『氣志團万博2019』直太朗、スカパラ、DA PUMP、HEY-SMITH、King Gnu、Dragon Ash、木梨憲武ら音楽が生み出す力や希望を信じて集結したフェス初日レポ

2019.9.25
レポート
音楽

氣志團、スカパラホーンズ 撮影=上山陽介

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シミズオクト Presents 氣志團万博2019 ~房総ロックンロール最高びんびん物語~ 2019年9月14日(土)千葉県・袖ケ浦海浜公園【1日目】

9月14日(土)、15日(日)、千葉県・袖ケ浦海浜公園にて、氣志團主催による『シミズオクト Presents 氣志團万博2019 ~房総ロックンロール最高びんびん物語~』が開催された。台風15号の影響で千葉広域が停電や断水の被害に見舞われ、開催も危ぶまれた今年の万博だったが、綾小路 翔(氣志團)の英断により、予定通り開催されることが決定。故郷である千葉のことを想い、一刻も早い復旧を心から願った上で、音楽が生み出す力や希望を信じて、開催を決意した綾小路。その想いや考えに賛同した出演者と観客が房総の地に集い、明日への力と希望を生み出した2日間の印象的なシーンをレポートする。

森山直太朗 撮影=中野修也

森山直太朗 撮影=中野修也

森山直太朗、綾小路 翔 撮影=中野修也

好天に恵まれた14日(土)初日。開演時間を前に“OPENING CEREMONY ACT”として、YASSAI STAGEに登場したのは森山直太朗。温かい拍手に包まれて挨拶すると「さくら(独唱)」を弾き語りで熱唱。本来だったらそのまま開会宣言に移るところだが、この日は「ここはこの人に開会宣言をしてもらいましょう」と綾小路をステージに呼び込む。真摯な表情でセンターステージに登場し、深々とお辞儀をする綾小路。台風15号の被害に遭われた方々へのお見舞いの言葉を伝えると、「このタイミングで『氣志團万博』を開催するべきか、するべきではないのか? この人生で一番悩みました。結局、答えは出ませんでした。だけど俺達は人生の岐路に立たされた時、いつだって前に進むことを選択してきました。俺達が夢見た音楽の先には必ず希望がありました。だから俺は『氣志團万博』を開催することを決めました」と、開催決定までの苦悩や葛藤を自分の言葉で丁寧に語る。続いて「我々、出演者一同はみんなの明日の活力になるよう、全身全霊でプレイすることをここに誓います!」と力強く宣言した綾小路。「みなさん、とことん音楽を楽しんでって下さい。そして今日、ここに来れなかった人たちにこのパワーを届けてあげて下さい!」という言葉は、どこか懸念や不安を抱えたまま参加していた人たちの気持ちを晴れやかにしてくれた。

氣志團 撮影=上山陽介

氣志團 撮影=上山陽介

氣志團 撮影=上山陽介

初日の特攻隊長を務めたのは、主催者である氣志團。スカパラホーンズを従えて、1曲目に演奏したのはRAMONES「DO YOU REMEMBER ROCK'N'ROLL RADIO?」のカバー。『氣志團万博』オープニングVTRのBGMとして流れ、煽り映像と共に気持ちをブチ上げてくれるこの曲。さっきまでの不安や懸念をぶっ飛ばす痛快なロックンロールに、会場中が拳を上げる。主催者かつ特攻隊長として、みんなの不安な気持ちに風穴を空けてくれた氣志團。たくさんのダンサーやメンバーの着ぐるみを引き連れた、賑やかな「One Night Carnival」に振り付けを合わせる観客に笑顔が浮かぶ。MCでは「複雑な想いを抱えて来てくれた人もいると思うけど、来てくれて本当にありがとう。最高の仲間たちも、もしかしたら俺たちと一緒に傷つけられたかも知れないのに、何も言わずに音楽しに来てくれてます。だから、みんなもとことん楽しんで!」と観客や出演者の気持ちも汲んだ言葉を贈ると、「今日から俺たちは!!」で熱く前向きなメッセージを届けた。

コロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店) 撮影=浜野カズシ

コロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店) 撮影=浜野カズシ

コロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店) 撮影=浜野カズシ

超満員の観客を集め、午前中とは思えない超ハイテンションなライブで沸かせたのは、MOSSAI STAGEのコロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店)。「ぶっ生き返す!!」で始まったライブは本店にも迫る勢いで、フィールドをぐしゃぐしゃに掻き回す! 「三度のメシよりメシが好き!」「いや、本店ちゃうで!」とテンポ良い関西弁でツッコむMCや、キャーキャーうるさい方と女声を見事に使い分けるセキはん(Vo)の巧みなボーカルも本店には無い魅力。笑顔でいっぱいのフィールドを眺め、「この光景を広げていくのが僕らの役目だと思ってます」と語ると、ラスト「恋のメガラバ」で最高潮の盛り上がりを生んだ。

