「音楽業界は崩壊している」 U2のドラマーがSpotifyやAppleに苦言
U2のドラマー、ラリー・マレンJr.が現代のデジタル自由競争下における若手ミュージシャンの苦境を訴えた。アイルランドのRTE 2FMの番組『ラリー・ゴーガン・ショー』のインタビューで彼は、「SpotifyやAppleの新しいサービスをはじめとする企業達は、もっとアーティストへ支払う必要がある」と率直に話した。
U2とAppleの付き合いは長く、ボノに至ってはスティーブ・ジョブズと親しい仲だった。iPod/iTunesの初期CMにU2の「ヴァーティゴ」が使われたり、2014年にはアルバム『ソングス・オブ・イノセンス』がiTunesユーザー全員に無料配布された。これについて情報筋がビルボードに明かしたところによると、およそ1億ドル(約120億円)相当の契約だったとも言われている。U2にはアルバムを無料でリリースできる余裕があり、明らかに業界水準から外れている存在だ。
マレンは「音楽業界は崩壊しているよ。稼げていない若いアーティストが大勢いるんだ。これが真の問題だと思うね」と話し、Appleや他の大手はアーティストにもっと適正な額を補償する必要があるとの考えを示した。
また、この件について以前は楽観的だった彼だが、「時間の問題だよ。関係する会社や個人個人の多くも気づいていると思う。アーティストが正当な報酬を得ていないことは、みんな分かってるさ」とコメント。そして、「最も重要なのは、そこにいる人たち、ソングライター達が曲を作ったりリリースすることで生計を立てられるという事なんだ。それが実際に出来ないなんて、まともだとは思えないよ」と熱く語った。
U2は現在も『ソングス・オブ・イノセンス』のツアー中だが、11月28日のダブリン公演で最終日を迎える。