ポップカルチャーは国境を越える! アメコミ人気の日本定着を実感する『東京コミコン2018』は今年も大盛況
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『東京コミコン2018』オープニングセレモニー
1970年にアメリカで誕生し、毎年7月にサンディエゴで開催されて最大13万人の映画・コミック・アニメ・ゲームファンを集めるポップカルチャーイベント「コミコン」(コミック・ブック・コンベンションの略称)。アメリカのみならずフランス・イギリス・台湾と開催国も拡大し、2016年には初の日本開催となる『東京コミコン』がスタート。
すでに国内では様々なアニメやゲームのイベントが開催されているが、それらとはひと味違う開放的なアメリカン・スタイルの新鮮さもあって初年度より大盛況だ。
そして今年も11月30日~12月2日にかけて幕張メッセにて3回目となる『東京コミコン2018』が開催。今年も5万人超のファンを集める盛り上がりを見せて幕を閉じた。今回は初日の様子を中心にレポートをお送りしよう。
■オープニングセレモニーには新旧のレジェンド達が大集合!
『東京コミコン2018』の幕開けとなるオープニングセレモニーは、よしもとのアメコミ大好き芸人達によって結成された「アメコミリーグ」(2丁拳銃・川谷修士、なだぎ武、バッファロー吾郎・竹若元博、御茶ノ水男子・おもしろ佐藤)と、『東京コミコン2018』アンバサダーを務める中川翔子の司会進行でスタート。
第1回より実行委員会名誉会長を務める山東昭子参議院議員、実行委員長の胸組光明、名誉特別顧問の伊藤信太郎衆議院議員の挨拶の後、スクリーンには先日亡くなられたアメリカンコミックの第一人者にして「ポップカルチャーの父」として慕われたスタン・リーの追悼VTRが流された。
『東京コミコン2018』立ち上げに尽力したスタン・リーを追悼
マーベルコミックの生みの親でもあり、『東京コミコン』名誉親善大使としてイベント立ち上げにも尽力した彼の存在なくして『東京コミコン』は語れない。会場内に設けられた追悼コーナーには、初日にして書き込む隙間もないほどの来場したファンからの感謝と哀悼のメッセージが寄せられるなど、その存在の大きさが改めて示された。
『東京コミコン2018』会場内に設置されたスタン・リー追悼碑
ファンから多くの言葉が寄せられた
VTRのラストに記された「Stan Lee will return(スタン・リーは戻ってくる)」のメッセージは、ポップカルチャーを愛するファン達の中で彼が生き続けているということの証なのだ。
続いて今回の『東京コミコン2018』を盛り上げるスペシャルゲスト陣が続々と登場。
『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』で少年期のボバ・フェットを演じたダニエル・ローガン
『バーフバリ』で暴君バラーラデーヴァを演じたラーナー・ダッグバーティ
『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』で少年期のボバ・フェットを演じたダニエル・ローガンが子どもを抱いて現れて場をほっこりさせつつ盛り上げたのを皮切りに、国内にインド映画ブームを再燃させた『バーフバリ』で暴君バラーラデーヴァを演じたラーナー・ダッグバーティ、『ハリー・ポッター』シリーズでロンの双子の兄フレッド&ジョージを演じたフェルプス兄弟、1987年に大ヒットを記録したオリジナル版『ロボコップ』シリーズでマーフィー/ロボコップを演じたピーター・ウェラー、『ジャスティス・リーグ』のフラッシュや『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』のクリーデンスを演じたエズラ・ミラーが個性的なファッションと日本語を交えたリアクションで客席を沸かせ、ラストは『マイティ・ソー』『アベンジャーズ』のロキ役で人気のトム・ヒドルストンが登壇。
オリジナル版『ロボコップ』シリーズでマーフィー/ロボコップを演じたピーター・ウェラー
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』のクリーデンスを演じたエズラ・ミラー
『マイティ・ソー』『アベンジャーズ』のロキ役で人気のトム・ヒドルストン
日本でも大ヒットを記録した新旧の名作に登場した名優達の競演に、客席は大歓声に包まれ、アンバサダー・中川翔子も「ロキ様!」と壇上で大興奮。
