エレ片が追い続ける“3人にしかできない笑い” 『エレ片ライブ 光光☆(ピカピカ)コントの人』インタビュー
-
ポスト -
シェア - 送る
(左から)やついいちろう、片桐仁、今立進
エレキコミック×片桐仁によるユニット・エレ片の最新公演『エレ片ライブ 光光☆(ピカピカ)コントの人』が2019年2月14日(木)よりスタートする。
10年にわたって続いたコントライブ「コントの人」に終止符を打ったのは今から3年前の2016年のこと。そして昨年、2年間の沈黙を破り「新コントの人」で再スタートを切ったエレ片。今回の『光光☆(ピカピカ)コントの人』でははたしてどんな笑いをつくり出してくれるのだろうか。やついいちろう、今立進、片桐仁の3人に話を聞いた。
3人のコントは関係性が“線”から“面”になる
ーーそもそも「コントの人10」のDVD副音声で「3人のコントライブはこれで終わり」というようなことをおっしゃっていたと思うんですけど、2年経って復活した「新コントの人」はこれまで同様、3人でのコントライブ。これは「やっぱりこの3人がいいな」という結論だったのでしょうか。
今立:いや、単純に他に人が入れられなかったんです。ほら、やっぱりお金とかかかるし…(笑)。
片桐:そうそう。別の人とか入れてみたかったけど、現実的に考えたら3人かな、と。
ーーえー。もっとエモい理由があるのかと思ってました……。
やつい:あくまで暫定的に3人でやってるだけです。いつだって人が増えたらいいのにと思っています(笑)。
片桐:やっぱり人が増えた方が面白いからですね、コントって。
やつい:断然人数が多い方が面白い。その方がやれることが増えるから。
ーーじゃあ、今も絶賛メンバー募集中なんですね。
今立:はい。常に門は開きっぱなしです。誰もくぐってくる人がいないだけで(笑)。
ーー思ったより現実的な理由だったので、話題を変えます(笑)。2年ぶりだった前回の「新コントの人」。やってみて新しい収穫はありましたか?
やつい:コントに求めるものが変わりましたね。もう笑わせなくてもいいのかなと。
ーーそれはどういうことでしょう?
やつい:それまではもっとわかりやすい笑いをやってたんですよ。でもそうじゃなくて、笑わなくても、興味をそそられるような、そういう面白さを追求してもいいのかなと。
今立:あとはそれまでシリーズものでやってたことも一新して。だからか、やってて僕らも楽しかったですよね。
片桐:とにかく稽古をいっぱいしましたね。
今立:しました。本番直前までなかなか固まらなくて、前日に3人でカラオケボックスで稽古をしたり。ああいう経験は今までになかったですね。
ーーやっぱり3人の空気感というのも改めて感じましたか?
片桐:そうですね。それはコントをやっていると感じます。
やついいちろう
ーー改めて伺いますが、エレキコミックとエレ片の違いって何ですか?
今立:仁がいることじゃないですか。
ーーあ、単純にそこなんですね。
やつい:デカいですからね、人数は。関係性が“線”から“面”になる。台本を書いてても2人でできないことはめちゃくちゃありますけど、3人でできないことはそうないですから。
ーーわかりやすく例を挙げると『ENGEIグランドスラム』(2017年)でやってた「同窓会」っていうコント。片桐さんがいるときといないときで、やついさんの今立さんに対する態度が変わるっていうのは、確かに2人だと成立しないですよね。
片桐:ああ、まさにそうですね。
やつい:ああいうことは2人じゃできない。だからこそ3人でやる意味があるんです。
ーーやついさんのツイートを見ているとコントへのこだわりを感じるのですが、稽古はかなり繰り返し綿密に行う感じですか?
やつい:いや、コントで大事なのはむしろ“瞬発力”です。
片桐:演劇と違うのは、演劇は台本に忠実に、同じことを何回も繰り返し稽古しますよね。コントはそうではなくて。特にこの2人(やついと今立)が新しいことをどんどん思いついて、それをやっていくっていう感じなんです。
やつい:コントの稽古をする上で大事なのはリズム。だからやりとりを見ていてダルいなと思ったら短くするし、長いなと思ったらバッサリ切ってしまう。そういうことを何度もやっているうちに、徐々に固まっていくんです。
エレ片の稽古は、やついのスタンドインの子が可哀相です(笑)
ーー最近お笑いを見ていて思うんですけど、視聴者とか観客って演者同士の空気感を重視するようになっている気がして。やってる人たちが本当に仲が良いんだろうなとか、楽しいんだろうなとか、そう思えるものを求めているように感じるんですね。なのでぜひ今日は3人の仲良しなところを伺いたく。大の大人が恥ずかしいかもしれませんが、この場でお互いのことを褒め合ってください!
やつい:(即答で)今立に関しては、天才的に面白いですよ。
今立:そっちに振ったな。
やつい:今立を見てすごいなと思うのが……その…(と、5秒ぐらい考える)
今立:スッと出ないのかよ! そこはスッと言わないと。
やつい:や、面白いのに出しゃばらないというか。そこが好かれるんじゃないですか。みんな大好きですからね、今立のこと。悪く言う人を聞いたことがない。後輩に関してはヒドいらしいですけど。
今立:昔の話だよ! 今はもうそういうのないから。
ーー片桐さんは、今立さんについてどう思います?
