「この2人になったからこそ」攻めるBACK-ONが開く新しい扉
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BACK-ON
結成15週年ライブでメンバー2人が脱退し、KENJI03・TEEDAの2人体制となったBACK-ON。2人体制となって変化したところや、「もっと自分たちから発信して、攻めるべき」という想いからうまれた主催イベント『Bring the Noise』について語ったオフィシャルインタビューをお届けする。
――昨年5月に行った結成15週年ライブでメンバー2人が脱退し、BACK-ONはKENJI03さんとTEEDAさんの2人体制になりました。その脱退を発表する際に「活動休止中の制作でメンバー間にズレが生じた」というコメントを出されてましたよね。改めてになりますが、そのあたりからお訊きさせてください。
KENJI03:僕らって常に足元を見て、足並みを揃えて、最後まで行くという姿勢だったんです。それはいいこともあったんですけど、トゲがだんだんとすり減ってしまって……要するに、悪い意味で耳障りがいいモノを求めるようになっていったんですよね。
TEEDA:ずっとやってきて、丸くなりすぎちゃったというか。4人それぞれ主張を持ってたのに「みんな一緒ににいれたらいいよね」という調和性が強くなっていったし。活動休止期間中にできたのもたしかにいい曲なんですけど、なんだか自分たちらしくないなと。
――モノづくりをする過程では強い意見をぶつけ合う必要もあるかと思いますが、長年の仲間ということでお互いに気を遣い過ぎたというか。
TEEDA:その状態で続けていくことがホントにやりたいことなのかなと思っちゃう気もして。そんな中で、BACK-ONとして新たな挑戦をしたい側が僕とKENJI03だったんです。2人いれば、歌えるし、曲も書ける。じゃあ、続けてみようかっていう。
KENJI03:正直に言うと、辞めようかなと思った時期もあったんです。でも、このまま辞めてしまったら、BACK-ONとしてやってきたことが何も残らないで終わっちゃうというか。やっぱり、最後までゴールしたいし、まだ辞めるわけにはいかないなと思いました。
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――多くの場合、メンバーが脱退すれば、新しいメンバーを探しますよね。そういった選択肢はなかったんですか?
KENJI03:そう考えたこともあったんですけど、それだと何も変わらないのかなって。だったら、今のレールのまま突っ走っていくけど、違うスタイルで(BACK-ONを)アップデートしたいなってTEEDAと話し合ったんです。ギタリストとベーシストがいないマイナスな状況を強みにするというか、そこを僕ら2人で埋めてやるという気持ちを持ちつつ、今ある自分たちの武器で戦えるんじゃねえかっていう。
TEEDA:加えて、新たな挑戦をしたい2人がいるからこそ、他の要素を入れたくない部分もありましたね。ありがたいことに「オレがやるよ」って声をかけてくれたバンドマンも多かったんです。でも、「この先、お願いすることがあるかもしれないけど、今は2人でやりたいんだ」という話をして。誰か必要なときはサポートとして迎えるスタンスがいいなと。
――音楽的な部分について、何か変化した部分もありますか?
KENJI03:僕がアレンジとかも全面的に任されてるんで、あえて聴きやすくする作業も今はないし。あと、内容としては原点に立ち返ってます。もともと、僕らは激しい音楽に影響を受けて、そういうバンドになりたいと思ってたはずだけど、いつの間にか聴きやすいところに比重を置いてた時期もあって。だから、初期衝動が生まれたサウンドを、スキルを身に付けた自分たちが表現したらどうなるのか、っていうコンセプトで配信限定EP『NEW ERA』は作ったんですよ。
TEEDA:その中で「Clown」って曲があるんですけど、歌詞なんてほとんどが(放送禁止の)ピーって音を入れなきゃいけないような内容なんです。以前のBACK-ONだったら絶対にやらなかった。攻撃的すぎる言葉、誤解が生まれるかもしれない強い言葉は止めておこうとしてたから。でも、今は僕がホントに思ってることならいいや、って。KENJI03もカッコいいと言ってくれたし。
KENJI03:お互い、100%対100%のぶつかり合いができてると思います。
――自分たちの考えやスタンスを最優先するのって、長く続けてきたバンドこそ難しいじゃないですか。バンドを始めたてのような純粋さを打ち出せるのはすごくいいですね。
KENJI03:たしかにそうですね。ただ、昔はそれを勢いだけでやってたけど、今は自分たちの魅せ方や進む先を見据えて作ってるんですよ。そこは、15年やってきたからこそ、できるんだと思います。
TEEDA:だから、過去に出した曲たちはそれはそれで自分たちの足跡であり、大好きなんです。そこがあったから今の感覚になれてるわけだし。この15年間にはホントに感謝してますね。
――2人体制でワンマンもやられましたが、感触としてはいかがでしたか?
