tacica かつてないアプローチでニュートラルにうたわれる「生」…新曲「サイロ」を紐解く
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tacicaの東名阪ツアー『三大博物館2016~太陽と月~』開催を控え、そのテーマ曲となる「サイロ」が11月25日に配信限定でリリースされる。また、リリース同日にはツアーTシャツ通販限定verの先行販売も決定するなど、本番に向けていよいよ盛り上がってきたという印象だ。今回は、様々な事象を乗り越え現代を生きる人へのアンセムともなりうる新曲「サイロ」を紐解くとともに、いよいよ開催も近づいてきた『三大博物館』に関すること、ツアーに向けての心境をtacicaの2人に訊いた。
――大事なことを先に聞いちゃいます。結成10周年を締めくくる1月のツアー『三大博物館2016~太陽と月~』に向けて、準備は順調ですか?
猪狩翔一(Vo/G・以下、猪狩):いや……今、制作とレコーディングが先にあるので(苦笑)。
――ああ。それが終わらないと、考えられないと。
猪狩:終わるのかどうか、わかんない……。
小西悠太(B・以下、小西):ふっふっふ(笑)。
――あはは。そんなぁ。
猪狩:どこかで目処をつけるのか、ちゃんとできるのか。そのぐらい、大詰めです。
――前回のインタビューの中では、(2DAYSを)「1日ごとに違った形にしたい」というようなことを話していて。
猪狩:はい。そういう想像はしてますけど、まだ想像の域を超えてないんです(笑)。
――こちらも想像しながら、楽しみにしてます(笑)。さて、今年は10周年ということで、アルバムも出しましたし、ツアーもやりましたし。振り返って、ここまでどんな1年でした?
小西:4月に、10周年の記念ライブを中野サンプラザでやって(結成10周年記念公演「烏兎」)、そこからツアーでいろいろ回って。ちゃんとうまく、10周年らしくできてるかなとは思います。で、次の『三大博物館』できれいに締めれたらいいなと。気持ち的にはそこに向けて、きれいに行ければいいなと思ってます。
猪狩:今年はあっという間で、早かった。4月に『烏兎』という10周年公演をやったのが、一つ大きいと思うんだけど。かなり個人的なこととして、やってる本人が節目ということをあまり意識しないほうがいいのかな、と思っていて。別にここで終わるわけではないし、そこばかり見ちゃうと、終わってからの一歩がまた重くなっちゃうだろうし。
――ああ。それは確かに。
猪狩:そう思ってるから、余計にそうなのかもしれないけど、曲もすごいいっぱい作っていて。出てくる曲も別に10年目の集大成とか、そんな曲でもないので。常に新しい、自分達的にちゃんと立ち止まっていない制作をやってる年だなという感じがします。10周年とはいえ、同じ位置からずっと見てる感じはないですね。
――そして、5月に出たアルバム『LOCUS』の次のステップになるのが、初の配信シングル「サイロ」。これは『三大博物館』のテーマ曲ということですけど、最初からそのつもりで?
猪狩:そうです。作り始めたのも、そこを意識しての始まりだったんで。歌詞の中に“太陽と月”という言葉を入れようとか、そういう大雑把なところでの自分の中の取り決めは、最初からありました。
――“太陽と月”って、『LOCUS』の最後の曲の、「HELLO FAME」にも出てくるじゃないですか。あそこからつながってる曲なのかな?とか思いました。
猪狩:あの、僕はそもそもわりと多いんですよ、“太陽”と“月”という言葉を使うことが。だから、そこにくくりを設けたとしても、自分的にはたいしたくくりになってないんですよね。いつも通り、歌詞を書いてるだけで。だから「HELLO FAME」とのつながりということは、そこまで意識はしてないです。
――曲調やサウンドは、どんなイメージで作っていったんですか。サビの、四つ打ちっぽいビートが印象的な曲ですけども。
猪狩:そこは、あえてやろうと思ったんですよ。……あえてやってやろうと思ったんですよ。
――2回言った(笑)。「あえて」とは?
猪狩:なんだろうな、意図的に避けるようなことでもなかったんだけど、なんとなく四つ打ちを避けてたところがあったんですよ。それって、変に周りを意識しすぎることだと思っていて、だからこの「サイロ」に関しては、ちょっと試したかったというのもあるんですけど。10年やってきて、自分の中の変なこだわりみたいなものを1回捨てようと思って、やってみました。
小西悠太(B)
――小西さんとしては、最初に聴かせてもらった時の、この曲の第一印象は?
小西:四つ打ちを入れると聞いたときに“あ、珍しいな”と。今までは「こういうアレンジもあるよね」と言っても、あえてそこに行かない選び方をしてきたのを、「曲に合うからそうしてみよう」というのを聞いた時に、猪狩の中で曲を作るときのイメージが変わったのかな?と。それで、メロディを聴いて、“なるほどな”と思いました。いい曲だし、四つ打ちが合うのもわかったので。
――曲として?
小西:曲として。言い方はちょっと変ですけど、すごい素直にアウトプットしてきたなと。だからあんまりイメージを崩さないように。猪狩の頭の中のイメージに近づけていくように、作っていきました。
――歌詞は、どんなイメージで?
猪狩:どんなイメージ……退廃的な感じのイメージで書いたんですけど。サイロって、知ってますか?
