園子温が妻・神楽坂恵とのタッグ作『ひそひそ星』で語った福島への思い
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第16回東京フィルメックスオープニング作品の園子温監督最新作『ひそひそ星』(2016年5月公開)が、11月21日にTOHOシネマズ日劇で上映された。ゲストとして園子温監督と、本作のプロデューサー兼主演女優・神楽坂恵が登壇し、Q&Aを行った。
『ひそひそ星』は2014年に園監督自ら設立したシオンプロダクションによる第1作目で、園監督が20代の時に手掛けたオリジナルのシナリオをモノクロームで映画化したSF作品。東宝スタジオに大きな宇宙船のセットを組み、福島県の富岡町・南相馬・浪江町でロケを敢行した。
園監督は、当時を振り返り「1999年頃に書いた台本です。その頃はインディーズ映画を撮っていて、予算がつかなくて断念しました」と告白。
神楽坂は、主人公のアンドロイド・鈴木洋子“マシンナンバー722”を演じた。「私はプロデューサーといっても、お金の管理をしただけで。鈴木洋子として、いつもどおりやって、厳しく、ちゃんと追い込んでいただいたなと思います」。
園監督は、神楽坂について「奥さんで、プロデューサーで、主演女優。彼女はすごく僕の25年前の台本を尊重してくれた」と感謝する。さらに「僕も、20代の彼(自分)に対して、ああ、君はそう思っているんだ、なるほどねとリスペクトして、純粋に映画を作ろうと思いました」と言葉をかみしめる。
神楽坂も「引っ越す度にずっと(本作の)絵コンテを持っていて。これをいつか撮りたいと思っていたんだと思います。このタイミングで撮れて、しかも私が出させていただくということで、うれしい気持ちでいっぱいでした」とコメント。2人のパートナーシップの強さが垣間見られたティーチインとなった。
来場した観客の中には、福島県出身者もいて、東日本大震災後の福島を描いた『希望の国』(12)などを手掛けた園監督に感謝の気持ちを伝える人もいた。園監督は、この後も福島の映画が控えていることを語り「できれば、可能なかぎり、福島の映画を撮りたいといまは思っています」と力強く締めくくった。【取材・文/山崎伸子】