舞台『鉄コン筋クリート』乃木坂46 若月佑美インタビュー「誰かがやるんだったら、自分がやる!」
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若月佑美
2018年11月18日(日)より東京・天王洲 銀河劇場にて、舞台『鉄コン筋クリート』が上演される。原作は「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて連載されていた、松本大洋による同名漫画。松本の名前を世間に知らしめる代表作となり、2006年には劇場版アニメが公開され、第80回アカデミー賞アカデミー長編アニメ映画賞にノミネートされるなど、海外での人気も高い作品となっている。
シロとクロという少年二人が主人公でありながら、暴力が飛び交い、大人の思惑がうごめく混沌とした街“宝町”が舞台。その街で、お互いを補完し合い生き抜く二人の物語を今回、初めて単独舞台化する。クロ役は数々の舞台やドラマに出演し、11月いっぱいで乃木坂46を卒業する若月佑美、シロ役はモデルとしてだけでなく、歌手や女優としても活躍する三戸なつめが演じる。
今回は、本作でクロを演じる若月に本作にかける思いや乃木坂46卒業を控えての舞台出演の心境などを、舞台のビジュアル撮影の合間に聞いた。
ーーオフィシャルで「何度読み返したのかわからないくらいとても大好きな作品」とコメントしていましたが、大好きな作品に出演するのはどんな気持ちですか?
嬉しい半分、いわゆる原作ファンという立ち位置にいる身からすると、緊張はすごいですね。どう表現していこうかとか、どのように原作をリスペクトしていこうかということを考えると、ちょっとドキドキしています。
ーー好きなキャラクターはやはりクロですか?
はい、クロが大好きです。
若月佑美
ーーその好きなキャラクターの役に決まったことについて、特別な思いがありましたか?
そうですね。「絶対にやりたい!」という気持ちがとても強くなりました。初めは、好きなキャラを自分が演じることについて、ちょっと不安な部分もあったり、心配になったりもしたんです。でも、その心配を上回るほど「誰かがやるんだったら、自分がやりたい!」と思ったんです。
ーーゴーグルや目の傷も印象的なクロのビジュアルですが、ビジュアル撮影はどうでしたか?
やはり表情が特徴的というか、クロもシロもそうなんですけど、笑っていても単純に笑顔だけじゃないんですよね。シロは無邪気でもあるんですけど、そのシロらしさを出すのって難しかったんじゃないかと思いました。でも、三戸さんのビジュアルを見た時に「すごい……」って言っちゃうぐらいシロだったんですよ。
すでに公開されているビジュアルのソロカットの中には表に出ていないものもあって、それも拝見したんですけど「本当にシロだな」と感じました。それで、私もがんばってクロになりきりたいなと思ったんです。クロには、目力だけで何かを強くスパッと切るような力があるなと感じていたので、それを意識して撮影に臨みました。
ーー単純な悪ガキというわけでもないですよね。
そうなんです。年齢についても、実年齢よりも考えていることがちょっと大人なのかな、と。シロをお世話していたりする面や、あんな世の中で生きているという点では、精神年齢は上なんでしょうね。
ーー共演の三戸さんの印象は?
第1印象は「めっちゃ小柄で、めっちゃ細いなぁ」ですね(笑)。三戸さんはモデルもされていますので、スッとしている感じの印象を勝手に抱いていたんですよ。実際にお会いしたら「めっちゃシロだ!」と思って(笑)。
モデルをされているのもあって、表現の力がすごいんですよね。原作も好きだというお話しをされていたので、これは素晴らしいシロを演じてくれるなと感じましたし、そのシロを私はクロとして純粋に守りたいと思いました。
若月佑美
ーーシロは歌を歌うシーンがよくありますが、女の子があまり口にしない歌詞なので、三戸さんがどう歌うのか気になります(笑)。
私も気になります。原作だと序盤にそのシーンが出てきちゃうので、今回の舞台でそこが表現されるなら、どういう顔で三戸さんを見ればいいのか考えちゃいますね(笑)。でも、そういうところも含めてシロに見えたらありかなと思います。
ーーフライヤーのメインビジュアルも、クロとシロのイメージだけでなく、松本大洋さんの原作の世界観が良く表現されているんじゃないでしょうか。
原作の松本大洋先生の描いている世界はオモチャ箱みたいですよね。いろんな楽しいオモチャがたくさんあって、なんでも出てくる。自分にとってはガラクタに見えるものが入っていても、それが誰かにとっては宝物、みたいな感じで……。それが今回のフライヤーでアートチックに表現されています。
ーー現在は、三戸さんと本稽古前のアクション稽古中ということですが、その稽古を通じてクロに対してあらためて感じたことはありますか?
一つ思ったのは、身体能力について「単純にクロ、すごい!」ですね(笑)。私はアクションが初めてなので、お稽古も基礎からずっとやらせてもらっているんですけど、その中で、クロだったらこういう構え方をするかなとか、自分で考えるようにしています。それがちょっと楽しかったりもするんですよね。
動きは映画版を何度も見返して、その中に出てくるクロの一瞬の仕草を参考にしています。漫画のコマでも、ポケットに手を入れて構えていたりとか、そういう仕草を参考にして稽古をしています。
ーーその他にも、2.5次元舞台に出演する時は、原作の漫画やアニメをどのように考えていますか?
