香取慎吾インタビュー　『BOUM! BOUM! BOUM! 香取慎吾NIPPON初個展』に込める熱い思いを語る

昨年夏にパリのルーヴル美術館地下のカルーセル・デュ・ルーヴルで個展を開催し、芸術家としても高い評価を得ている香取慎吾。彼の日本初となる個展『サントリー オールフリーpresents BOUM! BOUM! BOUM! 香取慎吾NIPPON初個展』が、2019年3月15日〜6月16日まで、東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京で開催される。

本展では、360°回転劇場という前例のない展示空間に、100点以上のペインティング作品と体感・体験型インスタレーション作品群を展示。さらにはオムニバス映画『クソ野郎と美しき世界』で監督のひとりを務めた気鋭の映像ディレクター・児玉裕一との映像作品が公開されるなど、徐々にその全貌が明らかになりつつある。今回SPICEでは、会場となるIHIステージアラウンド東京で、香取慎吾に直撃インタビュー。長年の念願だったという日本初個展に対する思いと意気込みを聞いた。

ルーヴルから凱旋した香取慎吾、「客席が回転する劇場」で前代未聞の挑戦

――カルーセル・デュ・ルーヴルでの個展は様々な方面で話題を呼びましたが、その凱旋展示として開催される日本初個展に、どんな思いを抱いていますか？

いつかは自分の個展を開くことを夢見ていたので、初の個展をパリ、しかもルーヴル美術館に隣接した会場で行えたのは最高の経験になりました。そして、その達成感を感じる間もないまま国内でも初個展が決まり、今度は日本の皆さんにも作品を見てもらえることにワクワクしています。初個展は人生で一度きりのものだと思っていたので、パリと東京で二度もできて幸せです。

――本展は360°円形劇場の特徴を活用し、映像作品を見た後に絵画やインスタレーションを鑑賞するスタイルになると伺っています。既に下見でこの会場（IHIステージアラウンド東京）を訪れたことがあるそうですが、今日改めて足を運んでみて、どんな印象を抱きましたか？

はじめは日本で個展ができる喜びしか頭になかったのですが、実際に会場を訪れてみて明らかに普通の美術館じゃなかったので、「あれ、何か変だぞ」と（笑）。今までいろんな方の個展を見させてもらい、自分ならこういう個展がしたいというイメージもありましたが、その中にこういったもの（360°回転劇場での開催）はなかったので。開催発表の時に「僕は僕の想像を遥かに超えていく」というコメントを出させてもらいましたが、この劇場でやるということだけで僕の想像を遥かに超えちゃってますね。

――この空間を活かして特にやってみたいことは何ですか？

ずっと前から、家に入らないくらい大きな作品を描いてみたいと思っていましたが、なかなかそれを実現できるチャンスがなく……。でも、今回はこれだけ大きなスペースが用意されているので、そういうことも思う存分できるはず。パリから帰ってきて創作意欲がますます高まっているので、その気持ちを100%ぶつけたいと思います。

アートを通じて、香取慎吾が自分のすべてを“さらけ出す”

――開幕まであと1ヶ月ですが、現段階での完成度はどのくらいでしょうか？

去年の夏前から計画を進めてきて、既に6割くらいはできているつもりでしたが、今日改めてここに足を運んでみて、やはりまだ2割くらいしかできてないなと（笑）。やりたいことはいっぱいあって、それをどれだけ実現できるか。あとは時間との戦いですね。この大きな会場を目いっぱい使って、必ずみんなに楽しんでもらえる空間にします。

――展覧会のタイトルになっている「BOUM! BOUM! BOUM!（ブンブンブン）」も、フランス語で「ドキドキした鼓動」を表す言葉だそうですが、本展は香取さんの「身体性に起因するアート」がテーマの柱になっています。これはどこから着想を得て生まれたものなのでしょうか？

僕自身がエンターテイメントを構成する“素材”のひとつなので、自分の存在そのものをアートとして見せることができないかと思いついたのがきっかけです。パリでも、自分のレントゲン写真や内視鏡写真をコラージュした作品に「こんなものもアートにできるのか」と大きな反響があって、このテーマに確信を得ることができました。全体のイメージは、入り口で僕の口の中に食べられて、出口で体の外に排出されるという流れ。その途中で、僕の脳内や心音なども感じてもらって、アート展でありながら香取慎吾の全身を体感してもらえるような内容を考えています。まだ詳しいことは言えないのですが、この時のために保管しておいた“あるもの”で作った作品も構想中です。

――3ヶ月間にわたる会期の中で、展示内容が変わることもあるそうですね。

はい。せっかくこんな素晴らしい機会があるので、期間中にできあがる作品もどんどん展示していきたいです。きっと二度、三度と来てもらっても違った発見が見つかるはずです。

本物の香取慎吾がひょっこり現れることも?

――最近も太陽の塔に訪れた写真をインスタグラムにアップされていましたが、尊敬されている芸術家やクリエイターの方はいますか？

尊敬する方はたくさんいますが、横尾忠則さんと草間彌生さんにお話を伺ったことは特に大きな思い出になっています。横尾さんの言葉を聞いてアートに対する思いが変わりましたし、草間さんとはアトリエで作品作りをしながらお話を伺い、限られた人生の中で描き続けることの大切さを教わった気がします。

――本展でも、数々の有名クリエイターの方とのコラボレーション作品が見られるそうですね。

そうですね。これまでも数々のクリエイターの方とお仕事をしてきましたが、その中でも経験したことないくらい多くの方々がこのプロジェクトのために集まってくれています。アートにあまり馴染みのない方でも知っているような方々がコラボして下さっていて、彼らとアイデアを出し合える環境にいられることだけで幸せな気分です。

――お芝居やコンサートの時と、アートの個展とでは心持ちは違うものですか？

会場に足を運んで下さるお客さんの顔を想像しながら準備をするという点においては、お芝居もコンサートも、そして今回のような個展も原点にあるものは同じかもしれません。ただ、自ら客席に座ってみられるというのは個展ならではのことなので、今回は自分でもを取ってみようと思っています。もちろんが取れなくても絶対に見にくるので、もしかしたら会場のどこかに僕がひょっこり現れるかもしれません（笑）

――最後にファンの方へのメッセージをお願いします。

アートというと難しく考えてしまう方がいるかもしれませんが、ここを入り口としてアートに目覚めてほしいなんて偉そうなことは言いません。僕のことを知っている方が「慎吾ちゃん、個展やってるんだって」という興味本位で来てもらったり、友達同士で遊園地のアトラクションに入るような軽い気持ちで遊びにきてもらってOKです。の額以上の体験を必ずお返しするので、みんなの2時間を僕に預けてもらえたら嬉しいです。