オープニングセレモニー最後はご覧の豪華さ
そしてさらなる特別ゲストとして、『銀河鉄道999』『キャプテンハーロック』等の数々の傑作コミックで多くの作品/クリエイターにも影響を与えた松本零士も登場。
今年で生誕80周年を迎え、先日開催されたイタリアのコミックイベントにて「グランドマエストロ」として表彰もされた氏は、セレモニー後のトークショーではデビュー当時のことや手塚治虫・石ノ森章太郎らとの交流など、貴重な話の数々を披露して来場したコミックファンを楽しませた。
特別ゲスト松本零士
■アニメで描かれる『スターウォーズ』の新たなクロニクル! 『スターウォーズ レジスタンス』製作陣によるトークショーが開催
『スターウォーズ レジスタンス』製作陣トークショー
2015年に公開され、新たな『スターウォーズ』の物語の幕開けとして大ヒットを記録した『フォースの覚醒』。そこに登場する銀河帝国残党勢力「ファーストオーダー」と、彼らに対抗すべくレイアが組織した軍事組織「レジスタンス」の誕生を、同作の半年前の世界を舞台に描くのが12月9日よりディズニーXDとDlifeで第1~2話が日米同時放送、2019年1月よりディズニーXDにてレギュラー放送される新作アニメ『スターウォーズ レジスタンス』だ。
そのエグゼクティブ・プロデューサーを務め、『スターウォーズ:クローンウォーズ』などで二度のエミー賞を受賞。ハリウッドでは「エンターテイメント業界で最も力のある女性100人」に名を連ねるアシーナ・ポルティーヨと、エピソード制作を担当するポリゴン・ビクチュアズのジャック・リアンによるトークイベントが『東京コミコン2018』初日に開催。『スターウォーズ』ファンなら誰もが気になる内容や制作秘話などを語り尽くした。
『スターウォーズ レジスタンス』製作陣トークショー
『スターウォーズ』といえばフォースやジェダイのイメージだが、アシーナ氏によると今回の『レジスタンス』はジェダイが衰退していた時期の物語ということで、話の中心になるのはXウイングなどを駆るパイロット達になるとのこと。
『フォースの覚醒』でも活躍した凄腕パイロットのポー・ダメロンに見出された若きパイロット・カズが主人公となり、Xウイングを始めとするおなじみの機体や新たな戦闘機が多数登場。それらが繰り広げるエアレースや空中戦とともに、ファーストオーダーの台頭とそれに対抗するレジスタンス誕生の物語が描かれるとのことだ。
制作に関わったジャック氏は「『スターウォーズ』が好きじゃない人なんているわけがない」と、新たな物語に関われることが嬉しかった反面、徹底的な箝口令が敷かれていたので正式発表まで誰にも『スターウォーズ』を作っていることを話せなかったのが辛かったとのことだ。
『スターウォーズ レジスタンス』製作陣トークショー
そして今回の『レジスタンス』は、これまでの『クローンウォーズ』『反乱者たち』とは異なるビジュアルの作品にしたいという思いから、日本のアニメの影響を大きく受けたと語るアシーナ氏。司会から具体的な作品名を聞かれた際には『マクロス』シリーズや『シドニアの騎士』『山賊の娘ローニャ』などを挙げた。
ジャック氏もポリゴン・ビクチュアズはこれまでにないアニメへの挑戦を常に続けてきた製作会社だったので、このオーダーはとてもやりがいのあるものだったと語った。その成果がこれまでの3Dシェーディングのビジュアルから、セルルックCGへの転換で、ステージ上では実際にどのような行程で映像が作られているかなどもメイキング映像を交えて紹介された。
イベントの最後には『レジスタンス』のヒロインでもある女性パイロット、トーラ・ドーザの吹き替えを担当する声優・佐藤美由希が登場。アシーナ氏に花束をプレゼントし、作品への意気込みを語って会場の『スターウォーズ』ファンにその魅力をアピールした。
『スターウォーズ レジスタンス』製作陣トークショー
日本のアニメに近いテイストのビジュアルと迫力満点の空戦シーン満載で、これまでのシリーズと『フォースの覚醒』『最後のジェダイ』と続く新シリーズのミッシング・リンクを描く『スターウォーズ レジスタンス』。『スターウォーズ』ファンはもちろん、普通のアニメファンも極上のSFアドベンチャーアニメとして楽しめること確実の期待作であることを見せてくれたステージとなった。
『スターウォーズ レジスタンス』製作陣トークショー
■日本国内でのアメコミ人気の定着を実感させる盛り上がり…エンターテイメントに国境はなくなった!
