SIROCO「革命的な舞台にしたい」 スペインの巨星JUAN DE JUANと共演する『舞台フラメンコ~私の地 アンダルシア』稽古場レポート&インタビュー
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フラメンコダンサーのSIROCO(シロコ)に注目が集まっている。2017年にスペインで行われた国際コンクールで日本人男性として初優勝を果たし、2018年7月、ドキュメンタリー番組「情熱大陸」(MBS製作著作/TBS系全国ネット)に登場した鬼才だ。そんな彼が、2019年11月9日(土)、10日(日)東京国際フォーラム・ホールC、11月11日(月) 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される『舞台フラメンコ~私の地 アンダルシア』でフラメンコの貴公子と称されるJUAN DE JUAN(ファン・デ・ファン)と共演する。「SPICE」では、盟友で師でもあるJUANとの舞台に向けて稽古に励むSIROCOに単独取材した。
稽古場を特別公開!
稽古場を訪れるため長い廊下の奥に位置する部屋へと向かっていると、次第に強く突き刺すような音が聞こえてくる。部屋に入ると、SIROCOが一人で練習をしていた。無線のイヤホンを付けており、何かしらの音と共に踊っているようだ。屈強な身体をしているが、たたずまいからも踊りからも力みが感じられず、すっくと立っている。
そして速射砲のごとく鋭く繰り出されるステップのスピードが凄まじく、響きも尋常ではない。マイクが仕掛けられていたり、響く板の上で踊っていたりするわけではないのに音の鳴り方がハンパないのである。SIROCOとはスペイン語で「熱風」を意味するが、まさにその場に一瞬にして巨大な熱量のパワーが立ち昇り鮮烈だった。
凄みのある踊りは、日々の積み重ねの結晶
稽古後のSIROCOに話を聞いた。どのような練習なのかとの問いに「日々の体力の維持と技術の維持ですね。毎日包丁を研いでいるようなトレーニング。日々の積み重ねがあって舞台に立てるので、モチベーションを保つようなこともしないと」と答える。
何を聴きながら踊っていたのかを確認すると「メトロノームを使っていました。同じ速度でも日によって感じ方が違うんです。包丁を研ぐような作業を続けて自分の中に『普通』を叩きこむんですね」と明かす。「人がいると自分の弱い姿とか見せ難いし、良いところばかりを見せようとしますよね。それでは技術のレベルは上がらない。いつもの自分ではなく『何か変わったね!』と思ってもらえる姿で舞台に立ちたい」とストイックだ。
『舞台フラメンコ~私の地 アンダルシア』で共演するJUANはスペインの大スターで、SIROCOは彼を「天才」と称する。「師匠と大きな舞台に一緒に立つことは想像し難いものがありました。でも自分にも良さがあると思いますし、それを探す旅をしています」と話す。
舞台の中ほどに二人の即興の場面が設けられる予定で、冒頭で紹介した稽古はそれに向けて日々自分を高めるために必須なのだろう。「舞台では世の中と同じように想定していないことが起こる。その時にとっさの判断ができるようにするためにもトレーニングしていないといけないんです。一瞬の出来事のために何か月も何年もつぎ込む。それを一番いい形で表現するためにやっている感じがします」と説明した。
“本気”が生む感動、未知のステージへ
SIROCOは国際コンクール「第23回アニージャ・ラ・ヒターナ・デ・ロンダ」で優勝した“本場”スペインが認める実力者で、稽古の一端を垣間見ただけでも卓越した踊り手なのは疑いない。そう讃えたが「JUANはもっと凄いですよ。スペインのエリートですし経験値が違う」と師に一目も二目も置く。とはいえ「『JUANは凄かったね。SIROCOも良かったけど日本人レベルだよね~』と言われたくない。『JUANは凄かったけれどSIROCOも良かった。感動したね!』と思ってもらいたい」と奮起する。「最近ようやく何かを掴み始めました。カンテ(唄)やギター、照明の方と一緒にすべてを使って感動のステージを創ることができるのではないかと。『凄い人に挑んでいく』ということ自体をエンターテインメントにできたら」と意欲を示す。
「JUANが遠く離れた日本に来てくれるのは、僕がフラメンコを愛していると認めてくれているから」と シンパシーを語った。「JUANは立ち方とか振る舞いもカッコいいけれど、僕もカッコいいものをいっぱい持っています。向こうがヨーロッパの紳士だとしたら僕はJapaneseの紳士。人種を超えたカッコよさをお見せしたい。スペイン人と日本人がこれだけの大規模の公演で共演するのは革命的です。一生懸命、後悔のないように人生全部をぶつけます。僕らの表情と心の中を見てもらえれば」と抱負を述べる。未知なる舞台の開幕が待ち遠しい。
取材・文=高橋森彦 撮影=荒川潤
公演情報
(スペイン語名:SIROCO X JUAN DE JUAN:MI TIERRA ANDALUCÍA)
構成:JUAN DE JUAN、SIROCO
出演:
メインバイレ(踊り) :JUAN DE JUAN (ファン・デ・ファン)、SIROCO(シロコ)
スペシャルゲスト カンテ(歌):JOSÉ VALENCIA (ホセ・バレンシア)
カンテ(歌):SIMÓN ROMÁN(シモン・ロマン)、MARA RAY(マラ・レイ)
ギター:EL PERLA(エル・ペルラ)、徳永健太郎
バイオリン&ピアノ:森川拓哉
パーカッション:JOSE CARRASCO(ホセ・カラスコ)
バイレ(群舞):影山奈緒子、奥野裕貴子、松彩果、平山奈穂、大塚歩
※当初出演予定でしたMOISES HEREDIA(モイセス・エレディア)がJOSE CARRASCO(ホセ・カラスコ)に変更になりました。 変更に伴う
<東京>
日時:11月9日(土) 12:30開演・16;30開演 11月10日(日) 13;00開演 ※開場は各開演30分前
会場:東京国際フォーラム・ホールC
問:キョードー東京 0570-550-799(平日11:00〜18:00/ 土日祝10:00〜18:00)
<大阪>
日時:11月11日(月) 15:00開演 (14:30開場)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
問:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)
東京・大阪公演共通
*VIP席特典=1)座席位置:中央ブロック5列目以内保証 2)SIROCO、JUAN DE JUANとのミート&グリート(終演後)3)出演者サイン入りプログラム
<注意事項>
※5歳未満入場不可
※車椅子をご利用のお客様は、各地のお問い合わせまでお電話ください。
※やむを得ない事情により出演者が変更になる場合もございます。出演者の変更による払い戻しは行いません。
公式ホームページ:https://siroco-juan.jp
■主催:TBS・キョードー東京・キョードー大阪・イープラス・博報堂DYメディアパートナーズ
■後援:スペイン大使館・(一社) 日本フラメンコ協会