筋肉少女帯 ツアーファイナルで示した孤高のライブアクトの姿
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筋肉少女帯
筋肉少女帯NEW ALBUMリリースツアー2015「おまけのいちにち(闘いの日々)」 LIQUIDROOM
筋肉少女帯NEW ALBUMリリースツアー2015「おまけのいちにち(闘いの日々)」 ファイナル公演が11月14日、東京・恵比寿のLIQUIDROOMで開催された。10月7日に産声を上げた最新の名盤を軸としたこのツアーは、各地で大盛況。最終夜、ソールドアウトの会場は、筋少を隅から隅まで楽しみたい観客の熱気に包まれていた。
SEの「大都会のテーマ」が鳴り、ステージが輝く。メンバーがずらりと並び、1曲目の「レジテロの夢」が奏でられた瞬間、暴発するオーディエンス。続く「ムツオさん」でファンキーに、「混ぜるな危険」で再び激しく、「これこそ筋少のライヴ!」といった強烈なエネルギーを放出し、ツアーファイナルが幕を開けた。
『おまけのいちにち(闘いの日々)』を聴いて真っ先に感じたのが、この楽曲を思う存分ライヴ会場で味わいたいということ。ゴージャスなラウドロックを轟かせる一方で、そこはかとなくアングラの空気を漂わせるという絶妙の作風は、ライヴ空間で更なる深みを見せていた。大槻ケンヂ(Vo)、橘高文彦(G)、本城聡章(G)、内田雄一郎(B)という強烈な個性の集合体が、今夜もオーディエンスを魅了。三柴理(Key)と長谷川浩二(Dr)の強力無比なサポートを得て、曲が進むごとに輝きを増す彼らには、孤高のライヴアクトとしての風格がある。
「恵比寿!ツアーファイナルだ!」と扇動しつつ、オーディエンスとの一体感を楽しむ大槻。強靭な演奏とおもしろMCが融合する彼らのライヴのスタイルには、他を寄せ付けない凄みがある。本城がヴォーカルをとった「LIVE HOUSE」や「夕焼け原風景」のしんみりしたムードなど、彼らの幅広い側面を覗かせた中盤も見応えたっぷり。「踊るダメ人間」に始まり「サンフランシスコ」で締める終盤の波状攻撃に夢中で歌い踊る観客の姿が美しかった。
会場の熱は、本編が終わりを告げても増す一方。橘高、本城、内田が奏でるインストゥルメンタル「大都会のテーマ」に導かれて、スーツ姿で渋くキメた大槻が再び登場すると、いよいよオーディエンスのテンションは最高潮に。今年大きな話題となった人間椅子とのコラボ曲「地獄のアロハ」、橘高がヴォーカルを務めた迫力の「おわかりいただけただろうか」で更なるうねりを見せるフロア。「最高のバンドとオーディエンスによって素晴らしいツアーができたことを誇りに思いますよー!」と大槻が叫び、“安定のド定番”「釈迦」が炸裂して、この幸福なツアーは終わりを告げた。
何でもない日常の向こう側を見せてくれる筋肉少女帯。彼らが今、精力的に活動していることが何よりも嬉しい。ゴージャスなエンターテインメントとナゴム魂が同居する、どこか一筋縄ではいかない魅力。古き良き昭和の風景を2015年に輝かせるツアーファイナルとなった。なお、終演後の楽屋で大槻に尋ねたところ、「ムツオさん」で使用のアコースティックギターはギブソン、「地獄のアロハ」ではフジゲンのエレキギターとのこと。少年のような笑顔で細かなこだわりを語る姿にジワジワと微笑んでしまう。
筋肉少女帯の年内のライヴは、12月23日の東京・恵比寿LIQUIDROOM公演を残すのみ。充実の一年を締めくくる彼らのパフォーマンスに期待したい。なお、NEW ALBUMリリースツアー2015「おまけのいちにち(闘いの日々)」より、東京・赤坂BLITZ公演(2015.10.24開催)を映像化、筋肉少女帯として初のBlu-ray作品含む3形態で来年2月24日にリリースされることが決定した。詳細はオフィシャルサイトにてチェックしよう!
撮影=齋藤明 文=志村つくね