崎山つばさ・鈴木裕樹・磯貝龍乎・木ノ本嶺浩・株元英彰が5人で30役以上を演じ分ける!? 『LOOSER〜失い続けてしまうアルバム〜』稽古場レポート
2019年6月6日(木)~6月9日(日)東京・品川プリンスホテル ステラボール、6月15日(土)・16日(日) 大阪・森ノ宮ピロティホールにて、『LOOSER〜失い続けてしまうアルバム〜』が上演される。本作は、今では全国区の知名度と高い人気を誇るTEAM NACSが15年前に上演した、初の歴史物にして初の東京進出舞台だ。荒削りな部分もありつつ、斬新な歴史解釈と熱い芝居で、多くのファンを魅了し続けている名作でもある。ちょんまげや本格的なチャンバラなし、幕末の新選組と長州藩士をはじめとするすべてのキャラクターをたった5人で演じ分けるなど、独特の熱量と勢いがあるのが大きな特徴であり魅力だ。
そんな本作を、実力派として知られる崎山つばさ・鈴木裕樹・磯貝龍乎・木ノ本嶺浩・株元英彰が演じる。上演まであと約1ヶ月。稽古風景とインタビューの様子をお届けする。
この日、稽古が行われたのは、池田屋事件の場面とラストシーン。
崎山演じるシゲがストーリーテラーとなり、池田屋に討ち入る新選組と、不意を突かれて慌てる長州藩の様子を語る。
新選組の隊士を演じる磯貝、木ノ本、株元、鈴木が名乗りを上げて踏み込んでくる様子は非常に猛々しく華やかだ。
崎山つばさ
鈴木裕樹
磯貝龍乎
木ノ本嶺浩
株元英彰
刀を華麗にふるいながらはけた後、長州藩に早変わりする場面も。斬られて倒れこむ株元が最後に捨て台詞として放つ軽妙なエスプリや笑いどころが散りばめられる演出はTEAM NACS版からしっかり引き継がれている。
また、シゲによる状況説明とともに、他の4人による新選組VS攘夷志士の死闘を演じ分ける。舞台上からはけることなく、表情や声だけで違う人間を見事に演じ分ける様子は圧巻としか言いようがない。
土方を演じる鈴木が“ある人物”に変わるシーンでも、一瞬でまとう雰囲気が変わり、ゾッとするほどの迫力に思わず息を飲んだ。
キャスト全員がハードな現場ながら、稽古は終始和やかな雰囲気で進んでおり、和気あいあいとしつつ緊張感のあるいい現場だった。
より自然に演じ分けができるよう、出入りの位置なども何パターンか試しながら細かく決めているのが印象的だ。また、演出の福島とともに殺陣の流れを確認する場面も。
この舞台に立つのはたったの5人。
華やかなアンサンブルキャストはおらず、新選組側と長州藩側で衣装をガラリと変えるわけでもない。それなのに、シーン毎にまったく違う人物が入れ替わり立ち替わり現れる。確かな実力を持つキャストが集まり、繊細にキャラクターを読み解いて演じているからこその魔法のような舞台に、きっと観客も魅了されるはずだ。
そんな中で、主人公のシゲだけは、自分のままで“新選組の山南敬助”や“長州の吉田稔麿”として生きる。歴史の流れを知っている現代の青年だからこそ、新選組や長州藩が掲げる「誠」や「大義」の意味を考え、『死』以外の道を彼らに訴える姿が胸を打つ。
笑えるシーンが満載な一方、彼らの生き様やシゲの苦悩などから多くを感じられ、様々な楽しみ方ができるのもこの作品の魅力だろう。
稽古の後にはインタビューを行い、キャスト陣&演出家に話を伺った。
ーーまずは公演への意気込みを教えてください。
崎山:一言も噛まずに頑張りたいと思います! とにかく台詞が多いので。あとは、5人だけで10人にも15人にも見せるのをお客さんに楽しんでもらえたら。
鈴木:TEAM NACSさんをしっかりリスペクトしつつ、この5人ならではの作品としてお届けしたいというのが一番ですね。
磯貝:台詞は心配していません。噛んだりしても、それをカバーできるカンパニーなので、意気揚々とやりたい! 僕らなりに“幕末”をきちんと表現して、何があったか・どう言う解釈かをしっかり伝えたい。幕末の時代へ、いざ行かん!
木ノ本:一人芝居で何役も演じ分けた経験があるのですが、今回は仲間がいるので心強い。熱量は充分だと思うので、あとは怪我なく頑張りたいです。
株元:皆さんの期待値はかなり高いと思う。TEAM NACSさんのLOOSERを見たことがある人や映像で見たことがある人、初めて見る人まで、いろんな人の期待をはるかに超えられる作品にしたいです。
福島:意気込みというか、楽しみでしかないです。ですが、みねくん(木ノ本)が言ったように、怪我とか体調には気を付けたいですね。一人ひとりの比重が大きいので。TEAM NACSの大事な、力のある作品を、実力あるキャストでできるのをすごく楽しみにしています。
長丁場の稽古を終えたあとだが、インタビュー中も和やかでサービス精神旺盛。崎山の「一言も噛まない」宣言に歓声が上がったり、磯貝がお茶目なポーズを決めてくれたことに対して「動画じゃないから」とツッコミが入ったり、福島のボケにメンバーが首をひねったりと、カンパニーの仲の良さが垣間見える。
ーー見所は?
