『朝霧JAM』を振り返る、悪天候でも“やっぱり最高!”と思えるキャンプ・イン・フェスを子連れで体験して見えたこと

2018.10.21
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撮影=宇宙大使☆スター

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10月6日(土)〜7日(日)に富士山麓 朝霧アリーナ・ふもとっぱらにて開催された『It’s a Beautiful Day〜Camp in 朝霧JAM』。

昨年に引き続き、SPICE編集部の方から「朝霧JAMをレポートしておいで〜」という有り難いお言葉を頂戴したので“中津川ソーラーの伝道師”ことSPICE編集部が誇る音楽編集長、世界の風間(略して、セカカザ)に習い、音楽ライターの必需品であるメモ帳は自宅に残し、富士山麓に広がる朝霧高原にて世界と日本の良質な音楽に浸れる最高に気持ちのいいフェス空間『朝霧JAM』を全身で感じるべく満喫してきました!

最初にお断りをしておかなければならないのは、これは音楽的なレポートではなく、今年の『朝霧JAM』を3歳の息子と満喫した子連れフェスライターによる包括的なレポートになります。細かな音楽的要素を求めている方には物足りないかもしれませんが、それがリアル子連れレポと受け止めていただき、広い心で読み進めてくださいますと幸いです。

ではさっそく、今年の『朝霧JAM』の天候から振り返ってみましょう。
台風25号の影響で開催も危ぶまれた開催前日。荷物を積もうかな、でも中止になったらなあという気持ちでいたところ、公式サイトに「朝霧JAM、予定通り開催!」という頼もしい開催宣言がなされてほっと一安心。意気揚々と会場へ向かうことができました。

初日が幕開けした14時頃はどんより程度でしたが、刻一刻と空模様が変わっていき、日暮れから夜にかけてはとうとう大雨と強風にさらされ、タープやテントを叩きつける音でなかなか眠れないほどに荒れた天候に…。我が家のテントでは雨漏りに泣かされました。

ステージも霞むほどの濃霧。 撮影=早乙女ゆうこ


どよーん(ふもとっぱら) 撮影=早乙女ゆうこ

しかし翌るフェス2日目は、台風一過の見事な秋晴れに! 
オートキャンプが楽しめるキャンパーの聖地・ふもとっぱらには朝から虹が目の前に色濃く出現したり、前日は終始暗雲をまとって姿を消していた富士山がその美しい曲線美を丸ごとドーンと大胆披露してくれたので「今日は絶対いい日になる!」と誰もが思ったはずでした。が、気がつけば照りつける太陽が痛いと感じる厳しい暑さとなってしまい、「太陽よ、そこまで頑張らなくても…」という心境にさせられるほど前日との落差が凄まじいものでした。昨年の『朝霧JAM』の天候があまりに良すぎたせいでより難しく感じたのかもしれません…。

ふもとっぱら 撮影=早乙女ゆうこ


撮影=宇宙大使☆スター


もちろん晴天で良かった点もあります。それは“映える”写真がたくさん撮れたこと。
朝霧JAM』には気持ちのいい風が吹く高原で雄大な富士山の全景を一望できる丘、インスタPHOTO SPOT「宇宙大使マザーシップ」なるものが存在していて、そこで写真を撮りさえすれば誰がどう撮っても絵葉書レベルのハイ・クオリティ写真を撮れてしまうというマジカルな現象が起きていました。

こどもフジロックのパネルも。 撮影=早乙女ゆうこ


「宇宙大使マザーシップ」とはなんぞやと取材をしたところ、『朝霧JAM』の公式カメラマンとしておなじみの宇宙大使☆スターさんのお仲間((宇宙大使◎ソーラーさん、宇宙大使○ムーンさん等)が創り上げている謂わば“優しさの塊”のような空間で、お洒落な前掛けをかけたスタッフさんが一人でも大勢でも自撮り不可能な“富士山全景バック写真”を代行して撮るお手伝いをしてくれていたのです! しかも「朝霧JAM」や「2018」「富士山」といった吹き出しパネルも利用できてしまう、まさに“かゆいところに手が届きまくり”でした。

