過去最大規模の『TGS2018』ビジネスデイ初日レポート スマホゲームとeスポーツへの潮流が見えた
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(C)2002-2018 CESA/Nikkei Business Publications, Inc.
千葉県の幕張メッセで『東京ゲームショー2018』(以下、TGS2018)が始まった。今年は9月20日(木)21日(金)がビジネスディ、22日(土)23日(日)が一般公開日というスケジュールで開催される。
出展規模は出展社数668社、出展タイトルは1568、41カ国・地域からと公式に発表されており、過去最大規模となった。
この『TGS2018』の初日にSPICE記者が取材で参加、注目タイトルの試遊と、その合間を縫って企業ブースの取材をしてきた。一般開放日と違ってステージイベントなどは少ないのだが、世界からメディアやYoutuberなど多彩な取材陣も多く、それなりにイベントも行なわれていた。
SIEブースでFPSとサバイバルアクションで瀕死
ソニー・インタラクティブエンタテインメント のブース/撮影:梅田勝司
入場した取材陣が向かったのはソニー・インタラクティブエンタテインメント のブース。発売間近のFPSゲーム『コール オブ デューティ ブラックオプス 4』の試遊を事前に申し込んであった。同ゲームはFPSの代名詞的存在だ。チームを組んで戦うゲームで、ボイスチャットをしながら楽しんでいるユーザーも多いはずだ。
『コール オブ デューティ ブラックオプス 4』試遊コーナー/撮影:梅田勝司
人気タイトルだけあって試遊コーナーは広く、通路沿いからよく見える場所に設置されていた。チームを組んで戦うゲームなので、勝利チーム全員に特製Tシャツがもらえる趣向である。とはいえ、初心者には操作が難しいゲームでもあり、FPSや『コール オブ デューティ』シリーズをやり込んでいるユーザーが多かったのか、残念ながらSPICE記者のいたチームは全敗してしまった。しかしゲーム自体はさすがに面白く、次回のリベンジを心に誓う。
強力にアピールする『コール オブ デューティ ブラックオプス 4』/撮影:梅田勝司
続いて同社ブースで試遊したのは、海外TVドラマシリーズ『ウォーキング・デッド』のような世界観のサバイバルアクションゲーム『Days Gone』だ。専用ブースが設けられ、その入口と出口はゲーム内容を彷彿とさせる。それだけこのゲームに力が入っているということが分かる。
『Days Gone』の舞台はアメリカの田舎町。そのイメージの生還者出口/撮影:梅田勝司
入場すると大型モニタのある部屋で、ゲーム紹介と操作方法の冒頭ブリーフィングが行なわれている。ワケありげな主人公が、猛烈な勢いで押し寄せてくる、パンデミックで感染した人間「フリーカー」集団をものともせず、冷静に吹っ飛ばしている。しかし、その映像だけも「無理っ!」と謝りたくなる異様さだ。さらに映像の中には熊も……。動物までも敵なのか。
巨大熊だけでなく犬?も出てくる/撮影:梅田勝司
「フリーカー」が大群で襲ってくる迫力が凄い/撮影:梅田勝司
ブリーフィング後、試遊コーナーに入場する。そこで思い知ったのは「さっき観た映像は、わりとすぐのステージのもあった」ということ。試遊コーナーでは特に説明も長いイントロもなく、「フリーカー」がそこにいる世界に放り込まれる。アイテムをゲットしたり、「フリーカー」を刺激しないように避けつつも、来れば全力で戦う。ゲームには話を進めていく「ストーリーモード」と、高難度の「フリーカーモード」が用意されている。
このゲームでは説明員の話によれば、大量の「フリーカー」をひとりでどう殲滅させるかが実はキモで、事前にトラップを仕掛けてルートに誘導、一気に吹っ飛ばすパズル要素も面白いという。だが、操作を覚えるのに手こずり、バットを全力でぶん回して試遊終了となった。
元カノたちの神々しい姿に癒やされて体力回復
「フリーカー」にやられてメタメタな記者の心を癒やしてくれたのは、すぐ隣のKONAMIブースの壁面に飾られた元カノたちの姿……スマホゲーム『ラブプラス EVERY』での新ビジュアルであった。
KONAMIブースにあった元カノたちのいま……神々しい/撮影:梅田勝司
