全日本ジュニア展望、女子フィギュアの未来を担うのは?


11月21日(土)に開幕した「全日本フィギュアスケートジュニア選手権大会」の女子シングルには、ジュニアグランプリファイナルに出場する選手が3名おり、惜しくもファイナル進出を逃した強豪選手もそろう。かつてない激戦が予想される今大会の女子シングルの展望をお伝えしたい。

■ 横井ゆは菜

西日本選手権で優勝した今年は優勝候補の一角として臨む。「『やってやるぞ』という思いもありますが、力むと失敗してしまうので落ち着いてやりたいです」とのこと。トリプル+トリプルの組み合わせは、トゥループを選択。ルッツはエッジエラーがついてしまうことがあるため、確実に高得点を狙える組み合わせにしたそうだ。表現力に定評のある選手だが、ステップについては「足元の技術はまだ改善の余地があります」、スピンについては「まだまだスピードが遅い」と今後の改善すべき課題を挙げる。目指すところは遥かな高みにあるようだ。

■ 白岩優奈

今季、ジュニアグランプリで2戦連続優勝を決め、ファイナルへの進出を決めた。「試合はいつも緊張する」そうだが、大きなミスなく滑り切ることができる選手だ。昨季の全日本ジュニアではショート落ちを味わっている。「ジャンプ、スケーティング、表現など、すべての課題を磨いてきました」と今大会への自信を語る。さらにジャンプの改善について尋ねたところ、「スケーティングを磨けばジャンプの軸がつかめてくる。スケーティングの進歩がジャンプの改善につながりました」と13歳とは思えない冷静な回答が返ってきた。

■ 三原舞依

夏場からずっと好調を維持し、ジュニアグランプリファイナルへの切符もつかんだ。西日本選手権は3位に終わったが、決して大きなミスをしたわけではなく、通常ならば優勝していておかしくないでき栄えの演技だった。「他の選手は元気一杯の滑りをしていた」と感じたそうだ。手堅く演技をまとめたことが、勢いを削ぐ印象を与えてしまったかもしれない。「今季のフリー『ジゼル』は死んでしまうぐらいに踊り狂う役柄。体力的にはきついが、私ももっと踊り狂うぐらいに表現したい」。「優勝します」と夏に宣言してくれた今大会での活躍を期待したい。

■ 本田真凜

もどかしい思いをした昨季を乗り越え、日頃の努力が開花した今季はジュニアグランプリファイナルへの切符を獲得。今季のフリーは冒険とも思える難しいプログラムを仕上げてきた。ジュニア選手には表現の難しい曲調で、エレメンツのつなぎも高難度。「難しいですけど、毎回、きれいな曲だとお客さんも飽きるかな?と思い、あえて挑戦しています。ミスが多いと表現したいことが伝わらない。まだまだ完成度は低いと思います」。ノーミスでまとめれば圧巻の仕上がりとなるだろう。

■ 樋口新葉

昨季の活躍で日本女子のエース候補へと躍り出たが、オフに怪我をしたことが尾を引き、ここまでは本調子とはいえないシーズンを送っている。調整の遅れを取り戻そうと、急ピッチで仕上げたようだが、まだ試合での安定感は取り戻せていない。フリーは7つのジャンプ要素のうち、5つを後半に組み込む難しい構成だが、「最初にミスしても、後半までに気持ちを切り替えることができます。ステップを踏みながら後半のことを考えています」と、プラスに捉えているようだ。

■ 青木祐奈

今季はここまで本来の実力を発揮できずにいる。「朝練の時間も取らせてもらっていますし感謝しています。自分がジャンプを狂わせていると思うので、自分自身で修正していきたい」と本人は否定するが、ホームリンクの改築工事など、練習環境が安定しないことが影響しているようにも思える。そんななか、ダブルアクセル+トリプルトゥループのコンビネーションに挑戦。また、昨季から大きな武器としていたトリプルルッツ+トリプルループのコンビネーションにも改善の跡が見られる。ジュニア初年度ではあるが、優勝争いを期待したい。

■ 松原星

数年間のスランプを脱し、今季見事な復活を遂げた。練習ではずっと好調だったものの、試合では極度の緊張から全く実力を発揮できずにいたそうだ。今季はこの点を克服し、転倒せずに演技をまとめられるようになった。とはいえ、膝を曲げてギリギリの着氷をする低空ジャンプは彼女の本来のジャンプではない。緊張からジャンプが低くなってしまうクセは今も残っているようで、高く上がり、余裕を持って着氷する、彼女本来のジャンプを取り戻したいところ。「西日本の強い選手と戦えることが楽しみ。不安はありません」と自信にあふれたコメントを残してくれた。

■ 岩元こころ

西日本選手権ではフリーをノーミスでまとめて4位に入賞。安定感のある選手で、全日本ジュニアでも上位入賞が期待できる。「ノーミスで滑ることはできましたが、危ないジャンプもあり、丁寧さに欠けていたと思います」と課題を口にする。「お客さんに対して印象が悪いので、転倒しないように普段から心がけています。とはいえ、意識して跳ぶと失敗します。考えずに跳べるまで、練習を繰り返して体に染みつけているんです」。まだ大舞台での活躍は少ないが、今後が大いに楽しみである。

■ 新田谷凜

西日本選手権のフリーではミスの多い演技をしてしまった。同じクラブの横井ゆは菜の演技を観て、自分も後に続こうと気負ってしまったという。ショートでは、トリプルルッツ+トリプルトゥループを初成功させるなど、全日本ジュニアにつながる成果も見せてくれた。シニアへと移行してもおかしくない高校3年生の彼女がジュニアに残留した理由は?「昨季、全日本ジュニアで納得のいく順位が取れなかったので。表彰台に上がって、世界ジュニアにも出場したいと思います。ジャンプのレベルが高い、現在のジュニアの環境に身を置いた方が自分もレベルアップできると思うんです」。

■ 坂本花織

今季は西日本選手権をスキップ。ジュニアグランプリに出場した後は試合から遠ざかっている。昨年の全日本ジュニアで表彰台に上がったことでシード権を持っているが、通常ならば調整の目的で西日本選手権に出場したはずだ。夏に『全日本ジュニアで優勝します』との強気なコメントを聞かせてくれていた彼女。類まれな身体能力を武器に、逆境を克服してほしい。

【東京ウォーカー/取材・文=中村康一(Image Works)】
 

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