撮影=宇宙大使☆スター


そんな無料の恩恵を受けようとするカップルやお一人様、子連れファミリーなど全ジャンルの参加者が長蛇の列を作ってニコニコと順番待ちをしていました。ギスギスしないで待てる列が日本にどれだけ存在するのか分かりませんが、なんだかとってもいい感じ。フェスはやっぱりこうでなくちゃいけません。

「宇宙大使マザーシップ」には青空美容室もあり、好きなお花を購入後、髪をセットしてもらえます。だいたいママ・女子・女児が多く並んでいましたが、我が息子は2日連続でお花を購入してセットしてもらって“いい感じ”と上機嫌でした。

大人気! 撮影=早乙女ゆうこ


男の子です。 撮影=早乙女ゆうこ


総じて荒れた天候ではありましたが、おおよそ笑って乗り切ることができるのもこうした人のぬくもりを感じられる空間のあるフェスだからかもしれません。

ここで基本中の基本をお復習いしておくと、『朝霧JAM』といえば! キャンプ・イン・フェスのパイオニア的存在の音楽フェス。つまりフェスティバル空間内でキャンプをする。そう、キャンプなのです。

朝霧JAM』の来場者のほぼ100%がキャンプをして参加するそうですが、そのキャンプ・スタイルは、ステージを見渡せるエリアと、一定の条件を守れば自炊のできるエリアに区分けされた場内キャンプサイト、または会場からシャトルバスで10分の距離にあるキャンプ場・ふもとっぱらでのオートキャンプから選ぶことができます。

撮影=宇宙大使☆スター


独身時代はもっぱら場内のキャンプサイトで楽しんでいましたが、昨年に引き続き、我が家はふもとっぱらでのオートキャンプをチョイスしました。

オートキャンプとは、キャンプサイト敷地内に車で乗り入れすることが可能なため、車を止めた場所のすぐ隣りにテントを立てることができることが理由です。要するに、子どもを連れ、さらに荷物を持って移動して、テントを張る場所を探してテントを張るというある種の“頑張り”をせずに済みます。ですからオートキャンプは子連れでのキャンプ・イン・フェス参加スタイルとして最適なんじゃなかろうかと思っていますし、気球に乗れたりもして実際にこの2年は快適に過ごせています。

ふもとっぱら 撮影=早乙女ゆうこ


ふもとっぱら 撮影=早乙女ゆうこ

ここでひとつ、忘れてはいけない事件が身近で起きたのでお伝えします。
初日の大雨のせいで、同行した友人のテントが完全に水没しました。発見時刻は初日の17時半頃、雨が強くなってきたので一度テントに戻って休もうと会場を後にして今回のベースキャンプ地であるふもとっぱらへ引き上げた際に発覚したのでした。
キャンプの要であるテントを失った人を間近で見たのは初めての経験で、声をかけられないレベルの哀愁が漂う背中を見つめるしかありませんでした。(ちなみにこの人は某人気ミュージシャンのスタッフです)

しかし、そうした大人のプライドや事情、そして他人の気持ちを察することを知らない3歳児は「○○のテント、壊れちゃったね〜!」とゲラゲラ笑いながら、大層嬉しそうに見たままを言葉にして実況してくれました。

そうした子どもの素直な言動も悲壮な友人の心を折る手助けをしているようにも思えましたが、悲惨なときこそ笑い飛ばしたほうがいい場合もあるという考えも捨てきれず、壊れたテントとそれに興味津々の息子を眺めながら、大人に限らず息子にとってもいい学びの場だなとしみじみ思ったのでした。

こうした身近な出来事以外にも、ピーターパンカフェの移動や車の導線、リサイクル・ステーションの場所変更が本番直前にアナウンスされたりもしたふもとっぱらでしたが、特に混乱することもなく人も犬も楽しくぬかるみを歩き、キャンプ生活をしていたようでした。