等身大パネル。もちろん紳士・淑女の方にはフォトスポット/撮影:梅田勝司
新作配信を待ちきれない紳士だけでなく淑女の皆さんも、列を作って試遊のために並んでいた。かく言う記者は3DSへの引き継ぎをきっかけにフェードアウトしてしまったが、あの頃より破壊力を増した可愛さと、少し大人っぽくなったビジュアルがあまりに神々しくて思わず土下座しそうになった。しかし、残念ながら試遊する余裕がなく、また自宅での再会を誓う。
KONAMIブースではほかにプロサッカーゲーム『ウイニングイレブン 2019』や、オリンピックさながらにモーション操作でスポーツを楽しめるゲーム『ハイパースポーツ R』が注目を集めていたが、『スーパーボンバーマンR』も人気だった。さすがにレガシータイトルは根強い。22日(土)と23日(日)の一般開放日には、アイドルによる試遊イベントが予定されている。
カプコンブースで人気シリーズ最新作を堪能する
次は試遊予約を入れていたカプコンだ。ここでも一気に2ゲームを試遊する。まず最初は『デビル メイ クライ5』。人気のシリーズ最新作がいよいよ登場するとあって、ブースでの展開も大々的だ。試遊コーナーの外には主人公の一人「ネロ」の等身大フィギュアと、彼が着ているコートや小物などのアパレルアイテムも飾られている。この日からソフトの予約開始がアナウンスされており、期待も大だ。
『デビル メイ クライ5』主人公のひとり「ネロ」の等身大フィギュア/撮影:梅田勝司
コートや小物アイテムなども展示されている/撮影:梅田勝司
試遊コーナーではコスプレ美女が優しくガイドをしてくれるので、本作で初めて『デビル メイ クライ』を体験するという人でも安心だ。
試遊コーナーでは天使のように優しいお姉さんがガイド/撮影:梅田勝司
今回発表される『デビル メイ クライ 5』ではさらに、オートアシストモードが搭載されており、スムーズにプレイできるのもポイントだ。宙を舞い、銃と剣、そして今回の新アイテム「デビルブレイカー」を使って悪魔どもを倒すことができる。
『デビル メイ クライ 5』の操作はシンプル/撮影:梅田勝司
デカすぎる最初のステージの悪魔。これが最初?/撮影:梅田勝司
スタイリッシュアクションゲームとしてのテイストは変わることがなく、軽快な操作でゲームを進められた。なんといっても悪魔を狩る「デビルハンター」がイケメンすぎる。そんなゲーム性のせいか、試遊コーナーでは女性の声も多く聴こえていた。そういえば、昔このゲームを強く推されたのも女性からだった。
イケメン過ぎる主人公たちの女子人気も上がりそう/撮影:梅田勝司
そして間髪を開けずに試遊に挑んだのがサバイバルホラーゲーム『バイオハザード RE:2』だ。言わずと知れた名シリーズだが、最新作は1998年に発売された2作目をリメイクしたゲームになっている。舞台はあの「ラクーンシティ」だ。もちろん、レオンとクレアのキャラクターを選んで遊ぶことができる。プレイすると、初めて遊んだ時に受けた衝撃と、パズル要素が解けずに頭を悩ませた記憶が蘇ってくる。
TGSの体験版ではレオンは警察署のロビーから。クレアは同じ警察署の地下から始まる/撮影:梅田勝司
とはいえ、グラフィックのリアルさや視点の自由さ、サウンドは最新作だけあって、『バイオハザード 2』を遊んだ人も、そうでない人も違和感なくプレイできるはずだ。小道具や背景、設定、ストーリーなども新たに考証されシナリオから全て新構築されており、何もかもが昔の通りというわけでないという。15分という時間内では細かい部分まで確認できなかったが、モンスターの気味悪さは格段にグレードアップしていた。この先がどうなっているのか、リメイクされたオリジナルと比べながら遊びたくなる仕上がりだ。
カプコンのコンパニオンさん/撮影:梅田勝司
カプコンのブースではこの2ゲームが前面に出ており、試遊希望者の列も長くなっていた。さらに『ストリートファイター30th アニバーサリーコレクション インターナショナル』、そして『ロックマン11 運命の歯車!!』は試遊コーナーの横に歴代ゲームを振り返る展示も行なわれ、会場壁面近くの裏側でありながら多くの人を集めていた。
『ロックマン11 運命の歯車!!』発売を記念してミュージアムも開設/撮影:梅田勝司