崎山:やっぱ血を吐くとこ? 血と裸と……?
株元:裸っていうか、TEAM NACSさんの時の芹沢鴨は褌に羽織だったけど、今回はどうなるかは判らない。
福島:あとはやっぱり、5人で何役もやるからね。
磯貝:引っ込んだと思ったら出るし、切り替わりが激しい。
福島:一人5役以上やってるもんね。TEAM NACSさんを見た人も、「あれあのままやるのかな?」とか思うだろうけど、あのままやっちゃいます!(笑)。
鈴木:今回の公演は、出演者の皆さんははじめましてなので、TEAM NACSさんならではの空気感みたいなものを出せるか不安でした。でも、できる気しかしない! この5人だけの空気感が初日からあったからそこは強みですね。
木ノ本:もう“若手”って言われる年齢じゃないので、安心して胸を借りられます。みんな言わずもがなしっかりしてるし。
福島:TEAM NACSさんは彼らなりの結束力があります。今回のキャストは初めましてなのにチームワークがあるので、そこも面白いはず。
鈴木:今回のメンバーだからこそのキャラクターにどんどん変わっていっていくと思います。こいつボケたいんだなとかありますし。意外とメッセージ性もあるので、グサっと刺さる人には刺さったら良いですね。もちろん何も考えず楽しく笑ってもらっても良いですし。
木ノ本:見る角度によってメッセージ性が違うから手を抜けなくて、そこも見所の一つです。
と、見どころたっぷりなことをアピール。何度か観に行くという方であれば、いったい一人何役演じているのか確認してみるのもいいかもしれない。
また、お気に入りのキャラ・やってみたいキャラを聞いてみると、変態・気持ち悪いキャラが大好物だと言う磯貝と木ノ本が「芹沢!」と即答。芹沢を演じている株元も、「演じるってなってから芹沢にしか目がいかなかった(笑)。安田顕さんとは違う、この5人の中での芹沢になりたい」と語る。
崎山は、鈴木が演じる土方をチョイス。「楽しそう」と言われた鈴木が「僕が楽しそうにやってるからじゃないか?」とニコニコで胸を張る。崎山は先生になりたかったこともあったそうで、塾講師をしていたという話も飛び出し、鈴木は劇中の台詞に重みが出るねと笑顔で話していた。
鈴木は逆に、「つばさの役だけは絶対にやりたくない!」と断言。とにかく台詞が多くハードなため、他のメンバーや福島からも「ずっと喋ってるもんなぁ」「時々目の焦点があってない(笑)」と共感を得ていた。「他のキャラと違って、シゲはずっとシゲだから難しいよね」と株元がいうと、鈴木も「ストーリーテラーなだけじゃなく、主人公として成長しないといけないからね」としみじみ。
福島は「かぶ(株元)のちょっとしたときに出てくるあの役。うまい!」と賞賛。また、「TEAM NACSさんたちの公演より1個ずつ役を増やすとか、挑戦してみたいよね」と提案すると、「今から!?」という声が上がりつつ、「芹沢と梅の二役やってよ!」「俺斬られ役やるよ!」など、次々にアイデアが出ていた。
最後にお客様へのメッセージをお願いすると、「しんせんぐみ」であいうえお作文を披露してくれた。
株元:「し」んせんな
崎山:「ん」ーとですね(笑)、僕らの時代の
鈴木:「せ」かいでいちば
木ノ本:「ん」、面白い
磯貝:「ぐ」ッとくるお芝居を
福島:「み」に来て候!
「ん」が二つあることに悩みつつ、ラストはきれいに決まって拍手!
本公演は、5月18日(土)の一般発売に合わせて、東京公演のサイド指定席・大阪公演の立見席も解放される。
歴史が好きな方はもちろん、詳しくない方も、TEAM NACSファンもキャストのファンもみんな楽しめるだろう本作品。気になっている方はぜひチェックしてみてほしい。
公演情報
■原作・脚本:森崎博之(TEAM NACS)
■演出:福島三郎
■出演:崎山つばさ≪シゲ/他≫ 鈴木裕樹≪土方歳三/他≫ 磯貝龍乎≪近藤勇/他≫ 木ノ本嶺浩≪沖田総司/他≫ 株元英彰(劇団プレステージ)≪芹沢鴨/他≫
■会場・日程
東京公演 品川プリンスホテル ステラボール 6月6日(木)~9日(日)
大阪公演 森ノ宮ピロティホール 6月16日(日)
■料金:¥7,800(税込・全席指定)
■制作:ポリゴンマジック株式会社
■主催:ポリゴンマジック株式会社 サンライズプロモーション大阪
■公式サイト:http://looser-stage.com