撮影=宇宙大使☆スター


撮影=宇宙大使☆スター

キャンプ・イン・フェスを楽しむためのポイントは、キャンプ部分においてある程度の初期投資は必要不可欠だということ。これはアウトドア素人ながらも感じ得たことです。ある程度のクオリティの製品を正しく使えばすぐに壊れてしまうことはないでしょうし、少しずつ必要なアイテムを集めていくのも楽しいものです。でも、そういったことが面倒だと感じる、またはギアの保管スペースがない方はすべてをレンタルするという手もありますよね。『朝霧JAM』にはレンタルテントもあるので、キャンプ未経験の方で参加してみたいと思ったらそういったものを活用するのもひとつでしょう。

撮影=宇宙大使☆スター

ここまで“天気”と“キャンプ”のことにしか触れていませんが、キャンプ・イン・フェスで最も重要なのがこの2つ! 特に“天気”は自分の思い通りにならないからこそ面白く、それが屋外フェスの醍醐味ではありますが、できる限り万全に事前攻略をして準備万端の状態で参加したほうが断然楽しめます!


重要2大事項レポを終えたところで、いよいよ多幸感満載のライブ話に移りましょう。トップバッターはEテレの人気音楽番組から飛び出してきたムジカ・ピッコリーノ。

ムジカ・ピッコリーノ

このバンドには、OKAMOTO’Sオカモトショウ長岡亮介、ハッチェル楽団を率いるハッチハッチェル、司令官役のROLLYといった豪華メンバーが在籍しています。新旧の名曲を披露するテレビの番組内容同様、この日のライブは、ザ・フー(The Who)の「My Generation」で始まり、山口百恵の「プレイバックpart2」、アース・ウィンド・アンド・ファイアー(Earth, Wind & Fire)の「September」そして司令官登場後のラスト2曲は「Over the rainbow」と「365歩のマーチ」という激渋な選曲で子どもというよりも大人が楽しめる内容で大いに沸いたステージで、我が家の場合は息子は推しのピッピちゃんを、筆者は司令官を眺めて目を細めておりました。

ただ、前述の通り、初日はBOREDOMSあたりで雨がかなり強くなり、最も観たかったBIGYUKI、ゴーゴー・ペンギン(GOGO PENGUIN)ではピークとも言える雨風が吹き荒れたので子連れでは諦めるしかなく、ヨ・ラ・テンゴ(YO LA TENGO)だけでもという願いも虚しく天候は悪くなる一方に…。そのため、夕方引き上げて以降は会場に戻ることは叶いませんでしたが、翌日の晴天下では子どもの昼寝のためにテントに戻った午後の数時間以外、実に朝から晩まで音に囲まれて至福の時間を過ごしました。出過ぎも困りものですが、屋外フェスではやっぱり太陽が子連れ参加者の一番の見方です。

boredoms Ⓒ Taio Konishi


GOGO PENGUIN Ⓒ Taio Konishi


Yo La Tengo Ⓒ Taio Konishi

ライブの合間には、『朝霧JAM』の魅力のひとつである地元の食材をふんだんに使ったフェスごはんも美味しくいただきました。子どもに優しいメニューを探し、初日は到着してすぐに息子はグルグルウインナーを食べ、雨が降りはじめて寒くなり始めたので温かなクリームシチューと森のハヤシライスをチョイス。するとシチュー屋さんのお母さんが雨に濡れないようにとラップをしてくださったりして、その心遣いに泣けました。

2日目はというと、またしてもグルグルウインナーを所望された後、灼熱の太陽の威力に押されてメロンのアイスクリームのせを手に入れようとしましたが、子連れで長い時間並んで待つのは所詮無理なこと。あまりの長蛇の列に途中でギブアップして、シュークリーム、ガパオなどを入手し、ライブと富士山を観ながら楽しみました。何を食べても美味しいフェスって素敵です。

朝霧食堂 撮影=早乙女ゆうこ


森のハヤシライス 撮影=早乙女ゆうこ

それから、MOONSHINE STAGEエリアに広がる一点物など掘り出し物が多いと有名なマーケットではお買い物も楽しみました。
可愛い富士山が描かれた帽子を見つけるも息子と意見が合わずに買えず、長野から来たというバスの本屋さんでは息子が絵本のジャケ買いをしてお店の方と一丁前に交流したりしている息子の成長に涙ぐんだり。振り返ってみると、そんな息子を眺めつつ、ステージから大自然へと放たれた波打つビートに身をゆだねられたあの時間が今年の『朝霧JAM』でのハイライトでした。

