フレデリック 健司&康司の誕生日にして2ndアルバムの発売日、「一生忘れない」特別な一夜にみせた姿
フレデリック 撮影=ハタサトシ
FREDERHYTHM TOUR 2019~飄々とイマジネーション~ 2019.2.20 Zepp Tokyo
この東京公演の2日前にフレデリックは、4月13日の新木場STUDIOCOASTから来年2月24日の横浜アリーナまで、全国各地を回るバンド史上最長の全国ツアー『FREDERHYTHM TOUR 2019-2020』を開催することを発表した。
『FREDERHYTHM TOUR 2019~飄々とイマジネーション~』がいまだ継続中にもかかわらず、新たなツアーを発表したのは、19年もフレデリックは前進をやめないという意思を、たたみかけるように、そして大きなインパクトとともに伝えたかったからだと思うのだが、それができたのはやはり、この1、2年の間に確信に変った、自分たちは正真正銘のライブバンドだという自負がメンバー4人の思いの中にあるからこそだ。そして、それと同時に5つの“SEASON”にわたって行う長い長いツアーに挑むことで、彼らはライブバンドとして、もっともっと成長したいと考えているんじゃないか。
フレデリック 撮影=ハタサトシ
1日目、2日目ともにソールドアウトとなり、改めてバンドの人気上昇を印象づけた東京公演の1日目を観ながら、筆者が一番感じたのは、ライブに対するフレデリックの今の熱い思いだった。観客の頭の上を飛び交う無数のレーザービームを含め、バンドのパフォーマンスを彩る眩い照明はもちろん、フレデリックのライブの見どころの1つではあるが、ライブハウスに“TOGENKYO”を作り出すため、レーザービームに加え、バックドロップに映し出した映像や幻想的なスモークを使う演出を交えていた17年~18年のツアー『フレデリズムツアー ~ぼくらのTOGENKYO~』と比べると、今回のツアーはむしろ抜き身のバンド・サウンドで勝負しようと考えていたんじゃないか――。
フレデリック 撮影=ハタサトシ
そんな思いはメンバーを迎える大歓声の中、赤頭隆児(Gt)の激しいカッティング・プレイに煽られるように「遊ぼうぜ!」と三原健司(Vo/Gt)が客席に言葉を投げかけ、「シンセンス」からたたみかけるようにお馴染みの曲の数々を演奏していった序盤から、すでにヒシヒシと感じられたが、2曲目にして早くも大きな一体感が生まれた「かなしいうれしい」が、不思議なほど懐かしい曲に思えたのは、フレデリックらしさを更新した「かなしいうれしい」をリリースして以降、彼らがものすごい勢いで進化を遂げてきたからに他ならない。
一際力強い「KITAKU BEATS」の演奏がライブの流れを加速させる。こんな「KITAKU BEATS」は聴いたことがない!「まだまだ行けますか!?」という健司の言葉を合図に演奏はさらに過熱、レゲエ調の「シンクロック」では哀愁をにじませ、「TOGENKYO」で再びぐぐぐっと盛り上げる。そして、音楽を、人生を楽しめるか楽しめないかは、あなたしだいというメッセージを、ほとばしるエモーションとともに観客の胸に落としたのだった。
フレデリック 撮影=ハタサトシ
もっとも、この日の見どころは観客をジャンプさせたり、手を振らせたり、声を上げさせたりしながら、一体感ととともに熱狂を作り出した熱度満点の演奏だけではなかった。むしろ、挑戦という意味では、「ここからあなたたちが主役です。あなたのダンスで最強のダンスホールを作りませんか。体を揺らしていこう!」(健司)と始まった中盤のダンスホール・パートが一番の見どころだったかもしれない。それまでとは打って変わって、BPMをぐっと落とした「真っ赤なCAR」からの3曲は、速い4つ打ちのキックに合わせ、飛び跳ねるだけじゃない、フレデリックからの新たなライブの楽しみ方の提案だ。テンポを落とした4つ打ちのビートが抜群の心地好さを醸し出した「NEON PICNIC」は、まさにライブでバケた1曲だ。三原康司(Ba/Cho)が加えたコーラスも聴きどころだった。
そして、客席がゆらゆらと揺れた、そんなダンスホール・パートを締めくくったのが、「フレデリックのダンスミュージックで遊びませんか?」と健司が呼びかけた「LIGHT」だった。バックドロップに掲げたツアー・タイトルが降ろされると、代わりにバックドロップ全面を覆った無数の銀盤(CD)が現れ、レーザービームが飛び交う中、<ヒカリ テラセ イマ>という健司の歌に応えるようにランダムに光を反射する――抜き身のバンド・サウンドで勝負しながら、光を巧みに操る演出を交えるところは、やはりフレデリック。メンバー紹介代わりのソロ回しが、フレデリックの新たなステートメントとも言える楽曲に熱を込める。
フレデリック 撮影=ハタサトシ
因みにこの日は、双子の健司と康司の誕生日。「今日、何の日ですか?」という健司の問いかけに観客が♪Happy birthday to you.の合唱で応えると、「いや。(2ndフルアルバム)『フレデリズム2』の発売日です(笑)」と笑わせる場面も。「誕生日を迎えると、何のために生まれてきたのか考える」という康司は、誕生日にステージに立ち、多くのファンに囲まれている幸せを、「まさにこのために生まれました」と語り、「むしろ、みんな生まれてくれてありがとう(笑)」と感謝の気持ちを客席に伝える。健司に筋トレグッズ、康司にマッサージ機をプレゼントした赤頭、「2人の29歳最初のライブを最高のものしたい」と語った高橋武(Dr/Cho)もそれぞれに2人の誕生日を祝福。「祝う気持ちで楽しんでくれたら、俺、もっと喜んで、もっといいライブになる。そういう相乗効果がフレデリズムを生む」と健司が言ってからの後半戦は、前述した序盤以上の勢いでバンドは突き進んでいった。
フレデリック 撮影=ハタサトシ
健司の歌に合いの手を入れるように観客がシンガロングした「リリリピート」。赤頭がガツンと鳴らすリフがギター・ロックの醍醐味をフレデリック・サウンドに加えた『フレデリズム2』からの新曲「エンドレスメーデー」へとつなげ、ジャズ歌謡なんて言ってみたい「バジルの宴」で一度、混沌を挟んでから、これぞフレデリックな「オドループ」で一気に盛り上げる(赤頭がステージ中央のお立ち台の上で、エビ反りしながらギター・ソロをキメた!)。そんな怒涛の流れを、シームレスにつないだのが、高橋がダン!ダン!ダン!ダン!とノンストップでキックしつづけた4つ打ちのビートだった。そして、『フレデリズム2』からの「スキライズム」で客席の興奮は最高潮に!
