奄美出身の民謡歌手・里アンナが「現代最高のフラメンコ・ダンサー」との共演に向けて意気込みを語る

2019.3.15
レポート
舞台

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スペイン・ジンバブエ出身のエバ・ジェルバブエナの来日公演2019『Cuentos de Azúcar ~砂糖のものがたり~』。この公演にゲストシンガーとして登場するのが、NHK大河ドラマ『西郷どん』のオープニングテーマを歌った、奄美大島出身の民謡歌手・里アンナ。「現代最高のフラメンコ・ダンサーの一人」との呼び声も高いエバとの共演を間近に控えた里に、記者会見で話を訊いた。

「初めて公演を見たとき、心が震えてすごく感動し、涙が流れました。この人と何か一緒にできたらいいのに、と思いました」と、初めてエバのパフォーマンスをみたときの衝撃を語った里。フラメンコとのコラボについては、「リズムは違いますが、でもフラメンコの要素の中で島唄を歌うことで、新しい“響き”が生まれると思います」と期待を膨らませる。

里が生まれ育った奄美は江戸時代後期、黒糖のプランテーションであり、島の名産「サトウキビ」が薩摩藩によって搾取され、「黒糖地獄」と呼ばれるほど島の人々が苦しんだ圧政の歴史がある。エバは、故郷・グラナダの砂糖工場の近くで夏休みを過ごした経験をもっており、近しい運命を奄美に感じて里との公演が実現した。

里は、エバの気持ちをつかんだ奄美の歴史について、「私も高校生のときに奄美の黒糖地獄のお話を伺いました。島唄の歌詞は、そういった生活の苦しさの中で、人々が生きる力を見出すために作られたものです。私は小さいときから島唄を歌っていたので、そういった背景について認識はありました」と語る。

里が話すように、島唄は人々にとって生活の活力になっていた。そんな伝統的な島唄を、里はどのような気持ちでいつも歌っているのか。

「島唄によって、圧政の時代を知ることができます。私がそれを歌うことは、つまり歴史をつないでいくことになる。今回、エバと共演する機会をいただいたので、島唄を通して、世界のいろんな方にもっともっと奄美の歴史を感じてほしいです」

『Cuentos de Azúcar ~砂糖のものがたり~』は3月22日から24日に東京国際フォーラム、3月26日に大阪・森ノ宮ピロティホールで開催される。

取材・文・撮影=田辺ユウキ

公演情報

エバ・ジェルバブエナ来日公演2019「Cuentos de Azucar ~砂糖のものがたり~」
2019年3月22日(金)~24日(日)
東京都 東京国際フォーラム ホールC
※3月24日(日)は「Flamenco Cardinal ~フラメンコの粋」を上演。

2019年3月26日(火)
大阪府 森ノ宮ピロティホール