サカナクションがトリを飾り、SHISHAMO、オーラル、フォーリミら"常連"も躍動 『SWEET LOVE SHOWER 2019』1日目

2019.8.31
レポート
音楽

サカナクション 撮影=渡邉一生

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SWEET LOVE SHOWER 2019 DAY1  2019.8.30  山中湖交流プラザ きらら

ハルカミライ

ハルカミライ 撮影=岸田哲平

FOMARE、tetoという勢いのある若手バンドが口火を切ったFORESTに、3組目として登場したハルカミライ。感情まるごとぶつける衝動的なステージで初っ端から「カントリーロード」「ファイト!!」を連射した。ステージを降りた橋本学(Vo/Gt)は泥だらけでお客さんの中を暴れまわり、関大地(Gt)が鉄骨の上によじ登ったりと、まさにやりたい放題のパフォーマンスだ。“君”への想い全身全霊で叫ぶ「世界を終わらせて」など、生半可な共感ではなく、聴き手の心の深いところへ突き刺さるハルカミライの渾身のステージには、涙で瞳を濡らすお客さんの姿もあった。ラスト1曲を残して、「お互い会えてうれしいね、みんな元気で何より!」と、橋本が力強く叫ぶと、「アストロビスタ」の大合唱で終演。今日もハルカミライが私たちの人生を豪快に抱きしめてくれた。

ハルカミライ 撮影=岸田哲平


 

04 Limited Sazabys

04 Limited Sazabys 撮影=AZUSA TAKADA

爽快に突き抜けるハイトーンとツインギター。変幻自在かつ滑らかに曲を運ぶビート。ほとんどの曲を曲間ゼロ秒で演奏する華麗な手捌き——。GEN(Ba/Vo)が「今はファミリーって気持ちが強いからようこそって気持ちです」と言っていたように、6度目の出演となる04 Limited Sazabysのライブからは、ホームの貫禄が感じられた。「swim」では歌詞の通り陽が射す場面もあり、それを受けたGENが雲の切れ間を指し「あそこ、多分音で(穴が)空いたね」と一言。「Galapagos」間奏のアドリブ箇所は、TRIPLE AXEのステージに突然呼ばれたり、マキシマム ザ ホルモンのダイスケはんから「プレゼント企画やるから私物くれ」と言われたり、という先輩からの扱いに対し愚痴を漏らすも、「今後も癒着癒着でよろしくお願いします」と締めるこの日ならではの内容だった。

04 Limited Sazabys 撮影=AZUSA TAKADA


マキシマム ザ ホルモン

マキシマム ザ ホルモン 撮影=浜野カズシ

今年6月にダイスケはん(キャーキャーうるさい方)の頸椎椎間板ヘルニアによるライブ活動休止から完全復活を遂げたマキシマム ザ ホルモンが、ラブシャの腹ペコたちを大暴れさせるために帰ってきた。見渡す限りお客さんで埋め尽くされたLAKESIDEの絶景を眺めて、「どこま~でも、どこま~でも♪」と、立志舎大学のCMソングを歌い出したりとナヲのトークも絶好調だ。マキシマムザ亮君(歌と6弦と弟)とダイスケはん、ナヲの三声が目まぐるしく交錯した「便所サンダルダンス」、TRIPLE AXE(coldrain、HEY-SMITH、SiMの3バンドの総称)のTシャツを着た上ちゃん(4弦)の写真をスクリーンに映し出して突入した「上原~FUTOSHI~」、“麺カタコッテリ”のポーズを決めた「恋のスペルマ」など、日常の鬱屈をすべて発散する35分間。これぞマキシマム ザ ホルモンが描くロックのユートピアだ。

マキシマム ザ ホルモン 撮影=浜野カズシ


 

SIRUP

SIRUP 撮影=渡邉一生

今年新設されたステージであるGOOD VIBESにて、その名にふさわしい音楽を鳴らし、観客の心と身体を揺らしたのはSIRUP。彼はサックスやフルート、キーボードを含むバンドサウンドを従えながら、CMでおなじみの「Do Well」など計8曲を演奏した。時には同期に主旋律を任せ、それに対してハモったり、アドリブ的にスキャットをしたり、観客の方にマイクを向け一緒に歌うよう促したりしているが、“ライブだからといって生音には拘らない”という逆転の発想の元、自由にアプローチする軽やかさも彼の魅力なのかもしれない。曲はスタイリッシュだが、MCでは「寒いな、今日な」と関西弁で素朴に語りかけるなど、ギャップが垣間見える場面もあった。

SIRUP 撮影=渡邉一生


 

SUPER BEAVER

SUPER BEAVER 撮影=関口佳代

先日、ドラムの藤原“31才”広明が体調不良により休養することを発表したSUPER BEAVERは、サポートドラムに河村吉宏を迎えてオンステージ。<ロックスターは死んだ>という鮮烈なフレーズが口火を切る「27」や、あっと言う間に終わってしまう人生だからこそ、いま何をすべきかを問う「閃光」、躍動感のある演奏のなかで自分自身の心踊るほうへと進もうと歌う「予感」など、渋谷龍太(Vo)が丁寧に言葉を重ねながら届けてゆく歌に、柳沢亮太(Gt)、上杉研太(Ba)の演奏もまた同じ意志をもって寄り添っていた。MCでは、「いつもはステージに出るまえに、(藤原が)“今日も頼んだぜ”って背中を叩くから、俺が“任せとけ”って尻を叩くんだけど……今日はエアで“任せとけ”をやってきました」と、渋谷。いつものSUPER BEAVERに勝ちにいく気迫のステージだった。

SUPER BEAVER 撮影=関口佳代


THE ORAL CIGARETTES

THE ORAL CIGARETTES 撮影=AZUSA TAKADA

THE ORAL CIGARETTESは「PSYCHOPATH」からスタート。冒頭3曲で大盛り上がりする観客を喜び半分驚き半分の表情で見ていた山中拓也(Vo/Gt)は、直後のMCで今年が7年連続7回目の出演であることに触れ、「このフェス何回来てもやっぱホームやなと思います、ありがとう」と一言。バンドの転機をこのフェスで迎える機会が多かったため、今もステージに立ちながら過去の出演時を思い出しているとのことだった。7年前の彼らだったら今のように、「家族ってやっぱ大事やで」という飾り気のない話をMCですることもなかっただろうし、バラード「透明な雨宿り」がここまで穏やかに響くこともなかっただろう。そういう意味では彼らの積み重ねてきた時間の厚さ、それによる変化が表れたライブだったように思う。観客の歌声を味方につけながら「容姿端麗な嘘」、「BLACK MEMORY」を鳴らすラストシーンも含めて。

THE ORAL CIGARETTES 撮影=AZUSA TAKADA


SHISHAMO 

SHISHAMO 撮影=西槇太一

すっかり陽が暮れて、Mt. Fujiの周辺を美しい光の演出が彩るなかで登場したのは、野外フェスで初めてトリを飾るというSHISHAMO。サウンドチェックから、「ねぇ、」「好き好き!」といった楽曲を披露して、早くから会場に集まったお客さんを湧かせると、この場所にぴったりの「君と夏フェス」で本編をスタートした。2014年、19歳のときに初めてラブシャに出演して以降、5回目の出演となる彼女たち。年々タフに進化する骨太なバンドサウンドにのせて、宮崎朝子(Vo/Gt)が青春の匂い香る甘酸っぱくも切ないメロディを紡いでいく。10月にリリースする新作シングルのカップリング曲だという、黒いグルーヴが炸裂した「君の大事にしてるもの」は、いまのSHISHAMOだからこその大人っぽいナンバー。ラストを飾った「明日も」や「OH!」では、ちっぽけで大きな悩みを抱えながら、自分だけの生きる道を進む私たちに届けたSHISHAMOからのエールソングに喝采が湧いた。

SHISHAMO 撮影=西槇太一


サカナクション

サカナクション 撮影=渡邉一生

LAKESIDEのトリとして1日目を締め括ったのはサカナクションだ。最初の1曲を終えると、山口一郎(Vo/Gt)が「改めまして!サカナクションと申しまーーす!みなさんまだまだ踊れますかーー!」とテンション高めに挨拶し、観客の昂揚感をさらに膨らませる。この日は、レーザー光線をガンガン飛ばしながら「アイデンティティ」など定番曲を演奏して、みんなが“フェスのトリのサカナクション”に期待するであろう役割を全うした一方、最新アルバム『834.194』の収録曲も複数披露。例えば「モス」ではイントロのキメの時点でフィールドから歓声が上がるなど、バンドの最新モードが浸透しつつあることが窺える場面も多かった。そんななか、一際強い存在感を放っていたのが『834.194』収録曲「ワンダーランド」。ノイズが鳴り、次第にビートが重なり、それがフェードアウトしたかと思えば、不協和音のようなリフがフェードインしてきて——という曲が始まるまでのドラマティックな展開も、音源で聴くよりもかなり獰猛で剥き出しなサビの音像も、最終的に爆発音みたいになり突如暗転して終わるラストシーンも、壮絶としか言いようのない衝撃があった。

サカナクション 撮影=渡邉一生


取材・文=秦理絵(ハルカミライ、マキシマム ザ ホルモン、SUPER BEAVER、SHISHAMO)、
蜂須賀ちなみ(04 Limited Sazabys、SIRUP、THE ORAL CIGARETTES、サカナクション) 
撮影=各写真のクレジット参照
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