会場にはPCゲーマーの求める高速・強力グラボや次世代SSDも
ここで、次の試遊まで空いた時間を利用して、ほかのブースを回ってみる。
カプコンに来る間に気がついていたのだが、その向かいは日本HPのブースだ。ゲーミングPCでゲーマー達が熱くなるグラフィックボードのNVIDIA GeForce最新版を搭載したハイエンドゲーミングPCブランド「OMEN」コーナーや、高速な「AMD」のCPU、そしてそれらを搭載したPCでゲームがどう動くか体験できるコーナーなど、eスポーツの普及に向けてゲーマーの勝てるマシン・環境を作ろうというアピールが見受けられた。
日本HPのブース。ハイエンドゲーミングPCを前面にアピール/撮影:梅田勝司
コンシューマゲーム機だけでなく、PCゲームもまだまだ熱いシーンだ。
ほかにSamsungSSDが大きなブースを確保しており、ハイスペックマシンの構成パーツを展示していた。ブースの構成的にモニターを使ったプレゼンやイベントが多く開催されそうだ。
Samsung製の次世代SSD/撮影:梅田勝司
その隣にはPCゲームで人気を集めるDMM GAMESのブースがあり、最新作の試遊コーナーにはゲームPCが鎮座していた。
eスポーツに関連しては、今回の『TGS2018』の基調講演が『eスポーツが”スポーツ”として広がるためのロードマップ』であり、サブタイトルは「~クリエイティブからファンづくりまで、ゲーム業界が取り組むべき課題と今後の展望~」だった。
言うまでもなく、ゲーム業界がさらに拡大するチャンスが今来ているのだ。入場前の取材陣の列が例年より長かった気がしたのも、その影響があるかもしれない。
ちなみに某社広報さんが「普通に新作を取り上げて欲しいけれど、専門メディアでないところはeスポーツ取材を申し込んでくる」と少し戸惑っていた。確かに大手一般メディアでは、eスポーツ関連のニュースのほうが東京オリンピックに絡めて取り上げやすいだろう。実際、9-11ホールの会場には「e-SportsX」ステージが用意され、戦いが行なわれるのだ。
試遊の合間に会場を回って見えてきたこと
と、駆け足で会場を回っていると本日最後の試遊開始時間が迫ってくる。ここからは写真でダイジェストをお届けする。
「スマートフォンゲームコーナー」バルーンは中央の会場のど真ん中/撮影:梅田勝司
ソニー・エリクソンの高性能スマホ「XPERIA」ブースはコーナーの中でも大きな位置を占めていた/撮影:梅田勝司
Android OSスマホでのゲームアプリDLに欠かせない「Google Play」も出展/撮影:梅田勝司
ブシロードブースではスマホゲームだけでなく多方面に展開している『バンドリ』キャラが勢揃い/撮影:梅田勝司
バンダイナムコエンターテインメントのブースには『GOD EATER』の巨大モンスターが/撮影:梅田勝司
先日アニメ製作発表された『荒野のコトブキ飛行隊』も展開/撮影:梅田勝司
スクウェア・エニックスのブースでは『FINAL FANTASY』試遊に長い列が/撮影:梅田勝司
スクウェア・エニックスブースで。スマホRPG『メビウス ファイナルファンタジー 破滅の戦士』等身大パネルとコスプレイヤーさん/撮影:梅田勝司
スマホゲームコーナーでビッグタイトルを展開しているKLabGAMESのブース/撮影:梅田勝司
KLabGAMESブースの『ラピスリライツ』のコスプレイヤーさん/撮影:梅田勝司
ご覧いただいたように、『TGC2018』では「スマートフォンゲームコーナー」がセンター会場の真ん中という、もっとも人通りが多いエリアに設けられていた。メーカーブースの中にもコンシューマゲーム機用ゲームとスマホゲームが同格や、タイトルによってはそれ以上のスペースを取っていたところもある。スマホゲームは実際に各ゲーム会社で大きな収益を上げていることが報じられており、アニメ化されるゲームも多くなっている。このムーブメントはまだまだ続きそうだと感じた。
「PlayStation VR」のβ版ゲームに没入する
本日最後の試遊は再びソニー・インタラクティブエンタテインメントのブースで、「PlayStation VR」のベータ版ゲームをたっぷり1時間体験するというもの。時間の長さに驚いたが、それもそのはず、試遊コーナーに用意されていたベータ版の数が多いのだ。希望ゲームを好きに次々体験できるようになっている。
