ブレードランナーシネマ・コンサートが幕開け 世界初演!ロンドン公演速報レポート
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2019年10月25日、シネマ・コンサート『ブレードランナーLIVE』がロンドンにて世界初演を迎えた。シンセサイザーの巨匠ヴァンゲリスが手掛けたオリジナルスコアで演奏された本作は、2020年4月3日(金)・4日(土)に、Bunkamuraオーチャードホールで日本初上陸を果たす。日本上陸を前に、ロンドン公演速報レポートが到着した。
『ブレードランナー』は生演奏上映の夢を見るか?
フィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』をリドリー・スコット監督、ハリソン・フォード主演で映画化した『ブレードランナー』(ファイナルカット版)を全編上映しながら、シンセサイザーの巨匠ヴァンゲリスが手掛けたオリジナル・スコアを画面とシンクロさせて演奏するシネマ・コンサート『ブレードランナーLIVE』が2019年10月25日、すなわち物語の時代設定である2019年11月を約1週間後に控えたロンドンで世界初演された。
プロデューサーのジャック・ステュークスとピエール・オライリーの陣頭指揮の下、約1年をかけてヴァンゲリスのサントラを完璧に採譜・楽譜化し、さらにシンセの音色も可能な限り忠実に復元した上で、それを計11名のアンサンブル――シンセサイザー×3、エレクトリック・ストリング・カルテット(ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロ)、テナーサックス/フルート、ベース(エレキ&アコースティック)、パーカッション×2――で生演奏するというものである。
本編が始まり、「ロサンゼルス、2019年11月」のタイトルがスクリーンに浮かび上がると、会場は物語の時代設定と現実の時間のシンクロに興奮した5000人の大歓声に包まれた。ロサンゼルス上空をスピナーが飛び交う有名なオープニングで流れる、きらびやかなシンセ・サウンドとバス・ドラムの重低音。主人公デッカードのアパートをレイチェルが訪れるシーンで流れる《メモリーズ・オブ・グリーン》の気怠いピアノ。ゴミ置き場に身を潜めるプリスが技術者セバスチャンと出会うシーンで流れる《ブレードランナー・ブルース》の哀愁に満ちたシンセ……。よくぞここまで、ヴァンゲリスの音色を再現したものだ。1982年の初公開当時、誰も夢見ることさえ出来なかった『ブレードランナー』の生演奏上映が、ついに現実のものになったという感動に打ち震えた。
今回の世界初演の成功を踏まえ、来年4月に予定される東京公演はさらに磨きをかけた「改良型」の上演になるという。1982年初公開版、1992年ディレクターズカット版、2007年ファイナルカット版に続く新たなヴァージョン『ブレードランナーLIVE』を体験せずして、今後『ブレードランナー』を語ることは出来ないはずだ。
文=前島秀国(サウンド&ヴィジュアル・ライター)