KENJI03:タイトになったところもあって、パフォーマンスも込みですごく良かったですね。
TEEDA:ライブだけはサポートでドラムを入れてるので、グルーヴ感もだいぶ出てるし。あと、ギタリストとベーシストがいない分、曲と曲の間を埋めるかき回しができないんで、そこはSEやヒップホップのビートを流してたりするんですけど、それもちゃんとしたエンターテイメントというか、流れを止めないヒップホップのライブのように見せれてたかなと思ってます。
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――ライブだけに限らず、中心になるのは2人ですし、責任感も増してますよね。
TEEDA:そうですね。だから、それぞれの役割をまっとうするというか。例えば、コンポーザーとしてKENJI03がオケを作ってくれることに関しても、信頼して任せながら、触れないモノは触らないようにしてるというか。
KENJI03:でも、気になったところがあったらちゃんと言ってね(笑)。
TEEDA:ハハハハ(笑)。いや、気にならない部分が多いし、期待以上のモノを提示してくれるからさ。それを受けて、僕は歌詞を書くんですけど、気合いもより入るし、自分自身の言葉かどうかをすごく意識するようにもなったんです。なんかこう、柔らかいというか、みんなに伝わるような言葉選びがクセになってたんですよね。そこが、自分ひとりでその言葉を背負えるかどうかを大事にするようになって。賛否両論ありそうだなと感じたとしても、返り討ちにしてやるっていう覚悟で書いてるし。そこはリアルじゃないとダメだから。
――2人の関係性が変わったようなところも?
KENJI03:集団として進む場合、ひとつの物事を決めるのもたいへんだし、結果として多数決になったこともあるんです。だけど、今はお互い主張できてるし、よりクリエイティブな関係性になってますね。
TEEDA:それこそ、LINEは便利ですけど、できるだけ電話で話すようにしてます。やっぱり、その方がニュアンスが伝えやすいじゃないですか。まあ、僕らずっと一緒にやってきてるんで、熟年夫婦の再々婚みたいなところもありますけどね(笑)。話さなくてもわかるところがあるっていう意味では。
――また、ライブ活動の方向性についても伺わせてください。これまでのBACK-ONは、いわゆるロックバンドがいないフィールドで激しいサウンドを鳴らして道を切り開いてきた印象が強いんです。例えば、アニメやゲームを通じて海外のファンもたくさんいて、他のバンドとは違う価値観を見出して活動してきたといいますか。
TEEDA:そこに関しては、ここから変わっていきそうな気がするというか。4人体制のときにロックシーンにいなかったというよりは、いれなかったんですよ。その当時のBACK-ONって、いろんな音楽を好きな人に聴いてもらいたいとふんわりしすぎてしまったが故、ロックシーンへ飛び込めば物足りないと受け取られ、ポップスシーンにいったらうるさいと言われたり。そんな中、アニソンってカテゴリーだと、ロックをやってもヒップホップをやっても何でもいい、って感じになってて。
――不思議なところもありますよね。物すごくヘヴィなリフでも受け入れられてたりして。
TEEDA:だから、アニメの主題歌をやったことで、そういった切り口から日本だけじゃなくて、海外でもファンが一気に増えたんです。そこを受けて、BACK-ONの音楽が好きだと言ってくれるところでライブをしてきたような感じもあるんですよね。
KENJI03:あと、自分たちもちょっと遠ざけてたところもあったんですよね、ロックシーンに対して。今は100%自分たちのやりたい音楽を主張できてるんで、もう1回、突っ込んでいきたいなという気持ちなんです。
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――そういった意味では、ロックフェスにも足を踏み入れたい?
KENJI03:もちろん、もちろん。やっぱり、ライブバンドとして、BACK-ONをのし上げたい気持ちがあるし、フェスに出れてなかったという現状がありますから。その為にはもっと刺さるようなパフォーマンスをしなきゃいけないし、そういう努力をしながら、少しずつライブバンドとして前進していきたいんです。
――そうなると、ライブ自体の本数も増えそうですよね。
KENJI03:この2人でライブを始動してからちょうど1年なんですけど、ここへきて、もっと本数を増やしたい気持ちにもなってきてます。試行錯誤した結果、新しい方向性もしっかり見えてきましたから。
――今回、スタートする主催イベント『Bring the Noise』はそういった道の第一歩にもなりそうですね。
KENJI03:そうですね。このイベントを立ち上げようと思ったのは、まず新しく2人で歩き出したというのもあるし、受け身の体勢だけじゃダメじゃないですか。もっと自分たちから発信して、攻めるべき。そこで僕らがもともとしたかったこと、影響を受けたことを考えたとき、ロックとヒップホップだなと思ったんですよね。で、3マンにして、ロックバンドとラッパーを呼んで、僕らがハブとして繋げる。意外とそういったイベントってないのもあるし。
――たしかに、主催バンドがそういった意識を持つことはありますが、そこをコンセプチュアルに打ち出すのはかなり少ないと思います。そんなイベントの第1回にはロックバンド枠としてFAITH、ラッパー枠としてあっこゴリラを招きました。
KENJI03:実は、どちらも面識はなくて(笑)。ずっと応援してくれる人だと「こういうバンドを呼ぶだろうな」と想像するだろうけど、そこじゃなくて「えっ!?」ってなるメンツにもしたかったんです。集客とか人気とかも関係なく、純粋にカッコいいと思うバンドと人に声をかけましたね。
――どちらも注目を集めている存在ですが、まずFATIHはどんなところがピンときたんでしょうか?