MOONSHINE STAGE 撮影=宇宙大使☆スター


BOOK BUS 撮影=早乙女ゆうこ


BOOK BUS内 撮影=早乙女ゆうこ


BOOK BUSのお兄さんと絵本について語る3歳児。 撮影=早乙女ゆうこ

しかし! そこはやはり野外フェスの代表格である『朝霧JAM』。日本のみならず海外からも一流のミュージシャンを当然のごとく魅せてくれます。

筆者の音楽的なベストタイムはラストを飾ったジョン・バトラー・トリオ+(JOHN BUTLER TRIO+)のライブ。いやはや最高でした。富士山に抱かれて聴く「OCEAN」には痺れましたね。今年の泣き所だったように思います。

John Butler Trio + Ⓒ Taio Konishi

開始が18時という比較的早めの時間であったことも後押しし、3歳の子連れ参加でも観ることができました。フェスに何度か連れられて来ている息子ですが、これまでフェス最後の出演者のライブを最後まで共に堪能することは皆無でしたから、この時点で既に感動ものです。

さらにライブが始まると、昼寝をたっぷり取った息子はシャキッと覚醒し、拳を突き上げ、突然「オーーー!」と絶叫。真剣な眼差しでステージを見つめ続けていた息子も“やっぱトリオだな”などと思っていたのでしょうか。

John Butler Trio + Ⓒ Taio Konishi


John Butler Trio + Ⓒ Taio Konishi


John Butler Trio + Ⓒ Taio Konishi


出演者すべてのライブをフルで観られたわけではありませんが、今年の『朝霧JAM』でチラッとでも観たステージは24組中10組のアーティストでした。

子連れフェスの場合、優先すべきものはライブではなく子どもになるのでライブが観られないとよく聞きますし、自身もそれに同感です。ですから、今回は充分過ぎると感じました。
それに子連れフェス参加でこの数は我が家の過去最高記録。しかも今回は「ライブが観たいんだから、ママ、早くして!」と子どもに急かされる場面が何度かあったほどでした。まもなく4歳ともなると体力もついて主張も意思も強くなる。いやはや、大きく変わるものです。

しかしながら、まだ3歳。れっきとした子ども。好奇心旺盛且つ超が付くほど飽きっぽいキッズは大人しく一カ所に留まってなんかいられません。そんなときは子どもが思いっきり遊べる子どものための空間・キッズランドへ。何度も通い、お世話になりました。

撮影=宇宙大使☆スター

ワークショップにはまだ興味が向かない様子でしたが、富士宮市のブースではゲームをすると富士山の帽子や風船をいただけるという二度おいしい体験をさせてもらえたり、孝行太鼓保存会の皆さんのショーを間近で観覧、太鼓を叩かせてもらったりと昨年以上に遊び倒していました。
シンボリックな竹タワーも森のトンネルでの探検も、まだまだ遊び足りないと、2日目のキッズランドの終わる時間には号泣されるほど彼はあの空間を愛していました。

そこまで子どもが夢中で遊べるスペースが用意されていると親は本当に助かります。それに、1年に1度、同じ遊具で遊ぶ姿を見ていると我が子の成長がよく分かりますし、後で過去の写真と見比べるのも楽しいですよね。

キッズランド 撮影=早乙女ゆうこ


孝行太鼓保存会の太鼓を叩かせていただく。 撮影=早乙女ゆうこ


富士山帽と風船とミラーボール。 撮影=早乙女ゆうこ


愛する子どもと共にフェスに参加できる喜び。これに勝るものはありません。けして無理はせず、無理はさせずに、富士山に抱かれた最高のロケーションで自然と音楽に包まれて過ごす贅沢な家族時間を持てる場所、それが『朝霧JAM』です。

唯一無二の空間に、来年参加してみてはいかがでしょうか。お子さんがいらっしゃる方はできればご一緒に楽しんで欲しいです。

文=早乙女‘dorami’ゆうこ

 

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