究極のバレエ美、洗練の極致!「ル・グラン・ガラ2019」が伝えるパリ・オペラ座の真価とは
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(C)James Bort
2018年の新春に世界最高峰の名門パリ・オペラ座バレエ団屈指のスター5人が行った「ル・グラン・ガラ2018」は、スタイリッシュかつ大人の魅力を感じさせるステージで好評を博した。その人気公演が2019年夏、さらにスケールアップして帰ってくる! 「ル・グラン・ガラ2019」(7月23~25日・東京、27日・大阪)は美と洗練を極めた珠玉の舞台となりそうだ。
正真正銘のスターたちが集結!
世界最古にして最高峰の名門パリ・オペラ座バレエ団はバレエ・ファンに親しまれると同時に常に特別な存在であり続ける。ロマンティック・バレエの名作『ジゼル』(1841年)や『コッペリア』(1870年)を初演した頃から、才能豊かな振付家と共に意欲的な現代作品を放つ現在まで、オペラ座を抜きにバレエは語れない。それぞれの年代に一時代を画したスターが生まれ、仏語で星を意味するエトワール(最高位ダンサー)は実力と華、特別な魅力を備えた存在だ。「ル・グラン・ガラ2019」には6名のエトワールを含むトップダンサー8名(ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ、アマンディーヌ・アルビッソン、ジェルマン・ルーヴェ、レオノール・ボラック、ユーゴ・マルシャン、オニール八菜、オードリック・ベザール)が集う。いずれも正真正銘のスターで、これだけの顔ぶれが揃うこと自体、並みの公演ではない何よりの証左である。
『ジュエルズ』より“ダイヤモンド” ユーゴ・マルシャン&アマンディーヌ・アルビッソン (C)Julien Benhamou
オペラ座ならでは逸品を愉しむ
東京公演Aプロはオペラ座ならではの作品を中心に据えた密度の濃い内容だ。1980年代からの黄金時代を築いたヌレエフによる『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『ライモンダ』の抜粋、フランスのエスプリを体現したプティの『プルーストー失われた時を求めて』より“モレルとサン=ルー” と“囚われの女” 、オペラ座とも関係が深かったバランシンの名作『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』、フォーサイスの『ヘルマン・シュメルマン』、プレルジョカージュの『ル・パルク』より“解放のパ・ド・ドゥ” など古典と近現代の名作が並ぶ。そしてガニオの熱望により急きょ上演が決定した『クロージャー』 は、ブラジル出身の気鋭振付家ジュリアーノ・ヌネスがシューベルトの音楽を用いて創った作品で、ボラックとガニオが踊る。
『ジュエルズ』より“エメラルド” ジェルマン・ルーヴェ&レオノール・ボラック (C)James Bort
歌姫カラスの歌声をテーマに世界初演
東京公演Bプロは世界初演となる『マリア・カラス~踊る歌声』がメインだ。「ル・グラン・ガラ 2018」で上演された『トリスタンとイゾルデ』『ヴィーゼンドンク組曲』の振付家ジョルジオ・マンチーニの新作で、世紀の歌姫マリア・カラスへオマージュを捧げる。カラスの生涯をなぞるのではなく、マンチーニがカラスの歌声から受けた感情を至高のダンサーたちが体現していく。『椿姫』『夢遊病の女』『カルメン』『イル・トロヴァトーレ』『ノルマ』などカラスが歌ってきたオペラの名曲に導かれたダンスによって“カラスの深い孤独”を描くという。8人のダンサー総出演で贈る豪華版なのもうれしい。併せて、カラスも愛した“宝石” をテーマにしたバランシンの『ジュエルズ』より“エメラルド” と“ダイヤモンド” を披露する趣向も心憎い限りである。
世界初演『マリア・カラス~踊る歌声』練習風景
「伝統と革新」が息づく舞台に注目
人気ダンサーを主体とするガラ・企画公演は少なくないが、彼らが踊りたい作品と全体のバランスや公演イメージが必ずしも合致するとは限らない。だが「ル・グラン・ガラ 」は、新しい挑戦もありながらダンサーたちの美質が際立ち、そのうえでオペラ座ならではのエレガンスをしっかりと感じさせるのが値打ちだ。古典と共に新しい作品に果敢に挑戦する今のオペラ座の息吹も伝えるが、アカデミックな技量に裏打ちされた確かな表現力からは長年培われてきた伝統の厚みを感じずにはいられない。オペラ座を語る際に「伝統と革新」という言葉がしばしば使われるが、「ル・グラン・ガラ2019」からはオペラ座のエッセンスが香り立つだろう。名門の歴史が身体に刻印されたスターたちの比類なき輝きと奥深い踊りを味わい尽くしたい。
「ル・グラン・ガラ 2019」プロモーションムービー
文=高橋森彦
公演情報
■出演:
マチュー・ガニオ(パリ・オペラ座バレエ団エトワール)
ドロテ・ジルベール(パリ・オペラ座バレエ団エトワール)
アマンディーヌ・アルビッソン(パリ・オペラ座バレエ団エトワール)
レオノール・ボラック(パリ・オペラ座バレエ団エトワール)
ジェルマン・ルーヴェ(パリ・オペラ座バレエ団エトワール)
ユーゴ・マルシャン(パリ・オペラ座バレエ団エトワール)
オニール八菜(パリ・オペラ座バレエ団プルミエール・ダンスーズ)
オードリック・ベザール(パリ・オペラ座バレエ団プルミエ・ダンスール)
<東京公演>
■日時:
■会場:文京シビックホール 大ホール
■お問合せ:
■日時:2019年7月27日(土)17:00
■会場:フェスティバルホール
■お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888