アジア最大の格闘技イベント『ONE Championship』が日本初上陸! その見どころは?【前編】

2019.3.26
コラム
スポーツ

『ONE: A NEW ERA -新時代-』は3月31日(日)、東京の両国国技館で開催

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実に138ヵ国・18億人におよぶ視聴者を持つアジア最大の格闘技イベント『ONE Championship』(ONE)がいよいよ3月31日、日本の国技・相撲の聖地である両国国技館で開催、初上陸を果たす。

ONEは日本人の母を持つチャトリ・シットヨートンCEOが設立。タイに生まれたチャトリCEOは幼少からムエタイを経験、しかも趣味として“たしなむ”レベルではなく30戦ほどを行い、パンチとローで倒しに行く好戦的なスタイルであったという。米国留学時にはヘンゾ・グレイシーの下でブラジリアン柔術を学び、自身を「半分ビジネスマンで半分格闘家」であると話す。

そんなONEは格闘技の迫力・激しさ・エキサイティングな面だけでなく、礼儀や尊重・規律・思いやりといった面を大切にしており、チャトリCEOもONEを通じて、そうした文化的側面を広めんと力を入れている。

ONEが武道の国・日本へ戻り初めて行う『ONE: A NEW ERA -新時代-』(3月31日、東京・両国国技館)ではタイトルマッチ4試合を含む全15試合を実施。ONEの誇るワールドワイドなアスリートが集結する。本稿では今大会の見どころを2回に分けてお届けする。

■青木王座奪還なるか!? フィリピンの打撃王にリベンジ戦!

オールスター戦ともいうべき大会でトリを務めるのはエドゥアルド・フォヤランと青木真也による世界ライト級タイトルマッチ。

日本屈指にして世界トップレベルのグラップラーである青木は2013年4月、初代王者の朴光哲に一本勝ちしてONE第2代王座を獲得。そこから安定した強さを見せ、2度の王座防衛を成し遂げる。

一度引き込んだら逃がさない“寝技地獄”ともいうべきグラウンドワークで、さらに防衛・長期政権を築くかに思われた青木だが、2016年11月、3度目の防衛戦でフォラヤンを迎え撃つ。

試合はテイクダウンから寝技で仕留めんとする青木と、フィリピン出身にして散打(中国拳法)で磨いた打撃を武器とするフォラヤンの思惑がぶつかり合う熱闘に。グラウンドへ持ち込み十字、背後からのチョークと狙った青木だが、フォラヤンはこれを回避。試合が進むにつれ青木のタックルを切り始め、打撃のタイミングを掴んでいく。それが顕著となった2R後半を経て、3R、フォラヤンは青木のタックルに合わせて跳びヒザをズバリ。そこからパウンドを連打で浴びせ、青木からベルトを奪い取った。

しかし競争熾烈なONEにおいてフォラヤンも絶対王者でいることは許されず、初防衛を成した後、2017年10月に王座陥落。だが、そこから復活を遂げると昨年11月に王座決定戦を争い、チャンピオンの座に返り咲いた。一方、青木も昨年行った3試合で、いずれも1R一本勝ちと復調を果たしている。

両者2年4ヵ月をおいての再戦となるが、ともに持ち味・強みは変わらない。フォラヤンが打撃で沈めるか、あるいは青木が寝技で仕留めるか。ONE記念すべき日本初上陸の夜はこの一戦が締めくくる。

■ともに女子パイオニア同士が戦う女子ストロー級タイトル戦!

女子マッチも積極的に行っているONEにおいて、その象徴的存在となっているのがセミファイナルで王者ジョン・ジンナンの持つ女子ストロー級王座に挑戦するアンジェラ・リー。両親がともにファイターという格闘一家に生まれたアンジェラは、3歳から格闘技キャリアをスタート。恵まれた才能におぼれず、過酷な練習で実力を開花させ、2度のパンクラチオン世界王者、ハワイ州レスリング王者と結果を残していく。

まさに“格闘エリート”というべきアンジェラは、2015年5月にONEでMMAデビューを果たし、そこから連戦連勝。2016年5月には日本の実力者V.V Mei(山口メイ)とフルラウンド(5R)に及ぶ激闘の末、ONE世界女子アトム級王座をその手にした。同王座はその後2度の防衛に成功。MMAレコードは9勝0敗と無敗を誇り、今回、アトム級に次ぐ2階級制覇に挑む。

対する王者ション・ジンナンは中国人女子格闘家として初めてMMAのベルトを持つ選手。こちらも14戦13勝1敗のうち9勝をKOと高いKO率を誇り、アンジェラとは激闘待ったなしの空気が漂う。ジンナンはアンジェラの2階級制覇を阻み2度目の防衛を狙う。

■ONE史上のベストバウトが東京大会で再戦決定!