漫画はコマで進んでいくので、主人公がアップになるとその場にいる他の人がコマから省かれてしまいますよね。その時に、コマにいない子たちはどんな顔をしているのかな、というのを自分で埋めていかなきゃいけない作業が2.5次元の舞台にはあると思うんです。そこが舞台上で表現するにあたって1番大事な部分だと思うので、想像の中でも「クロだったらこうするだろうな」というのを考えるようにしていますね。
若月佑美
ーー今の時点で感じるこの舞台の見どころは?
原作を読んだ時に“人間とは?”というような大きなワードが頭に浮かんで、すごく何か胸に来るものがあったんです。実際、クロとシロという二人として描かれているんですけど、その二人というのは、実は人間誰しも心の中にいるものなんじゃないかな、とも思ったりしていて。クロの言っていることもわかるし、シロの言っていることもわかるし、という共感の部分が単純に楽しいだけじゃ終わらない舞台を作り上げていくのではないでしょうか?
ーーアクション面では、原作や映画で“飛ぶ”というキーワードがありますが、あれをどう表現するのか気になります。
現段階のアクション稽古では、まだそこまでは稽古していないんですが、私的にもそこは一つの大事なキーワードだと感じています。“飛ぶ”という言葉に対して、演出家の松崎(史也)さんにいろいろとご指導をいただきつつ、ちゃんとお客様にも「あっ!飛んでるっ!!」と思ってもらえるようにやりたいですね。
ーー11月いっぱいで乃木坂46卒業を発表していましたが、どのような思いでこの舞台に臨まれるのでしょうか?
この舞台が乃木坂46としての最後の舞台なんですが、私が乃木坂46を卒業しようと思ったきっかけは、お芝居をもっと勉強したかったからなんです。他にもいろいろやりたいこともあるので、それも込みで卒業して一人でやっていこうと決めたんですけど、1番の軸がやっぱりお芝居なんですよ。
実は乃木坂46に入るまで、私は絶対に女優はできないと思っていたんです。公言はしていたのですが、乃木坂46に入る前までは普通の高校生で、勉強でも暗記物が本当に苦手で……(笑)。セリフなんて絶対に覚えられないと思っていましたし、舞台だとノンストップでカットもかからないので、絶対にできないと思っていたんですよ。
でも乃木坂46に入って、舞台に出演する機会をたくさんいただいて、そんなことがちっちゃい悩みに思えるくらい私の中でぴったりフィットするものというか、がんばりたいと思える場所が見つかったんです。
若月佑美
ーーいろいろな舞台に出演するにつれて、その思いがどんどんと強くなっていたわけですね。
グループで活動していたので、その中で劣等感とか焦燥感をいろいろと受けていました。すごい武器を持っている子がたくさんいるんですよね。ダンスが上手いとか、歌が上手いとか、ピアノができるとか、頭がいいとか。そういう子がたくさんいて「自分は何もできない。どうしよう」と悩んでいた中で、舞台のお仕事があったんです。
演技を評価していただけたことが自分の中で1番嬉しくて、“女優さん”という夢を持つようになりました。その夢に向けて乃木坂46を辞めると決めましたが、その分岐点で舞台をやらせていただけるのは、とてもありがたいことですし、特別な思いがあります。
ーー乃木坂46メンバーやファンに、この舞台でどんなところを見てほしいですか?
舞台自体を楽しんでほしいと言う気持ちが1番ですが、乃木坂46として出演する最後の舞台という面では、私がこれからどういうところでがんばっていきたいか、どういうものを学んでいきたいかということの意思表示と言うんでしょうか……。お芝居という世界で「今からもう一度スタートします!」ということを伝えたいですね。
ーーそれでは最後に、お客様にむけてメッセージをお願いします。
舞台『鉄コン筋クリート』では遊園地にいる雰囲気を味わっていただけたらと思っています。いろんな胸を打つ瞬間がたくさんあって、それでいて、世界観としてはオモチャ箱をひっくり返したみたいで……。それぞれが一つになった、おもしろいものを作れたらと思っています。ぜひ劇場に足を運んでいただき、良い舞台を観たなと思ってもらえたら嬉しいです。
若月佑美
取材・文=櫻井宏充 撮影=中田智章
公演情報
■劇場: 天王洲 銀河劇場
■原作: 松本大洋「鉄コン筋クリート」
(小学館ビッグスピリッツコミックス刊)
■脚本: 畑 雅文
■キャスト:
【クロ】 若月佑美(乃木坂46)
【シロ】 三戸なつめ
【蛇】 谷口賢志
【組長】 我善導
【チョコラ】 船木政秀
【バニラ】 橘 輝
【福助】 加藤靖久
【虎】 新田健太
【藤村】 コング桑田
【沢田】 玉置玲央
【安達】 山下征志
【大田】 書川勇輝
【朱美】 新原美波
【朝】 齋藤久美子
【源六】 花王おさむ
【木村】 窪塚俊介
【鈴木】 中西良太
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ファミリーマート店内Famiポート
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サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00~18:00)
■主催: 2018舞台「鉄コン筋クリート」製作委員会
■公式サイト: https://st-tekkon.net/
■公式Twitter: @stage_tekkon