KENJI03:最初はApple Musicでピックアップされてるのをたまたま聴いたんですけど、想像と違ったというか。語弊があるかもしれないですけど、注目される若手バンドってトレンドや流行りの要素を取り入れてることが多いじゃないですか。FAITHもそんな感じかと思ってたんですけど、ド直球に美エモだし、アヴリル・ラヴィーンやアシュリー・シンプソンとか、ああいう僕らが青春時代にきいてたようなグッとくるニュアンスもあって。
TEEDA:僕はKENJI03から聞いて初めて知ったんですけど、爽やかでめちゃくちゃいいし、メロディーやアレンジからどこか懐かしい感じもして。僕らともルーツが繋がるんだろうなと思いましたね。
――あっこゴリラに関してはいかがですか?
TEEDA:これ、ずっと言ってたんです。曲を作ってる段階から「フィーチャリングしてくれないかな?」と話してたりもして、(あっこゴリラの)曲もよく聴いてたし。
KENJI03:リリックはめっちゃ面白いし、ゆるいっていうよりは攻撃的な感じがあるじゃないですか。しかも、オフィシャルサイトを見たら、もともとはバンドマンでドラマーだったというのも知って、「僕ら、ドラムがいないし、叩いてもらっても面白い」とか欲しがりすぎてましたね(笑)。今回、誘ったところ、快く出演してくれることになりました。
――まさに三つ巴のカオスな戦いが起こりそうです。
KENJI03:やっぱり、そういう面白さがないとイベントをやる意味もないだろうし。予定調和な空気感ってつまらないですよね。僕、すっごいプロレスが好きなんですけど、プロレスはそこが面白いし。だから、そういう魅せ方ができたらなと。
TEEDA:それぞれを目当てにしたお客さんが来ると思うんですけど、BACK-ONがあっこゴリラを誘ったということは、何か共通する部分があるからだし。FAITHともルーツで何かしら重なるところがある。最終的は全部が繋がるんじゃないかなっていう。
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――このイベントはBACK-ONの活動の中で大事なモノとして継続させつつ、今後の展望としては他に何かありますか?
KENJI03:曲は常に作り続けてるんで、出すタイミングを考えてます。やっぱり、近いうちにアルバムも出したいですからね。
TEEDA:どういう形で届けるのか、ツアーをどう廻るのか。海外での展開もあるでしょうし、いろいろ混ぜて、バラ撒いていけたらいいなと思ってます。
KENJI03:あと、フィーチャリングもやったことがない人とやってみたい気持ちがあるし、誰かにプロデューサーとして制作に入ってもらっても面白いのかなと。
――2人で純度の高い尖ったモノを作り続けていくのかと思ってましたが、そういうアイデアもアリなんですか?
KENJI03:そうですね。今、自分たちのパーソナリティを曲に100%注ぎ込めてるからこそ、そういった試みもやってみたくて。へんなプライドやエゴはなくなってるし、シンプルにクリエイティブな発想を重視したいんです。 TEEDA どういう形になっても嫌だなと思うことはなくて、(曲が)それ以上になればいいだけですから。 KENJI03 繰り返しになりますけど、フェスに出ていきたいことに加え、ライブ自体の本数も増やしたいし、もっとツアーもやりたい。そういう目標はたくさんあります。
――ライブが増えれば増えるほど、いろんな出会いもありそうですね。
KENJI03:だと思います。僕ら、今まで横の繋がりってあんまりなかったんですよ。そういった意味では、今度のイベントも自分たちの新しい扉を開くことになるんじゃないかと。まあ、今までバンド界の引きこもりでしたからね(笑)。その分、この2人になったからこそ、もっと外へ出ていこうと思ってます。
取材・文=ヤコウリュウジ
ライブ情報
【公演日】2018年11月11日(日)
【出演者】BACK-ON / あっこゴリラ / FAITH
【会場】渋谷WWW
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