東京スカパラダイスオーケストラ 撮影=青木カズロー

東京スカパラダイスオーケストラ 撮影=青木カズロー

東京スカパラダイスオーケストラ、綾小路翔、早乙女光 撮影=青木カズロー

YASSAI STAGEに登場した東京スカパラダイスオーケストラは、「無理して来てくれた人もいると思うけど、僕らの音楽で少しでも幸せになってほしい」と「スキャラバン」、「DOWN BEAT STOMP」の痛快なビートで会場中を踊らせる。「Paradise Has No Border」では綾小路と早乙女 光(氣志團)がステージに登場し、「コラボしてくれ!」と懇願し続ける綾小路が<♪コラボしてくれ、コラボしてくれ!>と替え歌で迫り、メンバーは苦笑い。続いて綾小路がギター、早乙女がハーモニカを担当し、トリビュートアルバム『楽園十三景』で氣志團がカバーした「砂の丘」を披露。ラストは「ペドラーズ」で『氣志團万博』ならではの楽しく温かいステージを締めくくった。

DA PUMP 撮影=中野修也

DA PUMP 撮影=中野修也

DA PUMP 撮影=中野修也

東京湾に陽が落ち始めた頃、フィールドを埋め尽くす観客の期待に包まれて登場したのは、万博初登場となるDA PUMP。「呼んでくれたのが、たまたま「U.S.A」のタイミングだったと思ってる」と煽りVTRで語ったISSA。期待に答えるように、1曲目から「U.S.A」を惜しげなく放ち、“いいねダンス”で会場をひとつにする。さらに「ごきげんだぜっ!~Nothing But Something~」でたくましい歌声とキレの良いダンスを見せると、美しすぎる夕焼けを浴びて歌う「if…」で会場中を魅了。観客の心をがっちり掴んだところで、「P.A.R.T.Y.~ユニバース・フェスティバル~」の“バイーンダンス”で一体感を生み、ラストは「いいね!しかないでしょう!!」と、センターステージで再び「U.S.A」をパフォーマンス。会場中が“いいねダンス”を踊る光景は、まさに“ごきげんだぜっ!”だった。

森山良子 撮影=上山陽介

森山良子、綾小路翔 撮影=上山陽介

森山良子、森山直太朗 撮影=上山陽介

MOSSAI STAGEでは、森山良子が登場し、透き通る美声で「涙そうそう」や「さとうきび畑」を披露し観客を魅了。いとこのムッシュかまやつに扮した綾小路、息子の直太朗と森山ロイヤルファミリー勢揃いの豪華ステージで沸かせると、続くHEY-SMITHが「俺たち、自粛とか性に合わないから。元気溜めて、その元気を困ってる人に分けてやってくれ!」と、派手やかな歌と演奏で駆け抜け、フィールドを大いに湧かせる。次いで、フィールドから溢れる観客の注目を集める中で登場したKing Gnuは、拡声器越しのボーカルで煽る「Slumberland」でライブが始まると貫禄さえ感じるグルーヴィーな演奏で会場中を踊らせ、「白日」や「飛行艇」で観客の心を揺らす。このバラエティに富んだ贅沢すぎるラインナップこそ、『氣志團万博』の醍醐味! 

HEY-SMITH 撮影=青木カズロー

HEY-SMITH 撮影=青木カズロー

King Gnu 撮影=上山陽介

King Gnu 撮影=上山陽介

Dragon Ash 撮影=青木カズロー

Dragon Ash 撮影=青木カズロー

Dragon Ash 撮影=青木カズロー

悩んで悩んで開催を決断した氣志團に賛同することを語ったkjが「打ちひしがれた時とか楽しい時とか、いつも横に音楽が鳴ってて。俺たちは何度も何度も音楽に救われてる。全部八つ当たりに使っていいから、むちゃくちゃやって帰って下さい」と告げ、気合い十分のステージで沸かせたDragon Ashに続き、初日大トリとしてステージに登場したのは木梨憲武。100人のダンサーを従えての「Laughing days」、西城秀樹「YOUNG MAN(Y.M.C.A)」で驚かせたと思えば、ヒロミとカンニング竹山をゲストに迎えて、アリス「チャンピオン」を歌ったりとやりたい放題。かと思えば、妻である安田成美に贈る「I LOVE YOUだもんで。」で笑いと涙を誘ってと、極上のエンターテイメントで観客を魅了。本人は無意識だったと思うが、綾小路を迎えて歌った、とんねるず「一番偉い人へ」の<俺たちは 今何をするべきか?>の問いかけは、考える機会と気付きを与えてくれ、この日の大トリはノリさんしかいなかったと確信。

木梨憲武 撮影=釘野孝宏

木梨憲武 撮影=釘野孝宏

木梨憲武 撮影=上山陽介

ラストはこの日の出演者に加え、翌日の出演者であるナヲ(マキシマム ザ ホルモン)や鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)も加わり、お祭り騒ぎで披露した「One Night Carnival」が会場を笑顔で埋め尽くして終演。終幕を華やかに彩るはずだった花火が上がらず、照明を落としてみんなで満月を眺めるという予想外の展開も実に味わい深く、心に残る『氣志團万博2019』初日のエンディングとなった。

取材・文=フジジュン
撮影=青木カズロー、上山陽介、釘野孝宏、中野修也

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