Survive Said The Prophetこそが新しいロックシーンの王道だと感じさせる圧倒的なワンマンがそこにあった
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Survive Said The Prophet photo by Kawado
Survive Said The Prophet『s p a c e [ s ] TOUR 2018-19』TOUR FINAL 2月03日(日) 東京都・マイナビBLITZ赤坂
数年に一度、これまでの既成概念をぶち破り、新しい価値観でシーンの王道となっていくロックバンドが現れる。Survive Said The Prophetはそういうバンドのひとつだと思う。ハードコア、エモを土台にした激しいバンドサウンドは「ラウドロック」の枠に分類されることが多いが、R&Bやソウルといったブラックミュージックやヒップホップ、ポップスまで咀嚼してジャンルを縦断するサバプロは、2010年代が生んだラウドシーンの突然変異だ。そんな彼らが2月3日にマイナビBLITZ赤坂で開催した「s p a c e [ s ] TOUR 2018-19」のファイナルは、壮大な野望へと突き進む彼らの強靭な意思を感じる熱狂の一夜だった。
Survive Said The Prophet photo by Kawado
最新アルバム『s p a c e [ s ]』と同じようにYosh(Vo)がグランドピアノを弾くインスト曲「s p a c e [ s ]」からライブがはじまった。バンドがオールインしてブリッツに爆音を轟かせると、Yudai(Ba/Vo)のシャウトとYoshのクリーンボイスが絡み合い、フロアに圧倒的な昂揚感を作り上げていく。左右に立つIvan(Gt)とTatsuya(Gt)がツインギターのアウトロが鮮やかに決め、続く「T R A N S l a t e d」に突入する頃、Yoshは早くも革ジャンを脱ぎ捨てて完全に戦闘態勢に入っていた。「頭を振れるかー!?」「タイトルコールを一緒にやろう」と、お客さんの「声」を求めた「HI|LO」、Yoshがステージ際に腰を下ろして歌った新機軸のポップソング「The Happy Song」へ。次々に楽曲を畳みかけながらステージを縦横無人に移動するYoshの表情は驚くほど豊かだ。お客さんと体当たりのコミュニケーションをとる佇まいにはフロントマンとしての天性の風格を感じる。
Survive Said The Prophet photo by Kawado
最初のMCでは、Yudaiが「Survive Said The Prophet、通称サバプロと申します!」とマイクを通さずに生声で叫んだ。これに「やっぱお前かっこいいな(笑)」と口を挟んだYosh。「(今日は)こんなに人数多いでしょ?そうでもない頃に(Yudaiは)“俺はマイクを通さずに全員に届ける”って言ってたのよ。札幌ではマイクを使ったけどね、ツアーファイナルではやるっていう」とメンバーを絶賛する言葉にフロアからは喝采が飛ぶ。そして、「5年前に戻りたいと思います」と投下した「Subtraction」では、Show(Dr)が軽快なビートを繰り出し、高まるエモーショナルに合わせてYoshはペットボトルの水をフロアにぶちまけた。多幸感溢れるサウンドが弾んだ「Right and Left」、ステージに向かって転がるダイバーたちをYoshがグータッチで迎え撃った「found & lost」から、荘厳で重々しいロックバラード「Let it die」へ。激しいエモーショナルの奥に美しい洗練と儚さと湛えたサバプロの音楽には、ただそこに身を委ねていれば、大丈夫と安心できる大きな包容力がある。
Survive Said The Prophet photo by Kawado
インスト曲「p a c e s [ s ]」から、《越えたくて ただ変えたくて》と日本語詞のサビで切実に訴えかける「NE:ONE」への流れでライブ中盤に向けて熱狂を加速していった。Yoshがピアノを弾きながら歌った「Follow」のあと、「もしも、I am the light、I am the futureって、WeからIにすると、めちゃくちゃ宗教的なんだけどさ。俺はWe are the light、We are the futureって信じてるから」と伝えると、そのサビをフロアのお客さんと一緒に歌ったのは「Spectrum」。雄大なサウンドにのせてYoshがフラッグを掲げた「Ashes, Ashes」では、フロアから湧くウォーウォーの声が、自由を渇望して闘う戦士のシュプレヒコールのように雄々しく会場に響きわたった。「S P I N E」も、「If You Really Want To」も、中盤以降に披露された曲ではほとんどすべて熱いシンガロングが起こっていた。なぜ、サバプロのライブでは誰もが声を上げずにはいられないのか。それはステージ上のメンバーが誰よりもお客さん大事に想い、本気でぶつかるからだ。メンバーの本気にお客さんもまた全力で応える。その共振がマイナビBLITZ赤坂に感動的な景色を作り上げていた。
Survive Said The Prophet photo by Kawado
Survive Said The Prophet photo by Kawado
「Wow……それしかないな、もう。みなさんのスピリットとポジティブヴァイブスとエナジーに感謝します」。優しく語りかけるYoshにIvanが寄り添い、アコースティックギター1本の伴奏で歌い出した「3 a.m.」、メンバー紹介を挟んだ「UPLIFTED」のあと、この日のハイライトになったのは、バンドのストーリーを伝える特別なナンバー「s t i l l b e l i e v e」だった。伸びやかに広がるバンドサウンドのなかで、スマホやライターで光を灯そうに伝えると、その美しい景色に囲まれて、Yoshが「2021年にSurvive Said The Prophetは武道館に立つことを決めました!!」と宣言。そのバンドの決断を強く後押しするような大歓声が浴びながら、さらにサバプロは止まらなかった。スタイリッシュなポップソング「When I」に続く「Conscious」では、フロントのメンバーがお客さん一人ひとりと目を合わすように身を屈めて演奏していた。本編ラストは「Network System」。会場の隅々までジャンプさせたYoshは、最後に、強く握りしめたこぶしを頭上高くに突き上げた。
Survive Said The Prophet photo by Kawado
Survive Said The Prophet photo by Kawado
アンコールでは、新曲が2曲、初披露された。混沌からの解放へと誘うような「Heroine」、もう1曲は「難しくて得意じゃない言葉だけど……」と前置きをした日本語詞の「Bridges」だった。「Bridges」では、演奏をする前に“石橋叩き続けてきたんだ”というサビのフレーズを練習すると、初披露の曲にも関わらず、会場は大合唱で包まれる。そして、Yoshが「ライブに来るやつがかっこいいと思ってる」と言って、この2曲を収録したCD『Common Sense』は流通せずに会場限定で当日と後日控えていた追加公演の恵比寿LIQUIDROOMにてリリースすることを発表。CD1枚を出すにしても、そこに明確な意思を提示するやり方がサバプロらしい。さらに2019年は初の47都道府県ツアーを開催することも併せて発表した。「世界制覇をするとはいえ、ホームがないと世界に出られません」。多国籍なメンバーが集うバンドだが、サバプロは日本のバンドとしての自負を大切にしてくれるのだ。「今年は日本をまわって、世界もまわろうかな。……その前にツアーを終わらせましょう」。そう言って、温かなラストソング「Listening」でライブは終演。マイナビBLITZ赤坂を完全掌握したステージだった。
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3月からスタートする47都道府県ツアーのタイトルは「Now more than ever Tour」だ。「今しかない」とも訳せるこの言葉。ライブバンドとして進化するために、満を持して切る今回のツアーはきっと彼らをタフにする。ここからのサバプロは止まらない。