カルミナ四重奏団 セバスティアン・マンツ(クラリネット)との共演&モーツァルト「レクイエム」

2015.11.24
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クラシック

大家最晩年の名作が、新たな輝きを放つ!

 カルミナ四重奏団は、精緻な構築と柔らかな呼吸感が共生した、稀有の名カルテット。1984年スイスで結成され、世界トップ級の立場で活動を続ける彼らが、晩秋の第一生命ホールで刮目すべき公演を2つ行う。

 1つは、モーツァルトとブラームスが名手との出会いに晩年の境地を重ねた至高の名作である2つのクラリネット五重奏曲によるコンサート(11/29)。独奏のセバスティアン・マンツは、2008年ミュンヘン国際コンクールのクラリネット部門で40年ぶりの1位を獲得後、シュトゥットガルト放送響のソロ奏者を務めるドイツの名手だ。カルミナ四重奏団は、ウォルフガング&ザビーネ・マイヤー兄妹との再三の演奏や録音を通じて、両曲に特別な思いを抱いているという。しからばザビーネの弟子マンツと共に、究極の名演を聴かせてくれるに違いない。

 もうひとつはモーツァルトの「レクイエム」(12/5)。何と弦楽四重奏だけでこの声楽付き大作を奏でるという驚きの公演だ。楽譜は、モーツァルトと同時代の作曲家リヒテンタールの編曲版に基づき、教会音楽家を父にもつ第1ヴァイオリンのエンデルレがアレンジしたもの。スイスの音楽祭で初演され、好評を博している。ヴィオラのチャンプニーいわく「頭を切り替えて弦楽四重奏ならではの親密さに耳を傾けると、作品の真価がよりクリアに見えてくる。何より私たち自身が演奏のたびに心を動かされる」との由。まるで想像がつかないだけに、聴いてみたいとの思いひとしおだ。公演日はモーツァルトの命日ゆえ、天才の名作が新たな光を帯びて蘇るに相応しく、また四重奏の「不協和音」も演奏されるので二重の楽しみが味わえる。これは室内楽ファンならずとも大注目!

文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年11月号から)

ウィークエンド・コンサート 室内楽の魅力 ブラームス 第1回〜最晩年の出逢い 
11/29(日)14:00
クァルテット・ウィークエンド カルミナ四重奏団〜モーツァルト「レクイエム」 
12/5(土)14:00
第一生命ホール
問合わせ:トリトンアーツ・デスク03-3532-5702
http://www.triton-arts.net