片桐:優しいですよね。面白くないことを言っても全部笑いにしてくれますし。
今立:いやいや荷が重いわ。
ーーじゃあ今度は片桐さんのことを褒めてください。
今立:人間の力じゃないですか。片桐さんは片桐さん。何者にも代えられない。いないですもん、こんな人。
やつい:あとカッコいいですよね、ビジュアルが。
片桐:やめろ。
やつい:佇まいが日に日にカッコよくなって。
ーーなんでも大学生の頃はダサかったそうですけど。
やつい:それがCMとかドラマとかやって洗練されたんでしょうね。誰よりもカッコいいなって思います。
片桐:嘘をつけ。
今立:いつも言ってますもんね、片桐がカッコいいって。今日も3回聞いた。
片桐:やついが? 俺のことカッコいいって?
やつい:嘘っぽくないからね。「最近片桐さんカッコいいよね~!」って。
片桐:それが嘘っぽいんだよ!
今立:で、僕も「え? やっぱり?」って。
片桐:「やっぱり?」って何だよ。
やつい:ふたりの共通意見だから。やっぱり顔がカッコいいよねって。
片桐:やめてもう恥ずかしくなる(照)。……まあ悪い気はしないですけどね、冗談とは言え(笑)。
片桐仁
ーーじゃあ最後はやついさんのことを。
片桐:リーダーシップをとってくれるのが大きいんじゃないですか。
今立:いちばん大変ですからね。それをやってくれるのはありがたいです。
ーー稽古をしながら、やついさんのスゴさを感じることはありますか?
片桐:やついが演出なので、スタンドイン(代役)を入れて3人でやって、それをやついが見ているんですけど。そのスタンドインがやついに代わった瞬間、ひとつレベルが上がるのを感じますね。
今立:だからそのスタンドインの子が可哀相なんですよ。(構成)作家の子がやったりするんですけど、すぐやついから「下手だな!」って言われちゃう(笑)。「大丈夫か? 本番」とか言うんですけど、いや、本番出るのはあなただからと。
片桐:「だから芸人辞めたんだ!」とかね(笑)。
今立:誰を鍛えようとしてるんだと。その子、作家だから。
やつい:「お前が下手すぎて、台本が面白くないのかお前が面白くないのかわからない!」って言ったことがあります(笑)。まあ、でもそうやって見ているのが自分の稽古にもなるんですよね。自分が動いているようなものなので。
コントは枠そのものを自分たちでコントロールしなきゃいけない
ーー今回、タイトルに「光光☆(ピカピカ)」とついていますが、これはなぜ「光光☆(ピカピカ)」にしようと?
やつい:ピカピカって新しい感じがしますよね。でも古いものを磨き上げてもピカピカになったって言うじゃないですか。「新コントの人」は新しいことをやろうというのがコンセプト。今回はそれだけじゃなく、今までやったことを磨き上げるのもアリだなと。新しいことだけをやるだけではなく、一度やったことがあるからやめておくのでもなく、今までやったことをまた磨き直す、そういうコントライブにしたいなと思って「光光☆(ピカピカ)」にしました。
ーー今立さんも片桐さんも芸人の枠にとどまらない多彩な活動をしています。おふたりの中で、エレ片のコントライブはどんな位置づけなんですか?
今立:年に1本の本公演と言いますか。ここをハズしたらマズいなっていう気持ちは常にありますね。
片桐:僕に関してはもうコントはここでしかやってないですからね。演劇は決められた枠の中でどう動くかが大事だけど、コントは枠そのものを自分たちでコントロールしなきゃいけない。全然感覚が違いますね。
ーーやはりコントはこれからも続けたいですか?
片桐:やりたいですね。演劇だとここまでウケないですから。やっぱりウケるのは気持ちいい。非常に大事な場所です。
今立進
ーーでは、読者の方にお誘いのメッセージをお願いします。
やつい:僕らのコントライブはここでしか見られない。他じゃ見られないものをやるので、ぜひ来てほしいです。
片桐:ほとんどの方はコントはテレビで見るものだと思っていると思うんですけど、やっぱり生は全然違いますからね。芸人は絶対に生で見た方が面白い。それは断言するので、ぜひ僕の言っていることの意味を一度体験しにきてほしいです。
今立:なんだかんだ僕らのコントライブも10年以上続いているわけですから。続いているということは、それだけのものがあるということ。そう信じてですね、まだ行ったことがないよという人はこの機会にぜひお越しください!
(左から)やついいちろう、片桐仁、今立進
ライブ情報
<東京公演>
2019年2月14日(木)18:30開場 19:00開演
2019年2月15日(金)18:30開場 19:00開演
2019年2月16日(土)13:30開場 14:00開演 / 17:30開場 18:00開演
2019年2月17日(日)13:30開場 14:00開演 / 17:30開場 18:00開演
2019年2月18日(月)13:30開場 14:00開演
<東京公演全公演、終演後にアフタートークを行います>
【アフタートークゲスト】
・2月14日(木)19:00 / 磯村勇斗(俳優)
・2月15日(金)19:00 / バカリズム
・2月16日(土)14:00 / マグル小川と仲間たち
・2月16日(土)18:00 / ジェーン・スー
・2月17日(日)14:00 / エロメン(一徹&月野)
・2月17日(日)18:00 / 宇多丸(RHYMESTER)
・2月18日(月)14:00 / 濱津隆之(俳優)
料金:前売5200円、当日5500円
2019年3月2日(土)13:30開場 14:00開演 / 17:30開場 18:00開演
会場:大阪・サンケイホールブリーゼ
料金:前売4900円、当日5500円
2019年3月9日(土)13:30開場 14:00開演 / 17:30開場 18:00開演
愛知・東別院ホール
料金:前売4900円、当日5500円