時代の節目も変わらない! 今年も幕張メッセにネットの熱が「リアル」に降臨!! 大盛況『ニコニコ超会議2019』レポート
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写真:斉藤直樹
誕生から12年を超えて、今もなおネットで何かを表現したい人達の集う場として存在感を示す「ニコニコ動画」。そんな「ニコニコ動画のすべて(だいたい)を地上に再現する」をコンセプトに、2012年から幕張メッセで開催されている日本最大の文化祭「ニコニコ超会議」も今年で8回目。最先端のテクノロジーを駆使した大がかりなものから、手作り感覚のミニマムなものまで、多種多彩なニコ動カルチャーが詰め込まれたイベントの様子を4月29日の開催2日目からピックアップしてレポートしよう。
人気の2.5次元俳優達の生トークが間近で! 「超2.5次元俳優ステージ」
写真:斉藤直樹
マンガ・アニメ・ゲームのキャラクターや世界感をイケメン俳優達が舞台で再現し、そのクオリティの高さから熱狂的なファンを生み出している「2.5次元舞台」。そんな一大ムーブメントを支える人気俳優陣がニコニコ超会議・2日目に集結。計4回行われたステージのうち、ここでは最初に行われた「超2.5次元俳優トークショー①」の様子をお届けしよう。
今回のステージはスタッフが出演俳優陣を独断と偏見でカテゴライズし、その組み合わせで登場するとのことで、壇上には瑛(『あんさんぶるスターズ! オン・ステージ』乙狩アドニス/『Fate/Grand Order THE STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア-』マーリン)、小南光司(『あんさんぶるスターズ! オン・ステージ』朔間零/『KING OF PRISM -Over the Sunshine!-』神浜コウジ)、星元裕月(『あんさんぶるスターズ! オン・ステージ』姫宮桃李/『KING OF PRISM -Over the Sunshine!-』西園寺レオ)、三原大樹(『Messiah メサイア』及川昴流/『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』奥村楓)、山本一慶(『あんさんぶるスターズ! オン・ステージ』氷鷹北斗/『MUSICAL憂国のモリアーティ』ルイス・ジェームズ・モリアーティ)の5名が登場。
写真:斉藤直樹
彼らのカテゴリーは「キラキラ学園王子系」 俳優ということだったが、最初のフリートークではそれぞれの代表的な役柄から「キラキラしてない役の方が多い」という話題に。小南は自身の初舞台で禁酒法時代のアメリカの刑事を演じたのに、電話で会話するシーンの稽古ではずっと携帯電話のつもりでポーズしてたといった失敗談を披露し、三原は「まわりはキラキラしているのに自分だけ全然キラキラした役柄じゃないので」と話して、周りから「そんなことないよ小鳥ちゃん(顔立ちが小鳥っぽいためにつけられたというニックネーム)」といじられ、山本は「普段の僕はキラキラしてないんで、『あんさんぶるスターズ! オン・ステージ』ですごくキラキラしてるとギャップで疲れる」など、舞台とは違った等身大のトークが繰り広げられてファンも嬉しそうに聴き入った。
写真:斉藤直樹
王子様系だけに20~30代でも高校生役が多いということで、続いては学生時代のエピソードの話に。今回のステージに女性と見紛う姿で登場して注目を集める星元だが、中学時代は自分らしさに自信が持てない内気なタイプだったとのこと。それを受けた山本も学校ではいつも一人で、食堂でも毎日一人でラーメンを食べていたなど、舞台上での振る舞いや役柄からは想像できない過去のエピソードが明かされる。
写真:斉藤直樹
プライベートや舞台で誰が一番王子様かとの問いには全員が「ここには異端児しかいない」と王子様キャラ全否定という意外な展開に。そして「いったい何を基準にして王子様なのか?」「カッコイイと思う仕草は?」という話題になると、日常茶飯事カッコイイのは山本という流れに。「ルックスもさわやかな好青年なのに抱えている闇が凄くて、それを堂々と話せるところがカッコイイ」と評され、さらに『あんさんぶるスターズ! オン・ステージ』の際には楽屋へ戻る際に口笛を吹いたり独り言を呟きながら歩いていてツッこんでいいのか困ったと暴露されて、当の山本は「ヤバイ奴じゃねえかよ!」「超会議の場でそういうイメージ植え付けようとしてるよ!」と苦笑い。
続いては、高校生キャラの役作りに協力する企画「イマドキJK語理解度抜き打ちチェック」がスタート。「タピる(タピオカドリンクを飲む)」「フロリダ(お風呂のためにネットなどから離脱)」「スタ連(LINEでスタンプ連打)」「金晩(金曜日の夜)」「だいしてる(大好き愛してるの略)」という5つのJK語に対して様々なボケや珍回答が続出。「金晩」の正解発表では「女子高生が金曜日の夜に何すんの! それについて超会議だよ!」と盛り上がる一幕も。
写真:斉藤直樹
そして正解数の少なかった星元と山本には、JK語「だいしてる」を使ってキラキラ学園王子様っぽいセリフを会場や配信を見ているファンに送るという罰ゲームが。星元は瑛を相手役に「いつも…恥ずかしくて言えないけど…だいしてる」と告白風に決めて、その可愛さに瑛が芝居を忘れる一幕が。そして山本は星元を後ろから抱きしめ、耳元で「だいしてる」と囁く芝居を決めて客席からは大きな歓声が!