「PlayStation VR」試遊コーナー。やりたいゲームの前に並ぶ/撮影:梅田勝司
幸い時間的に最後の枠だったため待ち時間はほぼ無く空いているVRゲームを試遊できたが、実はVR初体験だったので、まずは無難中の無難ゲーム「テトリス」をチョイス。
あって良かった『テトリス』/撮影:梅田勝司
VRとはいえ、ベータ版では立体空間にテトリスの見慣れた画面があり、特殊な何かがあるわけではなかった。気持ちのいいBGMが流れ、次に落ちてくるピースの形が画面で仮想グラフィックで出て向きをシミュレーションできる親切設計だ。これは画面内でコントローラーを見ることができないが、基本は十字キーなので問題はない。
次に向かったのは戦略SLG『DARK ECLIPSE』。映画『スターウォーズ』に登場するホログラムゲームに似た印象で、スティック操作で画面内の手を動かす陣取りゲームだ。
戦略SLG『DARK ECLIPSE』/撮影:梅田勝司
『DARK ECLIPSE』ではきき手でスティックを使う/撮影:梅田勝司
「チュートリアル」をひととおり体験したが、スティックで押すボタンが画面に表示されても、初めてだと感覚を掴むのに5分ほどかかってしまった。しかし、一度慣れると、つかむ、はなす、引き寄せるなどが自在になり、ボタンを押す=手の指を動かすというイメージに置き換えられるようになった。ゲームモードでは3人のキャラクターを選んで、それぞれ掴んだり離したり、タップしたりとかなり忙しくなるようなので、チュートリアルで安心してはいけない。
『DARK ECLIPSE』は基本的に座って操作するVRゲームだったので、立ってスティックを振り回すことに抵抗があった記者は次に『シアタールームVR』を選択する。
このソフトは「PlayStation VR」とヘッドフォンで完全没頭した環境でVRコンテンツを鑑賞できるものだ。3D映像と似ているように思えるかもしれないが、実際に観てみると臨場感は別モノだ。目前に大画面が広がっているようなものと思ってほしい。実際に劇場を模した画面構成で、コントロールもVRで画面内に現れるので便利だ。
観賞用に用意されていたのは[3D]『スパイダーマン:ホームカミング(吹替版)』『機動戦士ガンダム THE ORIGIN シャア・セイラ編 I』スペシャルエフェクトVer.『[3D] PSN meets EGOIST ~ Theater Room VR edition ~ Live at TOKYO GAME SHOW 2018』の三本。時間は最大で3分の尺だが、VR効果が引き立つ画面を「PlayStation VR」用に加工・編集したものだ。もっとも凄さを感じたのは『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』。密集艦隊中を自在に飛び交うシャアのザク。立体感が見事についており、3D映画で感じる「近いはずが小さく見える」感がないのだ。デモ段階の部分編集版とはいえ、アニメとの親和性を感じることができた。
VRゲームはたくさんあり、数をこなせなかった/撮影:梅田勝司
さて、次はと見ていると、ここでタイムアップ。会場に「ホタルの光」が流れ始めてしまった。それぞれたっぷり時間を取って体験できたことは収穫だった。先日「PlayStation LineUp Tour」で発表されたビッグタイトルは試遊できなかったが、その日までには「PlayStation VR」を買って備えないと、と痛感させられた。
ビジネスディの一日だけでは試遊をすると、とても全部を見きれなかった。冒頭に記したとおり、今年の『TGS2018』は過去最大規模の出展数なのだ。一般公開日はステージイベントも数多く、さらに試遊にはブース付近で券を受け取れないと参加できなかったりする場合もあり、おそらく長い時間並ぶことになるだろう。
それでも、ざっと会場内を見回ると、eスポーツ関連の隆盛に寄せられている期待感、そして今やどこに行くにも持ち歩くスマートフォンという強力なハードプラットフォームを得て性差や年齢を問わずに遊べることから根付いたスマホゲームという、ふたつの大きな流れがはっきり見えるはずだ。
もし余裕があるのであれば、土日両日を使って回ってみてほしい。
取材・文・撮影=梅田勝司