フレデリック 撮影=ハタサトシ
「29年生きてきて、今日が一番幸せです」と言う健司の言葉は、大きな手応えを感じたからこそ。しかし、バンドの勢いはまだ止まらない。
「ロックやポップ、いろいろな音楽があるこの音楽業界にフレデリックの国を作ってやろう。別の国を作りあげて、好き勝手やってやろう。そして、気づいたら世間を巻き込んでいたい。そんなバンドになりたくて『フレデリズム2』というアルバムを作りました」
健司がそんな野望を語ったアンコールでは、『フレデリズム2』から、まず「逃避行」を披露。フレデリズムらしさを、パワフルなファンク・サウンドに落とし込んだ演奏が新境地を思わせた。そして、自分たちの想像を超えて、盛り上がったみんなからもらったものを返せるように、これからも前進しつづけることを誓い、最後を締めくくったのは、「飄々とエモーション」。観客をジャンプさせる「リリリピート」や「オドループ」とはまた違う、ライブのクライマックスにふさわしい深い感動をこの曲が呼び起こすのは、タイトル通りエモーショナルかつアンセミックな曲調もさることながら、やはりフレデリックとファンの新たな約束――どんなに前に進んでも、この気持ちだけは変らないというメッセージが込められているからだ。
「聞かせてください!」(健司)
♪オー、オー、オーと声を上げる観客のシンガロングにバンドが声を重ね、この日一番の一体感が生まれた。その瞬間、誕生日と新作のリリース、そこにライブが重なった特別な日は、「一生忘れません」と健司が言ったとおりバンドにとっても、ファンにとってもさらに特別な日になったのだった。
取材・文=山口智男 撮影=ハタサトシ
フレデリック 撮影=ハタサトシ
セットリスト
1. シンセンス
2. かなしいうれしい
3. パラレルロール
4. KITAKU BEATS
5. シンクロック
6. TOGENKYO
7. FUTURE ICE CREAM
8. 真っ赤なCAR
9. NEON PICNIC
10. LIGHT
11. リリリピート
12. エンドレスメーデー
13. バジルの宴
14. オドループ
15. スキライズム
[ENCORE]
16. 逃避行
17. 飄々とエモーション
リリース情報
初回限定盤
通常盤
ライブ情報
「FREDERHYTHM TOUR 2019~夜にロックを聴いてしまったら編~」
日程:4月13日(土)
会場:新木場STUDIO COAST
開場17:00 / 開演18:00
代金:4,500円(D代別)
一般発売日:2月24日(日)10:00~
「FREDERHYTHM TOUR 2019~リリリピート編~」
6月4日(火)兵庫 神戸 太陽と虎
6月6日(木)福岡 DRUM Be-1
6月13日(木)宮城 仙台enn 2nd
6月14日(金)新潟 CLUB RIVERST
6月21日(金)香川 高松 DIME
6月22日(土)広島 CAVE-BE
7月2日(火)大阪 BIGCAT
7月3日(水)愛知 名古屋 ElectricLadyLand
7月7日(日)北海道 札幌 COLONY
7月9日(火)東京 恵比寿LIQUIDROOM
アルバム封入先行:2月20日(水)12:00 ~ 2月25日(月)23:59
「FREDERHYTHM TOUR 2019」
10月11日(金)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
10月12日(土)広島 BLUE LIVE
10月14日(月/祝)高知 キャラバンサライ
10月18日(金)宮城 仙台Rensa
10月20日(日)新潟 LOTS
10月22日(火/祝)石川 金沢 EIGHT HALL
「FREDERHYTHM TOUR 2019」
11月16日(土)北海道 Zepp Sapporo
11月29日(金)愛知 Zepp Nagoya
12月7日(土)福岡 Zepp Fukuoka
12月14日(土)大阪 Zepp Osaka Bayside
「FREDERHYTHM ARENA 2020」
2020年2月24日(月/祝)神奈川 横浜アリーナ