そしてラストはニコニコ生放送内の情報番組「噂のニコメン情報局」の名物コーナーだった、2.5次元俳優によるブタミントン対決を生で披露することに。5人がそれぞれ総当たりで対戦し、絶対に負けまいと必死にがんばる様に熱い声援が飛び交って、トークショー第一弾は盛り上がりの中で幕を閉じた。
写真:斉藤直樹
「超2.5次元俳優ステージ」では、この他にトークショーのPART2や舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These』、女性向けソーシャルゲーム「イケメンシリーズ」の2.5次元舞台版など、計4つのトークショーが催され、いずれも多くのファンを集めていた。
4年分の進化で「超歌舞伎」の原点が甦る! 『超歌舞伎 今昔饗宴 千本桜』
日本の伝統芸能「歌舞伎」とNTTの最新ARテクノロジー、そして日本を代表するポップカルチャーアイコンとして世界にも知れ渡ったVOCALOID「初音ミク」。この三者がニコニコ超会議の場で合体することで生み出された奇跡のコンテンツ「超歌舞伎」が今年も幕張メッセに登場した。今年で4回目となる超歌舞伎の演目は、記念すべき2016年の第一回公演を飾った『今昔饗宴 千本桜』。この記念碑的な演目を、4年間で進化し続けてきた技術とノウハウによって装いも新たに甦らせたのだ。
千秋楽とあって、主演を務める佐藤四郎兵衛忠信役・中村獅童は冒頭の口上から観客に檄を飛ばすなど気合入りまくり。そして透過型スクリーン投影された初音未來/美玖姫役・初音ミクも、より磨き上げられた歌舞伎役者らしい所作と口上を披露し、技術の進化云々を超えた「役者」としての存在感を見せつけて本編への期待を盛り上げる。
そうして幕が開いた本編は、中村獅童を始めとする歌舞伎役者陣の熱演と前年以上にブラッシュアップされた初音ミクの動きやビジュアルのクオリティ、そして超歌舞伎を支えるNTTの超臨場感通信技術「Kirari!」は、リアルタイムで動く役者を別の場所に立体投影させる「分身の術」に加え、カメラで捉えた役者の映像からリアルタイムで3D情報データを生成し、それをまったく別のキャラクターに変身させる「変身の術」を新たに投入し、初演とはまったく違う『千本桜』の創造を成功させたのだ。
現実とデジタル狭間を超えて見事な掛け合いや踊りを交わし合う中村獅童と初音ミク、そしてリアルとARが縦横無尽に交錯する迫力の戦い模様から、観客が振りかざす桜色のコンサートライトとニコニコ生放送で配信を見ている観客が放つ桜色の弾幕スーパーが千本桜を再び咲き誇らせるクライマックスへとなだれ込み、舞台は熱狂の中で幕を閉じた。
最後の挨拶を終えて幕も下がり、これにて千秋楽も終わり…と思いきや、幕の向こうでは一本だけ輝きづける桜色のコンサートライトが。そして中村獅童の観客への熱い檄を合図に再び幕が上がり、演目のベースとなった名曲『千本桜』をバックに最後のカーテンコールが! 舞台上で戦いを盛り上げた巨大の青龍の造り物が観客席を練り歩き、さらには中村獅童自身も客席へと降りて喜びを分かち合うなど、超歌舞伎への並々ならぬ思い入れを改めて感じさせる一幕も。
こうして舞台と客席、そしてネットが一体となって作りあげ楽しむ今年の超歌舞伎も大成功のうちに終演。そして超歌舞伎はニコニコ超会議の枠を超えて、8月2日~26日に日本最古の歴史と伝統を誇る京都南座にて「八月南座超歌舞伎」の公演が決定。伝統の劇場で演じられる超歌舞伎がいかなるものになるのか…足を運べる人はぜひその目で確かめてみてほしい。
■他にも「文化祭」ならではの多種多彩な催し物が!
