DDT男色ディーノ、“最後の役目”を果たすため両国国技館のメインに立つ「いっそアイコンとしての最期を」
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DDTプロレスリングは今、20年以上の歴史の中で初めての局面に対峙している――。昨年9月にサイバーエージェントの子会社化したことで、「AbemaTV」を始め露出の場は増えたものの、プロレス団体として新しいフェーズに入ったことにより、手探りの時代にも突入してしまった。そこで立ち上がったのが、DDTのアイコンである“ゲイレスラー”男色ディーノ。10月21日(日)に東京・両国国技館にて開催されるビッグマッチ『両国ピーターパン2018~秋のプロレス文化祭~』のメインイベントのリングに、KO-D無差別級王者として立つ彼が、変化の時にあるDDTの今、そして自身に課した“最後の役目”について語った。
――試合に向けて何か特訓していることなどがあったら、言える範囲で教えてください。
いつものように食っちゃ寝、食っちゃ寝の繰り返し。あとは、夜のスパーリングを入念に。
――対戦する佐々木大輔選手は、ヒールユニット・DAMNATION を率いるカリスマとして観客人気が高いのに加えて、プロレス技術やインサイドワークにも定評があります。警戒している部分はどこでしょうか?
佐々木も、普通を嫌うプロレスラー。私とは手が合うかもしれないし、合わないかもしれない。警戒している部分は、普通を嫌うがゆえのトリッキーな攻撃ね。基本がしっかりしているから基本で来るかと思いきやの予想外の攻撃、これに注意。あとは、性癖ね。意外と快楽主義なので、私の“ゲイ殺法”が受け入れられてしまう恐れも……。
竹下幸之助、CIMA
――DDTの若きエースである竹下幸之介選手と、DRAGON GATEのCIMA選手がぶつかるセミファイナルを楽しみにしているプロレスファンも多いようです。メインに立つ王者として、「食われるまい」と意識している部分はありますか?
他の試合を食う、食わないの次元は超越したわ。というのも、元々賛否両論ある試合をしようと思っているので、同じ軸にない。結果、眼中にない。セミが一番面白かったと思う人も出てくるでしょう。それは特に気にならない。ただ、普通の団体のメインイベントのような試合にはならないでしょうね。DDTでしか見られないモノ。そこにこだわっているもんで。
――ディーノ選手が『両国ピーターパン』で注目している試合と、その理由を教えてください。
注目カードはズバリ、スーパー・ササダンゴ・マシン(試合前に自身の勝機を解説する“煽りパワポ”で人気のマスクマン)とアンドレザ・ジャイアントパンダ(北海道根室市のプロレス団体・新根室プロレスに所属する身長3メートルのパンダ)になるでしょう。パッと見だけでもインパクトある試合になるのは間違いない。さらに言うなら、他の団体では見られないササダンゴならではのDDT流味付けに期待。
スーパー・ササダンゴ・マシン、アンドレザ・ジャイアントパンダ
私は今の自分のことを“DDTのアイコン”だと思っていない
――ディーノ選手がKO-D無差別級王座を戴冠した9月の東京・後楽園ホール大会について聞かせてください。試合前の煽りVTRでは、「DDT激動の時代」や「みんなが手探り」といった言葉が出てきました。どういった現状を受けて出てきた言葉なのでしょうか?
単純に「サイバーエージェントの子会社となって運営基盤が変わった変化の時」って意味ね。さらに突っ込んで言えば、「AbemaTV」で無料で試合が見られるようになったことで、初めてDDTやプロレスを見る人が増える中でどういう試合を提供するべきか。初心者と常連が混在する中、自分がどういう商品を提供するか。その部分が手探りの年だったと。
――煽りVTRの中で、ディーノ選手は「みんなが手探りなら、先陣を切るのが私の“最後の役目”かな」とも発言していました。8月に団体のプロデューサーを辞任していますが、“最後の役目”というのは、プロデューサーとして最後ということでしょうか? プロレスラーとして第一線を離れることも視野に入れているのかと不安になりましたが……。
んー。あらゆる意味で、かな。実は私は今の自分のことを“DDTのアイコン”だと思っていないんだけど、周りはそうではない部分もある。だったら、もういっそアイコンとしての最期を、というのが一番強い想い。
男色ディーノ、佐々木大輔
おそらく私のキャリア最後の両国メインだから
――なかなか含みのある答えですね……。今夏は、当時王者だった入江茂弘選手(9月末でDDTを退団。『両国ピーターパン』で壮行試合が行われる)が「今のDDTには熱がない。すべての責任は男色ディーノにある」とディーノ選手を真っ向批判して、2人のやり取りに注目が集まりました。ディーノ選手は冷静な態度を貫いていましたが、当時考えていたことを教えてください。
「全ての責任は私にある」それはプロデューサーをやってた以上、間違いではないわ。そこは受け入れる。プロデューサーなんて、責任を取る役目だからね。ただ、「私が全責任を取るとして、選手自身そこが甘えになるならば責任取る意味あんまりないなあ」とは思ってた。選手1人1人が商品の自覚がないのは良くない傾向だ、と。ただ、その状況も引っくるめて私への批判なのかなという理解だったので、その点にはあまり触れず受けて立ちましょう、と当時は考えていたわ。
――入江選手だけでなく、CIMA選手も「DDTには熱がまだまだ足りない」と発言しています。ディーノ選手としては、自身がメインで戦う姿を通して、お客さんだけでなく選手にも何かメッセージを伝えたいと考えていますか? もしその通りでしたら、どんなメッセージを伝えたいでしょうか?
外から来た人、外を見た人が「熱が足りない」と感じるならば、そこは事実なんでしょう。ただ、根本的に「熱って何?」っていう疑問もある。あくまで私はだけど、この熱というのは「選手が持つ熱い気持ち」だと解釈しているの。そういう意味では、おそらく私のキャリア最後の両国メインだから、私の存在証明をしたい。男色ディーノという色物レスラーが団体のチャンピオンなんだよ、DDTってそういう団体なんだよっていうのを伝えたいわね。
――とくにどんな方に今回の『両国ピーターパン』、そしてご自身のプロレスを観てもらいたいでしょうか?
プロレスやDDTに限らず、こういうイベントごとって、映像で見るのと現場の空気を味わうのでは全然体験として違うから、なんとなく気になるなら会場来てみたらいいと思うよ。花火も映像で見るのと生で見るのでは感じ方違うでしょ? 気軽な気持ちで、なーんも考えず。お祭りなんで。「プロレスってどんなんだろ?」ってちょっと気になってる人に見に来てもらいたいわ。
取材・文/原田イチボ@HEW
イベント情報
【大会名】両国ピーターパン2018~秋のプロレス文化祭~