――一応。塔みたいなやつですよね。穀物や、牛や馬の飼料を入れておくという。
猪狩:そう。僕ら、北海道出身なんですけど、農家のところにあるんですよ。それとは別に、武器庫みたいな、軍隊が武器を収納していくところも、サイロって言うんですよね。確か。
――それは知らなかったです。
猪狩:片や農家の、片や戦争の。だから、あまりいつも以上にどっちかに寄った歌詞にはしてないです。うれしくもなく、悲しくもなく。怒ってもなく、笑ってもなく。ただ単に「こうです」ということを、素直に書いたつもりなんですけど。もちろん音楽だから、セクションごとの抑揚とかは、楽器でつけてることはあるんだけど、実際歌われてることとしては、そこまでダイナミズムはないというか。……やっぱり、いろいろ重く考えすぎてしまうようなことが多いような気がしていて。でもね、それって結構、自分の問題な気がしていて。多くが。
――それは、生き方が?
猪狩:うん。自分がこうありたいとか、理想があるから、なかなか難しくなるだけの話で。生きるだけだったら、わりとどうとでもなると思って、書いてました。だから最後に、“覚悟など要らない”って言ってるんですけど。
――ああ。なるほど。
猪狩:いろんなものを、今持ってるなって。持たなくてもいいものを持ってきたなとか、そういうことは、けっこう思いますね。
――その気分は、わかる気がします。
猪狩:なんか最近流行ってるじゃないですか。断捨離とか、シンプルに暮らすとか。みんなも捨てることにストレス発散を見出してる感覚があると思うんですよ。俺もけっこうハマっちゃってるほうで、確かに、発散できるんですよ。“あー、軽くなった”みたいな。そんなに、物持ってるわけじゃないけど(笑)。でも俺の場合、勢いに乗って捨てすぎちゃって。“うわ、あれ、捨てたっけ?”とか。
小西:わかるわ、それ。
猪狩:この前、加湿器捨てちゃって。買い直しましたもん(笑)。持ってたやつよりはるかに安いやつを。……だから、いいんですよ、捨てても。また買えばいいんだから。そういうことです(笑)。
――どんな歌なんだ(笑)。でも、どっちにも片寄せてはいないというのは、すごくわかります。それぞれのイメージを、自由に重ねていくタイプの歌詞ですよね。淡々とした風景描写の中に、太陽と月があって、荒野を列車がひたすら走って行くという。
猪狩:生きているということそのものの感じを出したかったので。たぶん「サイロ」ということにも引っ掛けて、北海道のイメージがあったんですね。何もない風景の感じが。そんな感じですね。
――ライブでやると、どんな曲になるでしょうね。想像はしてます?
小西:ざっくりと。ここらへんに入ったら一番いい感じになりそうだな、ぐらいは。
――基本、体が動く曲ですからね。どのへんですかね。
小西:個人的には、本編の、終盤に行く手前ぐらい(笑)。そこらへんのポジションに入りそうかな?と。
――来年1月に、答え合わせに行きますね(笑)。その『三大博物館2016~太陽と月~』ですけど、そもそも『三大博物館』というのは、ずいぶん昔から使ってる言葉ですけど。最初はどんなきっかけだったんですか。東名阪のツアーだったから?
猪狩:そうです。東名阪だから、三大をつけたらわかりやすいかな?と。俺、語呂ってすごい大事だと思っていて。タイトルは特に。“三大・ダダダダダ”っていう響きが良かったんですよ。
小西:語呂が良かったんだ。
猪狩:そう。だから、ハクブツカン。……アルマジロ、でも良かったんですけど(一同笑)。メカゴジラでも(笑)。ダンダン・ダダダダダン、というのが良かったんで。そんな感じです。
小西:リズムだね。
猪狩:ダンダン・ダダダ、だと、そのあとに、ダダダンダンってつなげたくなるでしょ(笑)。そこはやっぱり、日本人かなぁと思うんですけど。
猪狩翔一(Vo/G)
――意味としても、いろいろ重ね合わせることができる言葉だし。博物館の中に一体何が入っているんだろう?とか。
猪狩:その時に、意味がなくてもいいかなと思っちゃうんですよ。それって、自分たちがそこに責任を持って続けていって、後々ちゃんとした意味が出てくれば、それでいいと思ってるから。今あらためて、あのとき『三大博物館』って、いいタイトルつけたなって思ってるから。まあ、周りは思ってないかもしれないけど(笑)。どのへんが博物館なんだよ?って。
小西:まぁね(笑)。
猪狩:でもね、最終的にはライブを博物館でやりたいんですよ。それでやっと完成かな、みたいな。
――いいですね! 美術館とかでやる人もいるから、できると思いますよ。
猪狩:できれば、大きいところでやりたいですね。有名なところで。
――小西さんは、『三大博物館』シリーズは、ほかのライブとは違った気持ちがありますか。
小西:ずっと名前を変えずに昔からやっているので、まず思い入れが違うというのはありますね。ライブに向かう気持ちとかは変わらないですけど、特別感はあります。思い入れは強いです。
――では、最後にあらためて。まだ何も考えてないとい言いつつも、『三大博物館2016~太陽と月~』への意気込み、抱負、イメージなどを語っていただければ。
小西:それぞれ2日間あるんですけど、1日目と2日目で違った面を見せられればいいなということは、みんなで話していて。セットリストだったり、演出だったり、両方来て良かったと思えるような。自分も、2日あったら「どっちか行ければいいや」と思っちゃうタイプの人間で、いくら好きでも「2日間連続はちょっと……」とか思うんですけど、そう思われないように。1日目に来て「明日も行きたいな」と思わせられるようにできれば、それが理想かなと。
猪狩:理想としては、1日目に来て、帰りに2日目の
撮影=菊池貴裕 文=宮本英夫
「サイロ」
■iTunes:https://itunes.apple.com/jp/album/sairo-single/id1057055860?app=itunes&at=10lpgB&ct=4547557041972_wn
■レコチョク:http://recochoku.com/s0/sairo/
■mora:http://mora.jp/package/43000001/4547557041972/
名前:“SUN AND MOON”
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