ニコニコ動画の良い意味でカオス的なジャンルの多彩さを表すかのように、他にも様々な企画が大小様々な規模で行われ、どれも大いに盛り上がっていた。その中から取材中に目に付いたものを写真と共にピックアップしていこう。
・THE VOC@LOiD 超 M@STER 42
VOCALOID系の同人誌やグッズが集結したオンリー即売会を開催。多種多彩な同人誌やグッズ、さらには人気ボカロP自らも出展しているとあって、終始多くのVOCALOIDファンで盛り上がっていた。
・自衛隊ブース
今年の自衛隊ブースでは、16式機動戦闘車や空挺部隊が使用しているパラシュート・13式空挺傘の実物を展示。特にパラシュートは予想を超えた大きさに足を止めて見入る人も多かった。
・超演奏してみた supported by 大和証券
写真:斉藤直樹
バンドやオタ芸、さらには楽器を持ち寄った参加者達による即興オーケストラなど迫力のライブ演奏が終日繰り広げられた。
・なんと「うんこ」の世界がソシャゲに?
写真:斉藤直樹
医療や健康にまつわる様々な研究をユニークな形で発表する「超学会セレクション」。中でも消化器疾患の予防啓発活動をしている「日本うんこ学会」は、腸内細菌擬人化キャラを育成して戦うソーシャルゲーム『うんコレ』や痛便器を使っての検便などで健康への気配りをアピール。
・超鉄道
鉄道やおもちゃのイベントで様々なプラレールレイアウトを製作する「ぺたぞう電車王国」による巨大立体プラレールレイアウトを中心に、各地の鉄道会社もブースを構えるなど鉄道マニアにはたまらない展示や物販の数々が勢ぞろい。
・有名メーカーの限定フードが勢ぞろい
写真:斉藤直樹
写真:斉藤直樹
日清食品、味の素、崎陽軒などなど様々な食品メーカーも参戦。おなじみの人気フードの様々な超会議限定バージョンを提供し、どこも行列の絶えない盛り上がりで参加者の胃袋も満たしていた。
・超ボーカロイドエリア
幕張メッセHALL7に設営された巨大ステージでは、人気ボカロP達が土日共に数時間ノンストップでプレイを繰り広げるレイヴ・フェス「超ボカニコ2019」を開催。ボカロPが心血を注いで作りあげた音と映像の饗宴を、集まったボカロファン達も色とりどりのコンサートライトを振りかざしながら堪能。クラブのDJイベントとはひと味違う、ニコニコ超会議ならではの熱狂の風景がそこにあった。
・VTuber Fes Japan 2019
幕張メッセHALL8はネットとデジタル技術双方の最先端トレンド「VTuber」づくしの空間に。人気VTuberたちのトークやライブが繰り広げられたステージイベント「VTuber Fes Japan 2019」には多くのファンが詰めかけて熱い盛り上がりを見せた。さらに他のブースでは、VTuberとコミュニケーションが取れる技術デモやバーチャルカラオケなど、テクノロジーとしてのVTuberの可能性を体感できる様々な企画も充実。これからどんな進化をVTuberが遂げていくのかにも注目だ。
・ゲームとコスプレ三昧のHALL9-10
写真:斉藤直樹
写真:斉藤直樹
メインホールとは別棟となるHALL9-10では痛車にコスプレ、『東方Project』をはじめとするゲーム関連の企画が目白押し。みんなが思いのままに好きなものを楽しむ「ニコニコ動画」的な世界を体現するような空間が凝縮されていた。
初日のオープニングセレモニーには叶美香が『ONE PIECE』のボア・ハンコックのコスプレ姿を披露。あの決めポーズもバッチリ決めるなど原作そのままの完成度を見せつけた。
ステージ取材で時間を取られてとてもすべてを紹介することは無理だったが、ブースだけでなく実際に参加者が一緒に楽しめるイベントも盛りだくさんで2日間でも全コンテンツを回りきれないほど。その中で自分の好きなステージ、ブース、イベントを思い思いに楽しめる超会議は、今年も盛況だった。
取材・文・撮影:斉藤直樹
関連イベント情報
https://chokabuki.jp/minamiza/
会場:南座(〒605-0075 京都市東山区四条大橋東詰)
TEL:075-561-1155
<本公演(税込)>
一等席 12,500円
二等席 7,000円
三等席 4,000円
特別席 13,500円
S席 6,500円(1・2階全席)
A席 4,000円(3階全席)