三日間にわたって様々なステージイベントやゲスト俳優/クリエイターによるサイン&撮影会、多彩なショップ&メーカーによる展示やグッズ販売で大いに盛り上がった『東京コミコン2018』。初日の11月30日は平日だったにも関わらず、国内外から多数のファンが集結して熱い賑わいを見せ、マーベル&DCのアメリカンコミック勢などの海外発エンターテイメントがメインでも、それを受け入れて楽しむファン層が日本にも根付いたことが実感できる三日間となった。
『東京コミコン2018』会場
ネットやSNSを介して海外のエンターテイメント情報に触れ、自由でオープンなアメリカ流のコンベンションスタイルにも馴れ親しむ層が増えていく中で、日本のエンターテイメントはどのように存在感をアピールしていくのか? そんな課題を感じさせながらも、国境や文化に囚われないエンターテイメントの多彩な広がりを見せつけた『東京コミコン2018』。来年の開催も決定し、今後も目が離せないイベントとなりそうだ。
写真で見る『東京コミコン 2018』
ここからは、各ブースを一気に紹介していこう。
『Mr.ビーン』のミニクーパーに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアン、そして『ナイトライダー』のナイト2000と、映画&ドラマで人気を博した思い出の車が勢ぞろい。
『Mr.ビーン』のミニクーパー
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアン
『ナイトライダー』のナイト2000
ハーレーダビッドソンは『ターミネーター2』で使用された撮影車両や、『キャプテン・アメリカ/ウインター・ソルジャー』等で使用されたものと同型のバイクを多数展示。撮影車両以外はまたがって記念撮影もOKだった。
ハーレーダビッドソンブース・『ターミネーター2』で使用された撮影車両
ハーレーダビッドソンブース・撮影使用と同型のバイク展示
ハーレーダビッドソンブース・『キャプテン・アメリカ/ウインター・ソルジャー』等で使用されたものと同型のバイク
会場では日本のメーカーも存在感をしっかり示していた。バンダイブースではSHFiguartsを使用したジオラマや、今回の展示用に製作したスペシャルフィギュアなどを多数展示して、その技術と魅力をアピール。
バンダイブース・ジオラマセット
バンダイブース
バンダイブース
会場内では実際の撮影に使用された衣装やプロップなども多数展示されていた。どこもかしこもファンにとってはフォトスポット&真の映えスポットだ。
撮影に使用された衣装やキット
撮影に使用された衣装やキット
撮影に使用された衣装やキット
撮影に使用された衣装やキット
さらに気合いの入ったコスプレイヤーがイベントを盛り上げ、ゾンビの特殊メイク体験を用意した出展者も。
気合入りまくりのコスプレイヤーさんたち
本格的なゾンビメイクのお客さんも
『スターウォーズ』ブースでは、ミレニアム・ファルコンのコクピットを模したフォトスポットや、劇中のシーンを再現した立体映像のデモンストレーションがファンを出迎えた。
『スターウォーズ』ブース ミレニアム・ファルコンのコクピットがフォトスポット
『スターウォーズ』ブース あのシーンを再現!
そして、『名探偵ピカチュウ』『バンブルビー』など、公開間近の話題作も凝ったディスプレイやフォトスポットでアピール。人気を集めていた。
公開間近の『名探偵ピカチュウ』ブース
『バンブルビー』
『バンブルビー』
『東京コミコン 2018』にはマーベルだけではなく、日本のヒーローも登場している。日本からのヒーロー代表として存在感を示したのが、円谷プロダクションブースの『ウルトラマン』シリーズ。
円谷プロダクションブースの『ウルトラマン』シリーズ
円谷プロダクションブースの『ウルトラマン』シリーズ
『ウルトラマンティガ』『ウルトラマンダイナ』のジオラマやプロップ、Netflixにて来年春より全世界配信されるCGアニメ『ULTRAMAN』などをアピール。ステージイベントでは劇場版『ウルトラマンR/B』のスペシャルステージなどが行われた。
そして和製ヒーローの元祖といえる『月光仮面』も今年で生誕60周年。会場には青森ねぷたで使用された月光仮面ねぷたがお目見えとなった。
和製ヒーローの元祖『月光仮面』はねぶたで登場
ハイクオリティなアメリカンコミックフィギュアで人気を博すHot Toysは多彩な展示や魅力的な限定フィギュアを求めるファンが長蛇の列を作る大盛況ぶり。懐かしい昭和のバットマンジオラマや、リアルに作り込まれたスタン・リーのフィギュアも展示された。
「Hot Toys」ブース
アメリカンコミックフィギュアで人気の「Hot Toys」ブース
「Hot Toys」ブース
「Hot Toys」ブース
「Hot Toys」ブース
マーベルブースでは新作映画『キャプテン・マーベル』を始めとする人気作品の展示が大盛況。さらに女性向けアパレルの販売なども行われ、多岐にわたる人気の広がりをアピールした。
マーベルブース
マーベルブース
DCコミックブースでは日本の縁日とバットマンやスーパーマンら『ジャスティス・リーグ』の面々を融合させたユニークな展示とアトラクションで盛り上がった。
DCコミックブース
DCコミックブース
DCコミックブース
アニメ版の放映も控える『バーフバリ』はナンをモチーフにしたユニークなゆるキャラや、バーフバリお面の配布などでアピール。最終日にはバラーラデーヴァ役のラーナー・ダッグバーティを招いてのステージイベントも行われた。
『バーフバリ』
『バーフバリ』
まだまだ細かく観ればキリがなかった、今回の『東京コミコン2018』。自分の好きなものだけに絞っても、見どころ、買いどころ、撮りどころはたくさん。さらに気になるものを加えれば、いくらでもじっくり楽しめるイベントだった。次回も開催に期待したい。
取材・文・撮影=斉藤直樹