THE YELLOW MONKEY、バンド結成記念日に日本武道館公演 新作から初パフォーマンスも
-
ポスト -
シェア - 送る
THE YELLOW MONKEY(Photo by キセキミチコ)
THE YELLOW MONKEYが、バンド結成記念日に日本武道館にて年末特別公演『メカラ ウロコ・29 -FINAL-』を開催。この公演の公式レポートが到着したので、是非ご覧いただきたい。
興奮の一夜となった。THE YELLOW MONKEYにとって2018年唯一となるライヴ<THE YELLOW MONKEY SUPER メカラ ウロコ・29 -FINAL->が大成功のまま、幕を降ろした。
ステージ裏にまで観客が入った超満員の日本武道館。
大歓声の中、現れたバンドは「ジュディ」「サイキック№9」と、いきなりアルバム『8』からの曲を演奏する。もともとこの<メカラ ウロコ>は、通常のライヴのセットリストにはなかなか入らないマニアックな曲を演奏することを目的に1996年から始まった企画だが、ファイナルと銘打たれた今回はその色合いがいっそう強い。序盤は先ほどの『8』からなんと都合5曲が披露されたり、全体としては3枚目までのアルバムの中の曲を多めに配置したりという徹底ぶりだった。そのことをヴォーカルの吉井和哉は「商店街というか、アーケードみたいな曲ばかりで、いつの時代も今っぽくないですけど」と言って笑いをとっていたが、たしかにヒットシングルやライヴでの定番曲を外して表現されるこのバンドの世界はじつに重厚。しかもこの日はいくつかの曲で大勢のストリングスがフィーチャーされ、サウンドの深みがさらに増していた。それはTHE YELLOW MONKEYというバンドの根本がいかに特異であり、また、いかにシリアスな世界を描いてきたかの証明でもあった。
THE YELLOW MONKEY(Photo by キセキミチコ)
ただ、そんな中でも中盤、初期の人気曲である「This Is For You」では会場に開放感が広がり、エンディングで吉井が「♪This Is For……ヒデアキ~」と唄うと、すぐそばで弾いていたギターのEMMAこと菊地英昭が笑顔を浮かべる。間のMCではメンバー4人が爆笑MCをくり広げ、吉井に「埴輪!」「土偶!」と振られたEMMAがポーズをとるとフロアに銀テープが飛び交う瞬間も。ドラムスのANNIEこと菊地英二はEMMAと一緒に遺跡について語ったり、ベースのHEESEYこと廣瀬洋一はかつての衣裳の型を使って今夜の衣裳を作ってきたりと、柔らかい話もたっぷり。メンバー同士の関係が良好であることを感じさせてくれた瞬間だった。
THE YELLOW MONKEY(Photo by キセキミチコ)
そして後半には、そうした楽曲に交えて新曲「天道虫」が初めてお披露目され、観客から大歓声が起こる。ライヴ映えするこのハードな曲は現在のTHE YELLOW MONKEYのカッコ良さを集約したものと言える。その後「甘い経験」「SUCK OF LIFE」「離れるな」と続くと、会場の熱気はさらに上昇。ボルテージが一気に上がったところで、バンドは舞台を去った。
アンコールを受けて再登場したメンバーは、まずインディーズ時代の楽曲「毛皮のコートのブルース」を演奏。音源化もされていない叙情的なバラードで、じつにコアな選曲だ。そしてクライマックスでおなじみの「アバンギャルドで行こうよ」「悲しきASIAN BOY」を連射したあと、吉井の口から2019年にニューアルバム『9999』(フォーナイン)の発売と全国ツアーを行うことがあらためて告げられる。カリフォルニアで録音したアルバムについては「すごく荒削りな部分もありますが、このバンドでしか鳴らせない音が詰まっていると信じてます」と語る彼であった。そしてライヴの大団円は、そのアルバムからの先行シングルとなる新曲「I don’t know」の初パフォーマンス。吉井いわく、「このバンドが19年の間に失っていたもの、失ったけど身体にしみついていたもの、そしてこれから待っている過酷なこと」を意識して書いたという。
THE YELLOW MONKEY(Photo by MITCH IKEDA)
全24曲、およそ3時間。バンドにとっては昨年の同日以来ちょうど1年ぶりとなるコンサートだったが、4人は最後までそれを感じさせないテンションで押し切った。ファンに笑顔で手を振り、別れを惜しむ彼ら。しかし明けて2019年、再会の日はすぐにやって来る。9枚目のアルバム『9999』で、そしてそれに伴うツアーで、新しいTHE YELLOW MONKEYに会えるのは、もうすぐだ。
(文:青木優)