永田聖一朗、加藤将、小早川俊輔らが宇宙を舞台に対立 舞台『銀河英雄伝説』稽古場取材
-
ポスト -
シェア - 送る
舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These』稽古場より
『銀河英雄伝説(銀英伝)』とは『アルスラーン戦記』でも知られる田中芳樹によるSF小説。1982年に初版が刊行されて以来、累計発行部数が1500万部を超える超ベストセラーであり、アニメ、劇場版アニメ、OVA、漫画、ゲーム、実写化、宝塚、朗読などなど数多くの関連作品が生み出されている。2018年のアニメ新シリーズ放送をきっかけに、舞台も再始動。新・舞台シリーズとして上演を予定している。
取材が行われたこの日は、最初から最後までノンストップで演技を続ける通し稽古。予定していた定刻通りから始まり、まずはプロローグで静かに音楽とセリフが入っていく。スタジオでの稽古なので、実際の劇場とは違い幕や照明を落とすことはないが、スタッフが口頭で幕の動きや映像が入る合図を送る。
舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These』稽古場より
ステージに立っていない役者は次に自分が出るときの準備をしている。衣装に着替えていたり、メイクをしていたり、脇に控えていたり、キャラクターの出番によってさまざまだ。多くの役者が舞台上に視線を向け、その演技をしっかりと見つめていた。序盤は緊張感あるBGMもあり、ピリッとした空気が流れる。アニメ、CGで迫力ある映像も注目どころだ。
銀河帝国に所属する戦争の天才、ラインハルト・フォン・ミューゼル/ローエングラムを演じるのは永田聖一朗。出番もセリフも多い彼は、号令の時の腕と手の動きを鏡で確認しながら熱心に身体を動かしていた。そのラインハルトの副官を務めるジークフリード・キルヒアイスに抜擢されたのは加藤将。野心を秘めた目をしながらも気高いオーラを纏う永田と、時折ラインハルトを見つめる目に親友らしい暖かみをみることができる加藤の二人は、今までの舞台シリーズとも少し異なる空気感を見せてくれるに違いない。
舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These』稽古場より
自由惑星同盟側、ヤン・ウェンリーを演じるのは小早川俊輔。「心ならずも軍人となる」というキャラクター説明通りの口調、そして動き方……。時折やる気なさそうに見えるのに声に張りがありずっと彼の言葉を聞いていたくなるようにも感じられる、不思議な魅力を持つキャラクターだ。そしてヤンを取りまくアレックス・キャゼルヌ(米原幸佑)、ダスティ・アッテンボロー(伊勢大貴)、ユリアン・ミンツ(小西成弥)ら友人や家族たち。彼らがいることでヤンという人物に厚みが出てくる。アドリブ要素のある箇所では、スタッフだけでなく控えている役者からも、ふふっと笑い声が漏れていた。
舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These』稽古場より
通し稽古が最後まで終わると、演出家の大岩美智子氏を中心としたダメ出しが入る。台詞の言い方、イントネーションの付け方、感情の作り方、身体の向き、音響と芝居のズレの確認……かなり細かく、演出家の思い描くものと役者の演じ方を一つひとつ一致させていく。大岩の指摘する内容は大胆でも繊細で、動きと台詞に理由や感情をつけて整理している。また役者たちの台本は何度も何度もめくった跡があり、ペンでたくさんの書き込みがされていた。
取材があった日はアンサンブルの古賀創平の誕生日であり、演出家・大岩が急に古賀に話を振ったところで突然鳴り出すバースデーソング♪ サプライズとのことで、ケーキ……ではなく、なんと奥から山盛りからあげが登場! からあげが乗った皿を両手で抱えた古賀を中心に全員で集合写真を撮り、先ほどまでの緊張が嘘のように盛り上がっていた。
『銀英伝』の舞台は登場人物がとても多く、若手からベテランまで大所帯のため、仲良くワイワイやりつつというよりも、自分の実力を試しながらお互いに刺激を受け合っているようなイメージを強く持った。軍に渦巻く野心と、いつ死ぬかわからないという環境に身を置く男たち、そしてそのキャラを纏う役者の緊張感が稽古からも伝わってくる気がした。
舞台『銀河英雄伝説』は10月25日(木)から28日(日)まで4日間全7公演、Zeppダイバーシティ東京で公演。
取材・文=松本裕美
公演情報
演出:大岩美智子
構成・監修:高木登
脚本:米内山陽子
<銀河帝国>永田聖一朗/加藤将/畠山遼 釣本南(Candy Boy)
<自由惑星同盟>小早川俊輔/米原幸佑 伊勢大貴 小西成弥/碕理人 汐月しゅう
ほか
会場:Zeppダイバーシティ東京
※未就学児童入場不可
・全席指定 8,640円(税込)
主催・企画・制作:舞台「銀河英雄伝説」制作実行委員会