昨年ONE年間のベストバウトに選ばれ、チャトリCEOをして「ONE 7年間の歴史の中で一番好きな試合だった!」と言わしめたのが、6月に行われたミドル級タイトルマッチ、アウンラ・ンサンvs長谷川賢の一戦。試合は王者ンサンの地元ミャンマーで開催され、両者は空調の無い40度の会場で死闘を展開。アウェーをものともせず王者ンサンを追い詰めた長谷川だが、ンサンは驚異の打たれ強さと精神力を発揮し、長谷川を最終5RにTKO。ONE史上に残る試合を繰り広げた両者に、チャトリCEOはそれぞれ5万ドルのボーナスを支給した。

前回は猛暑での発汗により組み技がままならないため、両者ほぼ打撃戦で試合を展開。しかし長谷川は柔道出身で組みからの投げ、寝技技術に力量を有しており、前回の反省を踏まえリベンジでのONE王座奪取を目指す。

試合へ向け、長谷川はニューヨークでトレーニングキャンプを張り、UFCファイターを始めとした巨漢戦士たちの中で腕を磨いている。命を落としかねない死闘となった前戦だが、東京大会での再戦を打診されると長谷川は即答でこれを受諾。格闘家として生きていく覚悟は揺るぎない。自身の生きる場を求め、団体を渡り歩き、過度な減量も積んできた。そんな格闘人生の歩みを王座奪取で結実させる。

■新時代が開かれるか、ビビアーノが日本で強さを示すか!

今大会で4つめのタイトルマッチとなるのが王者ケビン・ベリンゴンと挑戦者ビビアーノ・フェルナンデスによるバンタム級チャンピオンシップだ。

DREAMで2階級の王者となり日本でも強さを知られるビビアーノはONEでも当然のように王座を獲得。その後、7度の防衛を成し遂げ14連勝を誇っていたが、昨年11月、暫定王者ベリンゴンとの王座統一戦で判定1-2で惜敗。両者は2016年1月にも対戦してビビアーノがアームロックで勝利しており、3度目の試合は1対1で迎える決着戦となる。馴染みの地である日本でビビアーノが王座奪還を果たすのか、あるいはベリンゴンが2連勝で大会タイトルにもなっている「NEW ERA」=新時代を示すのか。

次回はタイトルマッチ以外も目白押しとなっている今大会の注目カードを紹介する。

(文:長谷川 亮)

『ONE: A NEW ERA -新時代-』の対戦カード

イベント情報

『ONE: A NEW ERA -新時代-』

 日時:3月31日(日) 15:30開始
 場所:両国国技館(東京都)

【対戦カード】
●メインイベント
<ライト級世界タイトル戦>
エドゥアルド・フォラヤン vs 青木 真也

●第14試合-コ・メインイベント
<女子ストロー級世界タイトル戦>
ション・ジンナン vs アンジェラ・リー

●第13試合-コ・メインイベント
<ミドル級世界タイトル戦>
アウンラ・ンサン vs 長谷川 賢

●第12試合-コ・メインイベント
<バンタム級世界タイトル戦>
ケビン・ベリンゴン vs ビビアーノ・フェルナンデス

●第11試合-ワールドグランプリ準々決勝
 <フライ級>
 若松 佑弥 vs デメトリアス・ジョンソン

●第10試合-ワールドグランプリ準々決勝
 <ライト級>
エディ・アルバレス vs ティモフィ・ナシューヒン

●第9試合-スーパーシリーズ(キックボクシング)
<キャッチウェイト(72.0KG)>
アンディー・サワー vs ヨドサンクライ・IWE・フェアテックス

●プレリム第8試合-ワールドグランプリ準々決勝
 <フライ級>
 仙三 vs ダニー・キンガッド

●プレリム第7試合-ワールドグランプリ準々決勝
 <フライ級>
カイラット・アクメトフ vs リース・マクラーレン

●プレリム第6試合-スーパーシリーズ(ムエタイ)
<フライ級>
ロッタン・ジットムアンノン vs ハキム・ハメッシュ

●プレリム第5試合-スーパーシリーズ(キックボクシング)
<フライ級>
 秋元 皓貴 vs ヨゼフ・ラシリ

●プレリム第4試合
 <アトム級>
V.V Mei vs クセニア・ラチコヴァ

●プレリム第3試合
 <フェザー級>
アンソニー・アンゲレン vs ゲイリー・トノン

●プレリム第2試合・スーパーシリーズ(ムエタイ)
<バンタム級>
パニコス・ユサフ vs モハマド・ビン・マフムード

●プレリム第1試合
 <ライト級>
ユン・チャンミン vs バラ・シェティ

※対戦カードは一部変更になる場合があります。

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