『スタンレーレディス』が30周年! 記念大会を制するのは誰か
10月5日(金)に予選ラウンドがはじまる『スタンレーレディスゴルフトーナメント』
先日開催された『日本女子オープンゴルフ選手権』では、樋口久子以来の3連覇が期待されていた畑岡奈紗は惜しくも2位となり、優勝は世界ランキング4位のユ・ヨソン(韓国)に譲った。それでも、米女子ツアーからの凱旋帰国の中、日本選手の中でトップとなった畑岡は、その経験と技術の高さを日本のファンに魅せつけた。
『日本女子オープンゴルフ選手権』は、コース自体の難易度も然ることながら、ラフの長さやピンの位置など、トッププレーヤーでも苦しむセッティングを施している。体力、マネジメント能力、集中力が高くないと攻略しきれない。そのため、現在のLPGA(女子プロゴルフ協会)の中でも実力者が上位に顔を並べた形だ。
今週開催される『スタンレーレディスゴルフトーナメント』も、日本女子オープン同様、実力者が優勝する大会として有名だ。1980年に始まった同大会の初代優勝者は、過去29勝を誇る吉川なよ子。その後、岡本綾子、日蔭温子、森口祐子、不動裕理など、日本を代表する女子プロゴルファーが勝者に名を連ねる。
近年では、2006年の古閑美保をはじめ、上田桃子、福嶋晃子、有村智恵、アン・ソンジュ(韓国)、イ・ボミ(韓国)、吉田弓美子など、今でもその存在が一目置かれるプロが優勝している。しかも、今年は記念すべき30周年大会。賞金総額1億円と高額賞金大会でもあり、優勝すれば1800万円を上乗せできるとあって、各選手が目の色を変えてチャレンジしてくるのは間違いないだろう。
その中でも注目したいのは、2009年、2011年、2012年に優勝している有村智恵だ。今年7月に開催された『サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント』で6年ぶりに優勝を果たし、長いトンネルを抜けたばかり。先週の『日本女子オープンゴルフ選手権』でも27位に入り、現在賞金ランキングは15位(約3866万円)。この一戦で一気にトップ10入りを狙っている。
また、今年は復活組や初優勝を狙う若手の台頭、そして賞金女王争いを意識するベテラン選手たちの活躍が目立つ年になっている。復活組として注目したいのは渡邉彩香だ。葭葉ルミ、穴井詩らとともに女子プロ界の“長距離砲”として多くファンを持つ彼女。さらなる飛躍を誓って臨んだ2017年は賞金ランキング36位、今年は45位とファンにとっても本人とっても物足りない結果となっている。
今年も16戦で予選落ちとなりながら、『第6回アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI』では3位タイ、『ニトリレディスゴルフトーナメント』では2位、『日本女子オープンゴルフ選手権』では8位タイと、まわりの選手が苦しむセッティングで結果を出している。イ・ミニョン(韓国)のように、“飛ぶフェード”に戻して調子を上げている状況で、今大会の“台風の目”的存在になるかもしれない。
「もういつ優勝するの?」と言われているのが小祝さくらだ。今年のツアーでTOP10入りは実に9回と、昨年にレギュラーツアーデビューしたばかりとは思えない安定ぶりには、大樹の片鱗すら漂っている。今季0勝にも関わらず、賞金ランキング8位(約5869万円)という成績は、1998年~99年生まれの“黄金世代”の中で堂々のトップ。ただ、2位タイに入った『中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン』(優勝はぺ・ヒギョン(韓国))、同じく2位タイの『センチュリー21レディスゴルフトーナメント2018』(同クリスティン・ギルマン(アメリカ))、3位タイの『大東建託・いい部屋ネットレディス』(同黄アルム(韓国))、2位の『ゴルフ5レディス プロゴルフトーナメント』(同申ジエ(韓国))など、トップ3に入った試合すべて、海外選手が小祝に立ちはだかっている。
物怖じしない性格も奏功しているのか、ベテラン選手や実力者にはあまり動じることはない。優勝争いの相手となる海外選手を制すれば、小祝の優勝は近づいてくるはず。ともあれ、今年中に彼女の笑顔が見てみたいファンは多いはずだ。
もう一人、注目したい未勝利選手として濱田茉優の名前を挙げたい。7月の『サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント』では体調不良で13番終了後に棄権し、翌月の『北海道meijiカップ』では予選落ちしている。しかし、この2試合を除けば、6月の『アース・モンダミンカップ』から先月行われた『第46回ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント』までの10試合で予選落ちなしと、好調を維持している。
『第51回 日本女子プロゴルフ選手権大会 コニカミノルタ杯』で、16アンダーと2位に9打差つけてぶっちぎりで優勝した申ジエ選手は別にして、2位タイのアン・ソンジュ、ジョン・ジェウン(台湾)に次いで5アンダーの4位タイに入ったのは、かなりの自信になったはず。体幹が強く、ショット力をつけてきた。同期(87期生)の岡山絵里が初優勝しているだけに、その岡山に続きたいと思っていることだろう。
賞金女王争いもそろそろ佳境に入っており、『スタンレーレディスゴルフトーナメント』を含めるとあと8試合。そして、高額賞金大会が続いていく。各選手たちは年間の出場スケジュールや体調の良し悪しで、これからの出場試合を決めてくる。賞金女王争いで日本人トップの鈴木愛、現在4位の比嘉真美子、5位の成田美寿々は出場しない予定。今季未勝利にもかかわらず、『日本女子オープンゴルフ選手権』で3位に食い込み、賞金ランキング6位(約6091万円)に位置する菊地絵里香、プロでの1勝を目指す黄金世代の代表格・勝みなみ、その黄金世代の一角で今年頭角を現してきた松田鈴英ら、若手選手のチャンスも増えてくる。
そんな若手の挑戦を受け止める、今大会3勝を挙げているアン・ソンジュ選手も出場する。やはり同大会の優勝経験者であるイ・ボミ(韓国)、昨年からの連覇を狙う吉田弓美子ら、“復活組”への期待も膨らむ。プレーヤーだけでなく、彼女たちを応援するファンたちのさまざまな思いが交錯する、今年の『スタンレーレディスゴルフトーナメント』。2018年の女子プロゴルフトーナメントの結果を占う意味でも、必見の大会となりそうだ。
※掲載している情報は10月1日現在のものです