稲垣吾郎と二階堂ふみ、手塚治虫の愛とエロス・オカルティズム・ミステリーに挑む！『ばるぼら』実写映画化を発表&世界初映像も解禁

『ばるぼら』は、手塚治虫の同名漫画を原作とした映画。異常性欲に悩まされる耽美派の小説家・美倉洋介と、謎の少女・ばるぼらをめぐる物語を描いた作品だ。エロスやオカルティズムが入り組んだ独特の世界観は、その異色さ、過激さから「映画化不可能」と言われてきた。しかし、手塚治虫生誕90周年を記念し、初の映像化が実現している。

日本・ドイツ・イギリスの共同制作となる本作でメガホンをとるのは、手塚治虫の実子でもある手塚眞監督。さらに、撮影監督として、『恋する惑星』などのウォン・カーウァイ監督作で知られるクリストファー・ドイル氏を招くなど、日本だけにとどまらない様々な才能を集結させている。

今回の制作発表は、手塚治虫生誕90周年記念会の中で開催。世界初公開となる特別映像の上映も行われた。

映像が終わると、稲垣吾郎と二階堂ふみ、手塚眞監督が登壇。主演の2人は、海外版のイメージヴィジュアルに合わせたように、稲垣は紫のセットアップ、二階堂は赤のドレスを纏って登場した。

手塚監督は、自身の父の作品である漫画『ばるぼら』について、「たくさんある(手塚)作品の中でも、大人の漫画を読むいけない子供だった時代から非常に思い入れのある作品」と表現。続けて、「自分が今まで表現してきたことと、父親が作ってきたものに何か接点を感じる作品だと確信しました。観ていただければ、なぜこれを今作ったのかがわかると思います」と、自身が手がける手塚治虫作品の中では初となる、実写監督を務めることへの思いを明かした。

稲垣は「個人的には、昔舞台で七色いんこ役をやらせてもらったこともあり、(手塚作品は)ずっと身近に感じてきました。今このタイミングじゃなければ演じられない役だと思いました」と、感慨深げ。

また、二階堂は父親の影響で、幼い頃から手塚作品に親しんでいたという。『ばるぼら』については、「火の鳥・アトムなどはワクワクするような、すごくポップで面白いものだったので、どっちの手塚先生が本当なのか、謎ができるような感覚」と語り、「みんなで考えながら、(謎の)答えを探して行ったような感じ」と撮影を振り返った。

なお、稲垣と二階堂は本作で初共演。お互いの印象について質問されると、稲垣は「二階堂さんが、本当に”ばるぼら”だった。(役柄としてしか接していなかったので)今日なんか、会うとびっくりしちゃうくらい二階堂さん(笑)」と笑いを誘う。さらに、作中の二階堂について、「存在しているようで存在していないような、本当に夢だったのかなと思わせてくれるような、(撮影が終わると)もうばるぼらに会えなくなっちゃうのかなと思うような。夢を見ているような感じでした」と、魅力を語った。

一方の二階堂は「稲垣さんには文学を感じる方というか、初めて難しい本を手に取った時のような感覚。知りたいと思っても、そこに自分が追いついていないような……未熟さであったり、大人になりきれてない部分を感じさせてくれる人」と語り、撮影を通して新たな自分を発見できたことを明かした。

キャスティングについての質問が飛ぶと、手塚監督は「手塚漫画がすごく似合う」と二人に太鼓判。稲垣は、自身の演じる美倉洋介を「とても刺激的な作品で、愛と欲望に取り憑かれているキャラクター」と述懐。さらに、他作品を含めて自身が演じてきたキャラクターにも触れ、「参考になる人がいない役が多い。今舞台でやっている役はベートーヴェンですし(笑)。 自分の作り出すものと、世の中に求められているもののギャップに苦しむ役が多い」と分析した。

映画『ばるぼら』は今年2018年12月初頭に完成し、2019年末ごろに公開予定。手塚監督は「もうすぐ完成致します。かなり深い内容でもありますし、決して口当たりのいい作品ではないかもしれません」としつつ、「最初は不思議な味だと思うかもしれませんが、よく味わってみれば新しい味が開けていって、皆さんを夢の世界に連れて行っていくことができると思います。どうぞよろしくお願いします」と、会見を締めくくった。

映画『ばるぼら』は2019年全国公開。