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細野晴臣、自身の50周年展に圧倒される「生きる標本、老人の標本ですね」

2019.10.4
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細野晴臣

細野晴臣の活動50周年を記念した展覧会「細野観光1969-2019」が明日10月4日から11月4日にかけて東京・六本木ヒルズ展望台 東京シティビューで開催される。これに先駆け、本日10月3日にオープニングセレモニーおよび内覧会が行われた。

「細野観光1969-2019」は、細野の音楽家としての側面のみならず、映画やアート、落語、マンガなど多様な事柄に関心を持つ彼の一面を貴重な展示品と共に紹介する企画。エントランスには細野が愛用しているギターやベース、トランクを積み上げた“ギタータワー”やアルバム「泰安洋行」のジャケットを模した顔ハメパネルが展示され、来場者を出迎える。場内は「1969~1973|憧憬の音楽」「1974~1978|楽園の音楽」「1979~1983|東京の音楽」「1984~2004|彼岸の音楽」「2005~現在|記憶の音楽」という5つの展示で構成されており、多岐にわたる「細野ワールド」を“観光”するように楽しめる。また音声ガイドのナビゲーターとして塙宣之(ナイツ)、星野源、高橋幸宏、水原希子、原田郁子(クラムボン)が参加しているのも魅力だ。

オープニングセレモニーには細野本人も登場し、「この高齢者のために、こんなことになって申し訳ないなと。でもありがたい」と謙遜しながら挨拶した。すでに内覧済みの彼は「美術館のスタッフの方の働き方が素晴らしかった。僕はぼうっと待ってるだけで。物が溜まってただけです」と語り、その膨大な資料の数に「とても圧倒されましたね。自分の中身がさらけ出されて。僕がこんなに物を持ってるとは思わなかったです」と感嘆しつつも「誰だって長く生きていれば歳を取る。捨てられない自分が嫌だ。マッチ箱とかあって。全部忘れてました」と苦笑い。

細野は何度か展示されているノートについて触れると、「昔描いてたマンガが残ってたんですね。最近絵を描いてないのですが、わりとうまかったんですね」と自身の画力について言及した。しかし展示されるのは恥ずかしいようで「マニアの方は読むと思うんですけど、僕は読みたくないです。1冊だけでも読むのに10分くらいかかりますね……それが何冊あるか」とぽつり。会場には楽器も多数展示されているため、「一番なくて困るのは楽器類ですね。この前もレコーディングだったのに何もないなと思って(笑)」と展覧会による思わぬ“支障”も発生しているという。さらに細野は親交のあるさまざまな著名人たちが参加した音声ガイドについても触れ、「ナイツの塙さんは面白いことを言ってるらしいですね。まだ聞いていないんですけど」と集まった記者陣を笑わせた。

今後の活動について問われた細野は「あと10年くらいは。82歳くらいまではできますね」と音楽への並々ならぬ意欲を語り、96個のスピーカーからなる展示物の音響樽にも「これでコンサートをやってみたいです」と興味津々の様子を見せた。「自分から勧めるものは何もない。勘弁してほしいなという気持ちです。何が50周年だと。ドキュメンタリー映画があって、ライブがあって……早く来年にならないかなと(展覧会は)自分の反省材料にします」とボヤきながら、細野は「僕に興味がある人は面白いんだろうなと思いますが、興味がない人はどうなんでしょう? 1人の人間の50年、70年が観られるというか。生きる標本、老人の標本ですね」と展覧会を自虐的にアピール。記者から展覧会を観てほしい人を問われると、自身の母を挙げ「歩けないんですけど……」と少し寂しそうな表情を浮かべた。

そして司会者から「最後にひと言お願いします」と締めの挨拶を求められると、細野はマイクを持ち「あ」とひと言。ユーモアたっぷりにセレモニーを締めくくった。

細野観光1969-2019

2019年10月4日(金)~11月4日(月・祝)東京都 六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー