LAMP IN TERREN ツアー東京公演のセトリや詳細内容も解禁! 「完全版」レポを大公開
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11月7日、地元・長崎でファイナルを終えたLAMP IN TERRENの『THE FIRST ONE MAN TOUR “BLUESYARD~landing probe tour 2015~"』。全公演を終えたことを受け、東京公演のレポートにセットリストを含む詳細情報を加筆、さらに写真も追加! ツアーに参加した方もそうでない方も、彼らの魅力の一端に触れていただければ幸いである。
ワンマンとしてはバンド史上最大規模の会場・SHIBUYA CLUB QUATTROで行われた、LAMP IN TERRENの『THE FIRST ONE MAN TOUR “BLUESYARD~landing probe tour 2015~』東京公演。
『BLUESYARD』とは、"憂鬱の置き場所"という意味である。
LAMP IN TERRENは、痛みや悲しみから目をそらさずに歌い奏でるバンドだと思う。影があるから光は輝き、憂鬱があるから解放の喜びがある。その楽曲で、ステージングで、彼らが伝えていることの柱はそこにある。だから強く、優しい。クアトロを埋め尽くした満員のオーディエンスはこの日、『BLUESYARD』に憂鬱を置いて帰ることができたに違いない。
高まる期待と緊張感とは裏腹に、ゆるやかなアンビエントのSEの中登場した「4人」。そう、このツアーから大屋真太郎(G)が正式に加入し、LAMP IN TERRENは4人体制となった。
松本大(Vo/G)が静寂の中に「スーッ」と息を吸い込む音を響かせて歌い出した「L–R」。自身のギターのみで1コーラスを歌い終え「ただいま」と一言告げたのち、感情の高ぶりそのままに絶叫する松本に呼応するように、オーディエンスも溜め込んだ熱を解放し、拳を振り上げて歌う。
大きなアクションでベースを奏でながら煽る中原健仁(B)、時折笑みを見せながらうなずく大屋、寡黙に迫力の重低音を叩き出す川口大喜(Dr)。4人となった彼らは、3人編成時の一丸となってぶつかってくるようなアグレッシヴさはそのままに、より厚みと奥行きを感じさせるサウンドを展開していく。まずギターが2本になったことでアレンジの幅が広がったし、楽曲によっては音源の再現性も高まっていた。それに時折4人で向かい合って音を合わせる様子は、元々4人だったこともあってかしっくり来るし、彼らの喜びがにじみ出ているよう。
目標の一つと話していた大舞台に立った彼らは、終始とんでもない熱量を秘めて展開していく。松本のがなり立てるようなハイトーンはいつも以上に荒々しくエモーショナルで、大屋の加入によってギターを弾かなくても良くなった箇所では、巧みなジェスチャーで導き、盛り上げるようになった。それが彼らの楽曲が持つドラマ性とコントラストを引き立てている。
2曲目「林檎の理」以降は、「into the dark」「クライベイベ」と激しく重厚な楽曲を並べ、「静」と「動」とがスリリングに交差する。「明日に向かって駆け出して行くために、最高の日にしましょう!」と中原が呼びかけたのちの「雨中のきらめき」では大屋がクリーントーンのアルペジオを余韻たっぷりに繰り返し、美しい音色で会場を包む。一際大きな歓声が巻き起こった「ボイド」では、大屋がトリッキーで断片的なリフを乗せたり、松本が感想で歪んだカッティングでエッジを効かせたりと、楽曲の新たな一面も見せてくれた。続けて「時の旅人」と題された新曲を披露。繊細で美しいメロディと語りかけるようなボーカル、スケールの大きなアンサンブルに乗せて、<歩いていく>と真っ直ぐに歌われる同曲を力強く響かせる4人は、今の充実とさらなる高みへの挑戦を示すかのようだ。
一転、MCでは同級生同士ならではの気のおけないトークで楽しませてくれる。松本が「新しいメンバーが入ってきたというか、帰ってきたんですけど」と改めて大屋の紹介を始めると、待ちかねていた客席から歓迎の声が飛び、メンバーの提案で全員で「真ちゃーん!!」と呼びかけることに。大屋は照れながらもとびきり元気良く「イエーイ」と返して沸かせ、お披露目の掴みとしてはバッチリ。料理が上手くて中原がよく食べに行っているという話も飛び出し、バンド内でのキャラも確立しつつあるのではなかろうか。
そこからは松本が「ボーカルとしては地獄のゾーン(笑)」と形容した中盤戦。なんとほぼノンストップで9曲を披露した。ハイテンポでスリリングなサウンドが展開される「Sleep Heroism」でペース配分無視の激しいパフォーマンスを見せたかと思えば、この日初めてのスローなナンバー「イツカの日記」では、呟くような少しかすれた松本の歌声がひとつひとつの言葉を丁寧に届けていく。「緑閃光」ではロック的カタルシス全開のギターソロで大屋が魅せ、弾んだリズムが楽しい「王様のひとり芝居」ではオーディエンスから盛大なハンドクラップが巻き起こった。「multiverse」でのコール&レスポンスは強烈な一体感で会場を満たし、メンバー一人一人のコールも披露。強引に参加させられた川口がノリノリでフェイクまで入れると場内は大盛り上がりだ。
「ここから飛び出そうぜ!」と一声叫んで繰り出した、だいぶアグレッシヴにアレンジされてドライヴ感満点の「ワンダーランド」で、未来へ突き進む意志をハッキリ提示した4人。歌い終えた松本は「僕は『ついてこい』とは言えない、一緒に歩くことしかできないんですよ」「だから、みんなが僕の手を掴んでいてくれるうちは、絶対に離さないって誓いました」とその決意を表した。そのまま盛大な拍手に包まれ、まばゆい光の中で放たれた「メイ」を高らかに歌い上げる姿は、彼らがオーディエンスとともにどこまでも進んでいくことを予感させるに十分すぎる光景だ。
「multiverse」の一節を歌い続けるファンたちの声援に応えステージに戻った4人は、「本当に出来たんだなぁ」「はぁ……終わりたくねぇ」と達成感と名残惜しさをにじませつつも、充実の表情で「Grieveman」「メトロポリス」を届け、これまでに彼らが発表してきた楽曲のほとんどを惜しみなく注ぎ込んだ全20曲に及ぶライブを締めくくった。
ただ盛り上がって楽しむだけではなく、プラスもマイナスも様々な感情を持ち寄ったバンドとファンがその昂りをストレートにぶつけ合った一夜。LAMP IN TERRENは、そのサウンド面とメンバー復帰というストーリーも含めて、ロックバンドのライブが持つ根源的な魅力を体現した。ここまで真っ向勝負を挑んでくれるバンドはとても貴重だ。
「微かな光」たちは、いま確かに輝きを増しながら、どこまでも道を照らしている。
撮影=浜野カズシ 文=風間大洋
2015.11.5 SHIBUYA CLUB QUATTRO
1. L-R
2. 林檎の理
3. into the dark
4. クライベイベ
5. 雨中のきらめき
6. balloon
7. ボイド
8. 時の旅人
9. Sleep Heroism
10. reverie
11. イツカの日記
12. 緑閃光
13. 王様のひとり芝居
14. portrait
15. ランデヴー
16. multiverse
17. ワンダーランド
18. メイ
[ENCORE]
19. Grieveman
20. メトロポリス