NOT WONK、パンク界に現れた要注目の大型新星に緊急インタビュー

2015.11.7
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NOT WONK/2015年10月24日(土)代官山UNIT

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10月24日(土)、代官山UNITでdip、The fin.、NOT WONKという3バンドが共演するイベントが開催された。この3組に共通することといえば、自分の信じる音楽を鳴らすという以外は英詞くらいか。ジャンルも、キャリアも、恐らくファンも異なる3バンドの2番手としてNOT WONKはステージに登場。終始伏し目がちなMCと、発せられる言葉の強さ、そして楽器と向き合った瞬間、3人が寄って集って繰り出すとんでもない熱量。パンク好きという以前に、音楽好きに違いない筋の通った雑食性が、曲が進むごとにガラリガラリと表情を変えながら、威力を増しながら、フロアに浸透していく。ほぼ初対面のオーディエンスに対して、十八番の曲でNOT WONKをパッケージして見せるのではなく、今一番リアルな新曲をサラリと披露してしまうのもいい。アグレッシブなプレイが描き出す繊細なメロディと変幻自在のリズム、印象的なギターリフ、そして時折こぼれる子供みたいな笑顔と3人のコーラスが抜群に美しかったことも記しておきたい。

そしてここからは、ライブ2時間前に行なったインタビュー。音源を聴いて私が勝手に想像していたイロイロや、ライブに関して3人から予告されてたイロイロは、イロイロな意味で裏切られた。けれどそれは爽快で豪快でクセになる裏切りで、知ったら最後、追わずにはいられない求心力を持った質の悪~い魅力なのだった。


「いいメロディがあればどこへでも行ける。
 村社会的にならないでできた方が楽しいだろうなと」(加藤/Vo.G)

――アルバム『Laughing Nerds And A Wallflower』リリースから半年、手応えや変化みたいなものは感じていますか?

加藤修平(Vo,G) :北海道外でのライブが多くなりましたね。しかも去年初めて道外でやった時は、当然俺らを知ってる人なんていなくって。でもアルバムを出してからレコ発のツアーを廻ったり、最近はほぼ毎月ライブをしに来ていて。そしたら知らない人が自分らのことを知ってるっていう。不思議だけど、そういうのは単純に嬉しいなって思いますよね。

――道外でのライブの頻度と、カセット、コンピ盤、アルバムという、生き急いでいるような連続リリースですよね。

加藤:あぁ、あれは誘われたものを全部OKしていった結果っていう感じですかね(笑)。

――にしても、何かしらキッカケがないと、お声自体、掛からないわけですよね?

加藤:まず、生き埋めレコーズっていうレーベルのV.A.に参加したんですけど。それは『MATSURI』というパンクのイベントがあって、そこでSEVENTEEN AGAiNのボーカルの方にデモCDを渡したんですよね。そしたらTwitterで「これはいいぞ」みたいに書いてくれて。それを生き埋めレコーズのTHE FULL TEENZのメンバーが見て、V.A.に誘ってくれて。そのV.A.を聴いて、CAR10ってバンドが誘ってくれたイベントにSEVENTEEN AGAiNも出てて。ようやくライブを観てもらえたその日に「テープ出さない?」って誘われて。そのテープを安孫子(真哉、ex銀杏BOYZ)さんが聴いてくれて、安孫子さんのレーベル・KiliKiliVillaからアルバムを出せることになったという。

――そんなわらしべ長者的な、奇跡みたいに純粋な音楽の連なりってなかなかないですよね。

フジ(B) :ホントに一個何かやったらね、“えっ?”みたいな感じで繋がっていって。

――目まぐるしい展開の内側からは、どういう景色が見えているんでしょう?

フジ:いやぁ、あんまり深く考えたことがないから。むしろ、“やらなきゃ、あぁ、まだやらなきゃ!”っていうのを繰り返しています。

アキム(Dr):気付かされる時に気付くだけというか。なんも反響ねぇんじゃないかなぁと思いつつ、次の展開が来た時に、“あっ、手応えあるわ”ってやっと気づくんだよね、毎回。

加藤:道内より道外の反応の方がどう考えても良くて。けど僕らは基本的に苫小牧っていう街にいるので、何が起こっているのかあんまりわかってないんですよ。

――聴き手としては、あまりにも美しい広がり方に驚きはするけど、意外ではなくて。それはNOT WONKの音楽が基本、いいメロディといいコード感で成り立っているからで。

加藤:それは自分でもちょっと思っていて。結局、いいメロディがあればどこへでも行ける。もともといろんなジャンルの音楽が好きなので、まぁ村社会的にならないでできた方が楽しいだろうなと。

 

「アルバムを聴いて観に来た人が、“コイツら、やり過ぎじゃない?”
 みたいなライブができているのがちょっと楽しい」(アキム/Dr)

――ちなみに、NOT WONKはどんなふうに生まれたんですか?

加藤:高校1年の冬休み明けに結成して。っていってもオリジナルメンバーは僕だけで、しかも当時はベース&ボーカルをやっていて。ELLEGARDENとかHi-STANDARDのコピーから始まり、初めてパンクっていうものを意識して聴いたのがSEVENTEEN AGAiNだったんですよね。そこからポップパンクとかメロコアに目覚めて、けどメンバーはずっと転々としてて。で、高校3年生の時にメンバーが僕だけになった期間が2週間くらいあって。もうギターでもベースでもどっちでもいいやと思っていたら、フジが「じゃあ僕ベースやります」っていうから、僕はギターになったんです。苫小牧は人がいないんで、選択肢がないんですよ。やりたいっていってきたヤツを入れるしか。

――まぁ、そこはいいメンバーに出会ったことにしたらいいんじゃないかな(笑)。

加藤:あははは。いや、ホントに。運良く3年も続いてるし、今はいいバランスだなと思ってます。

――そうなると、この3人になってライブもかなり変わったのでしょうか?

加藤:そうですね。だからアルバムとライブが全然違うっていわれるんですよ。「インディーポップっぽいバンドだと思ってた」とか、「こんなバンドだと思ってなかった!」くらいの勢いで。

――その反応はバンド的にどうなんですか?

加藤:いや、嬉しいです。僕、男らしい音楽が好きなので。北海道だと、eastern youthとか、bloodthirsty butchersとか、男らしいじゃないですか。それって重要だなぁと思って。

アキム:アルバムを聴いて観に来た人が、「コイツら、やり過ぎじゃない?」みたいなライブができているのがちょっと楽しいよね。バッコバコやりまくりますもんね(喜)。いい意味で期待を裏切るというか、まぁアルバムと同じことができないんですけど、たぶん。

――フフフ。ライブの楽しみが増えました。例えば、苫小牧だから生まれる音楽ってあると思いますか?

加藤:閉鎖的な街でしか生まれない音楽って絶対あると思うんです。なんかこう、東京って異文化の坩堝的な場所じゃないですか。それがまったくない、中のことだけで回っている土地なので。色みたいなもので分別できないものがあるんだと思うんですよね。

フジ:そもそも苫小牧だと、対バンがパンクだけみたいなことが絶対にあり得なくて。

アキム:むしろパンクバンドなんて全然来ないし。

フジ:だから普段、聴かないような音楽もライブで生で観れたりとか。

――その感じは作品にも出ているかも。収録曲も17曲とかなり多いけど、それ以上に振り幅が大きくて、しかも1曲1曲にいろんな扉が用意されている感じがします。例えば、さっき年齢を聞いてオープニングナンバー「1994!」は生まれた年だとわかったけど。

加藤:ハイ。僕の生まれた年ですね。

――楽曲を聴いていた時は、Arctic Monkeysも昔“1984”って叫んでたよなぁとか思い出したりしてて。

加藤:あっ、それなんですよ。みんなandymoriっていうんですけど、そっちはあんまり聴いたことがなくて。むしろArctic Monkeysの「I Bet You Look Good On The Dance Floor」がすごくカッコいいなぁと思ってやってみました。

フジ:模範解答です。

NOT WONK/2015年10月24日(土)代官山UNIT

「気持ち悪いよね。ダイブする曲を家で予習してきました、みたいなの」(フジ/B)
「好きなバンドの新曲を一番最初に聴けるなんて喜ばしいことなのに、お馴染みの曲じゃないと盛り上がれないなんて、自分勝手だな」(加藤/Vo)

――そうでしたか。とにかく、歌詞や曲名からどんどん妄想が膨らんでいくというか、いろんなヒントが散りばめられている感じがしたんですね。

加藤:なんかその、振り幅ってやっぱり好きで、捨て曲は嫌いで、前にやったことはやりたくないっていうのがあるので。それを続けていくと同じ曲が生まれないというか。歌っていることもあんまり一緒だと面白くないなぁと思ったりするし。なので、この頃の自分はこんなことやってんだなぁとか、自分たちの曲を聴いて思い出したりします。

――ということは、歌詞にはその時の自分自身を落とし込んでいるんですね。

加藤:身に起こったことをとりとめのないまま書くのが好きですね。さっきの話じゃないけど、そういう歌詞にするとみんな推測してくれるから。ブッチャーズは日本語ですけど、それでもこれはどういう意味なんだろう? みたいな歌詞が……。

フジ:めっちゃあるよ。

加藤:よーく考えるとこういう意味な気もするし、全然違うかもしれないし、そういうのが面白いなぁと思って僕は聴いていたので。それと繋がっているかわからないけど、ライブでもこう、基本的に新曲をやりたいんですよ。どうせなら新曲をバカスカ作って、ライブでバカスカやって、早く聴かせたいし、みんなの反応が見たい。そしたらそれをレコーディングして音源も出したいし、みたいな。

――全部ちゃんと繋がってますよ。常に自分が一番面白がっていたい。そのためにも意識的に新しい場所にいきたいってことですよね。

加藤:そう。作ったばっかりの曲を3人で演奏するのって、素直に楽しいんですよね。お客さんは知らない曲って聴きたくないのかな? なんなんですかね、そういう……フェス文化じゃないけど。

