TRI4TH 「ジャズもパンクもロックも関係ねー!」と叫んだメジャーリリース後初ツアー東京公演の衝撃
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TRI4TH
TRI4TH”Shout”Tour
2018.11.18 渋谷ストリームホール
開演前から新鮮なライブだった。全11曲中9曲がアッパーなナンバーという彼らのメジャー1stアルバム『ANTHOLOGY』。その内容からすると、見るからに踊る気まんまんの若いファンで埋め尽くされている図を想像していた。確かにフロアの前半分はそんな感じの客層。でも後ろ半分は、ファッション的にも年齢的にもブルーノート東京のお客さんが移動してきたような雰囲気だったのだ。どう見ても最前のファンのお父さん世代の人たちが多数いて。これで本番が始まったら場内はいったいどんな雰囲気になるのか? ところが、ライブがスタートしてしばらくすると、お父さん世代までコブシを上げてダンス。それは見たことのない幸せな光景だった。
TRI4TH/伊藤隆郎(Dr)
バンドの立ち姿も新しかった。昔からのファンなら、トランペットの織田が着物からスーツになった、他のメンバーも揃いの黒の上下から思い思いのスーツになった、ということがトピックだっただろう。でも初めて彼らを見るこちらとしては、5人編成のバンドでセンターは2人のホーンという形がまずフレッシュ。さらにその奥で伊藤が、ドラマーでありながら絶えずボーカル的に煽り、時には立って叩き、MCも担当する姿がユニークだった。
TRI4TH/織田祐亮(Tp)
そして音だ。中盤でスカパラの「Moster Rock」をカバー、という格好の比較対象を得てそれまで感じていたことを再確認した。スカパラはギターもいて9人編成。でもギターもいない5人編成のTRI4THが演る同曲の方がはるかにヘヴィなのだ。そのカギはギターのように歪ませて弾く関谷のウッドベース。そしてハードヒッターな伊藤のドラム。このリズム隊コンビだけで普通のロックバンドぐらいの音圧を出しているので、常に音が薄くならないのだ。その上でピアノの竹内がパーカッションのように鍵盤をぶっ叩いたり、超絶技巧の早弾きを披露する。織田とサックスの藤田が激しく掛け合いをする。
TRI4TH/藤田淳之介(Sax)
そして随所でお客さんを叫ばせることも忘れない。なにせ伊藤も強調していたように、今回のツアータイトルからして『“Shout”Tour』。本編のラストも「Maximum Shout」だったのだから。
そういえばこの曲で出て来る<Hey Ho Let's go>というフレーズはUSパンクの元祖・ラモーンズからの出典。そんな所からも窺えるように、限りなくロック寄りなムードで本編は終わった。さらにアンコールを求める拍手は、誰かが叫び出したのが伝染して<Hey Ho Let's GO>の大合唱に。その熱気を受けるようにその名も「Volcano」「FULL DRIVE」という熱すぎる曲でステージを閉めてみせた。
TRI4TH
もともとメンバーの半数以上がクラシック出身でありながら、ジャズを目指し、今はその要素を感じさせつつもめちゃロックなライブをやっている。この流れがおもしろかった。「ジャズもパンクもロックも関係ねー!」と叫んでいたその言葉そのままに。「結成12年。笑えない時間、ほんとつらかった。でも5人で欠けることなくここに来れて本当に嬉しいです。今日ひとつ新しい景色を見ました」。見るからに芯の強そうなリーダー・伊藤が涙ながらに語った一言も、メジャーリリース後、最初のツアーのソールドアウトの初日、だからこそのリアリティーに溢れていて記憶に残った。
取材・文=今津 甲
TRI4TH
>>【TRI4THインタビュー】史上最高にロックしてるジャズバンド、その誕生物語とメジャー1stアルバムを語る
ライブ情報
※終了公演は割愛
2018年12月2日 (日)福岡 ROOMS
2018年12月3日 (月)広島 LIVE JUKE
2019年1月18日(金)大阪 梅田シャングリラ
2019年1月19日(土)名古屋 JAMMIN’
各公演 ¥3,800(税込/ドリンク代別)
OPEN 18:5 START 19:30