日ドリームフェスティバル 2018・3日目