フジ:気持ち悪いよね。ダイブする曲を家で予習してきました、みたいなの。

加藤:好きなバンドの新曲を一番最初に聴けるなんてすごい喜ばしいことなのに、お馴染みの曲じゃないと盛り上がれないなんて、自分勝手だなぁと思うんですよね。アキムなんて、俺らのレコ発の時に対バンのSEVENTEEN AGAiNでダイブして頭から落ちて、ライブ前に脳しんとう起こしたことがあって。

アキム:みんなに楽屋まで担がれました(苦笑)。

フジ:「ちょっと痺れてます」とかいって。マジかよ?! 初日だぞって(笑)。

加藤:それもSEVENTEEN AGAiNがMCで僕らのことをいってくれて、嬉しくてすごくアガっちゃってたんですよね。そういうことじゃないですか、ダイブって。

アキム:ハイ。衝動ですね。

加藤:冷たい言い方になるかもしれないけど、誰がなんといおうと自分ら以外関係ないっていう感覚がずっとあるので。だからアレンジでも「いや、僕らは…」みたいなことを2人がいっても、「いや、俺こっちがいいと思うから」って振り切ることもあるし。アキムのフレーズがいいなと思ったら、すぐそっちにしようってなるし。いいと思ったことを取捨選択していった先に進んでいきたい。

――それ、超健全ですね。最初のわらしべ長者の話じゃないけど、NOT WONKの活動はそういう素直な反応に支えられてきたわけですもんね。

加藤:そうだと思います。だからまぁ苫小牧でのライブは相変わらずお通夜みたいにひっそりしてるんですよ。けどそういう雑多なブッキングでもCDが1、2枚売れたりする。それってかなり信頼性があることだから。そういう素直な人に聴いてもらえたら、常にそういう関係であれたらいいなぁと思う。

フジ:知らない人の前でやれるだけでワクワクするよね。

アキム:東京に来る度にビックリするもん。“知らない人しかいねぇ!”って。

加藤:特に今日ってお馴染みの人がいない日だと思うんですよね。そこでCDが何枚か売れたら、“本当に信用できる人だ!”って。今は知らない人の前で演奏できるのが一番嬉しいかもしれない。

インタビュー・構成=山本祥子
 

NOT WONK/2015年10月24日(土)代官山UNIT


 
ライブ情報

『SEVENTEEN AGAiN 3rd album ”少数の脅威”レコ発』
11月07日(土)苫小牧ELLCUBE
出演:SEVENTEEN AGAiN (東京)/Bittersweets (蒲田)/Two Layers Of Paint/The Sleeping Aides & Razorblades/NOT WONK
OPEN 13:00 / START 13:30
前売¥2,000 当日¥2,500 (+1DRINK)

『少数の脅威リリースツアー』
11月08日(日)KLUB COUNTER ACTION
出演:LEXT/NO HITTER/toilet/NOT WONK/OVER HEAD KICK GIRL
前売 / 当日 2,000円/2,500円  開場/19:00 開演/19:30

『KiliKiliVilla Presents 不安と遊撃 Vol.2』
11月21日(土)渋谷O-nest
出演:LOSTAGE / NOT WONK
DJ : タイラダイスケ(FREE THROW)
OPEN 18:00 / START 18:30
前売り:3,000円 / 当日:3,500円
問い合わせ:AT FIELD 03-5712-5227
>>購入ページはこちら 

『週末ダイナー水戸vol.2』
11月22日(日)水戸VOICE
出演:car10/GOING UNDER GROUND/never young beach/NOT WONK/and more
DJ:やついいちろう/庄司信也/yuyanakamula
food:eat・livin'_lab ANTENNA
14:30 OPEN / START 20:00 CLOSE
前売り¥3.800/当日¥4.300
※当日の入場は先着順となります。
時間の関係上、15時に開演しますのでお早めにお越しください。
>>購入ページはこちら

『下北沢にて'15』
11月23日(月)
会場:GARDEN / 251 / BASEMENT BAR / THREE / Cave Be / MOSAiC / Daisy Bar / Laguna / Studio BAYD / and more...
http://www.shimokita-nite.net/news/

 

リリース情報
アルバム『Laughing Nerds And A Wallflower』
2015年5月20日発売
KKV-14 ¥2,160(税込)

 

NOT WONK『Laughing Nerds And A Wallflower』


<収録曲>
01. 1994!
02. LITTLE MAGIC
03. NOT ENOUGH
04. GUESS WHAT I'M THINKING
05. BUNCO
06. CHILL OUT
07. OOH,FUCK OFF THE SENIOR!
08. SUGARLESS
09. POISON GIRLS
10. WHO'S LATE?
11. SUPER CITY THREE
12. DIE YOUNG FOR THE EARTH
13. GIVE ME BLOW
14. I KNOW
15. LAUGHING NERDS AND A WALLFLOWER
16. NOT ALL
17. NEVER DYE IT BLONDE​