荒井由実、矢野顕子、槇原敬之ら出演 小坂忠の『ほうろう』をフィーチャーした、武部聡志プロデュース『SONGS & FRIENDS』をレポート
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新日本製薬 presents SONGS & FRIENDS Photo by 中嶌英雄
11月26日に東京国際フォーラム ホールAにて開催された武部聡志プロデュース『新日本製薬 presents SONGS & FRIENDS』のオフィシャルレポートが到着した。
11月26日、武部聡志プロデュースによる一夜限りのコンサート『新日本製薬 presents SONGS & FRIENDS』が東京国際フォーラム ホールAで開催された。
『SONGS & FRIENDS』は、武部聡志が選ぶ『100年後も聴き続けてほしいアルバム』、つまり“名盤・名作”を、その音楽の遺伝子を受け継ぐアーティストたちが再現するというプレミアムなコンサート。今年3月に、第1弾として荒井由実の『ひこうき雲』をフィーチャーし開催されたが、今回は第2弾。フィーチャーされるアルバムは、1975年にリリースされた小坂忠の『ほうろう』。斬新なサウンド、表現力豊かなハイレベルなボーカル、そしてその後の日本のミュージックシーンを作り上げるミュージシャンたちの演奏。発売から40年を超えても、聴くたびに新しい衝撃を与えてくれる名盤だ。総合演出は第1弾に続いて、松任谷正隆が担当。
松任谷正隆 Photo by 西岡浩記
大きく分けて4部構成になっている今回のコンサート。鬼無宣寿ゴスペルクワイアによる「You Are So Beautiful」、そして小坂の娘・Asiahのボーカルと武部聡志のピアノによる「Unforgettable」からスタートした第1部は、1972年に結成された「小坂忠とフォージョーハーフ」のメンバーが登場。
松任谷正隆、林立夫、後藤次利、駒沢裕城という豪華メンバーと一緒にアルバム『もっともっと』に収録されている「好きなんだから」「どろんこまつり」を演奏。さらに、その頃から親交があった高橋幸宏を呼び込み、「からす」も披露した。
さかいゆう、田島貴男、小坂忠、槇原敬之、Char Photo by 中嶌英雄
田島貴男 Photo by 中嶌英雄
槇原敬之 Photo by 中嶌英雄
第2部は、ゲストミュージシャンたちが武部バンド(武部聡志、小倉博和、根岸孝旨、屋敷豪太)の演奏で、小坂の楽曲を独自の解釈で歌い、演奏するコーナー。さかいゆうによる「氷雨月のスケッチ」、田島貴男を加えてソウルフルに歌い上げた「流星都市」、槇原敬之によるスライ・ストーン風アレンジの「機関車」、Charがギターと歌で魅せた「Hot or Cold」など、オリジナルとは違った魅力を感じさせてくれた。
Char Photo by中嶌英雄
荒井由実、小坂忠 Photo by 三浦麻旅子
第3部はアコースティックコーナー。ここで登場したのは、小坂の1stソロアルバム『ありがとう』にスタジオミュージシャンとして参加していた荒井由実。ステージに登場したユーミンは、「六本木に『SPEED』というディスコがあって、そこにエイプリル・フールというバンドで出てらしたのを見た、中学生の時に」と初対面のエピソードを語った。「その忠さんのエイプリル・フールを見て、すごいかっこいい!と思った。ロン毛のパンチで、チャイナサンダルを履き潰していて、パンタロンを履いて、ヒッピーでしたね。ベースが細野(晴臣)さんで、ドラムが松本(隆)さんで。洋楽みたいって言い方も変だけど」と、続けてその当時の印象を語った。さらに「有名な話ですけど、はっぴいえんどのボーカルに本当は誘われてたんでしょう?」と質問をすると、小坂は「そういう将来のバンド活動の話をした時も、一緒にやるというハッキリとした話はなかった」と答えたが、「でも、松本さんはそう言ってたよ」とユーミンが言うと、「じゃあ、ハッキリ言って欲しかったな(笑)」と答えて会場を和ませた。その流れで、小坂と2人で「みちくさ」を聴かせてくれた。その後も、BEGINや矢野顕子が登場するなど、豪華なアーティストリレーは続いた。
高橋幸宏、小坂忠、BEGIN Photo by 三浦麻旅子
矢野顕子、小坂忠 Photo by 三浦麻旅子
第4部はレジェンドバンドのコーナー。松任谷正隆、武部聡志、鈴木茂、林立夫、小原礼と「流星都市」「氷雨月のスケッチ」を、吉田美奈子を呼び込んで「しらけちまうぜ」を、尾崎亜美が登場して「機関車」を演奏。そして『ほうろう』のプロデューサーを務めた細野晴臣が満をじして登場。「本当に『ほうろう』のマルチトラックを聴いた時に、感激しました。細野くんのベースが」「いつの話?」「2010年」「あ、あれね。いいアルバムだね」「20代のみんなの演奏が素晴らしい」「20代っていうのはピチピチしてますから(笑)」と会話し、「音楽はね、年取っても良くなる。渋くなる。ますます歌、いいですよね。素晴らしい」と細野が話した後、「ふうらい坊」「ほうろう」を演奏した。そして、「Jesus Loves Me~Amazing Grace」で本編を締めくくった。
尾崎亜美 Photo by 西岡浩記
小坂忠 Photo by 西岡浩記
武部聡志 Photo by 西岡浩記
ここまででも十分豪華な内容だったが、アンコールでは出演者全員が登場し、「ゆうがたラブ」を、ゲストミュージシャンたちのソロを交えて聴かせるという大サービス。そして、小坂と武部による「You are so Beautiful」が、映画のエンドロールのように、この伝説的な一夜の余韻を味わせてくれた。
“奇跡”が裏テーマだとMCで語っていた通り、レジェンド級のミュージシャンたちが一堂に会したこのコンサートはまさに奇跡と言って過言ではない。このコンサートの模様は2019年春にWOWOWで放送されることが決定している。