三浦春馬、ミュージカルコンサートでシンシア・エリヴォと共演 世界に並ぶ覚悟と信念

2019.12.24
インタビュー
舞台

三浦春馬

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ブロードウェイ・デビュー作となった『カラー・パープル』主演で高く評価され、2016年度のトニー賞主演女優賞、グラミー賞、エミー賞など数々の賞に輝いたイギリス出身のミュージカル界のディーヴァ、シンシア・エリヴォ。2019年には第77回ゴールデン・グローブ賞 主演女優賞にノミネート(主演映画『ハリエット』(2019))されるなど、幅広く注目を集める彼女が、マシュー・モリソン、三浦春馬の二人と共に、2020年新春、ミュージカルコンサートを行なう。三浦春馬に意気込みを聞いた。

――出演が決まってのお気持ちと、共演するお二人への思いをお聞かせください。

自分に話が来るとは思ってもいなかったので、最初は信じられなかったです。『4Stars 2017』でシンシアさんの歌を聴いて、日本で世界クオリティを体感出来たなと思ったことがあって。その声のリッチさ、表現力に本当に息を呑んだというか。どの楽曲にも強弱や違った表情をつけながら、歌声がまったくブレないんです。これは彼女独特だと思うんですが、声を張ったりするとき天を仰いだりするんですけれども、そうやって気管支を狭めながらも、吠えるように、祈るように声が出せる、その躍動感は普通じゃ考えられないなと。身体的な制約から自由に解き放たれているんですよね。そんな彼女の自由さ、神々しさに、聴いている方も、心解き放たれる、心つかまれるんだと思うんです。歌声プラス演技のすばらしさですよね。

三浦春馬

そんな驚きの中、楽屋で、出演していた(城田)優くんに案内されて、彼女に挨拶することができて。今度『キンキーブーツ』日本版でローラ役を演じるんだよという紹介をされたのですが、彼女は『キンキーブーツ』のオリジナルキャストとしてローラを演じたビリー・ポーターさんとも仲が良いようで。胸に手を当てて「おめでとう」と穏やかに言ってくれて、その様子に、普段からもとても大らかな方なんだろうなという印象を受けました。そんな方と今回同じステージに立ち、いろいろなことを学べると思うと、とても光栄ですね。

マシュー・モリソンさんとはまだお会いしたことがないのですが、彼が出演していた『glee/グリー』は観ていたので、不思議な感覚ですよね。僕の仲の良い通訳で、彼とも仕事をしたことがある人が、ものすごく人柄もいいし、パフォーマンスももちろんすばらしいし、きっと春馬くんと波長が合うと思うよと言ってくれたので楽しみにしています。マシューさんともご一緒できるのが本当にうれしいですよね。

――二日間、三回だけのスペシャルなコンサートです。

シンシアさんの歌の上手さはもちろんのこと、彼女の表現力が曲ごとに味わえる極上のエンターテインメントになるだろうと思っています。一曲一曲、色も違いますし、その中で彼女が各シーンをどう多彩に変えていくのか、その技術、引き算したり足し算したりの深さを、日本でリッチに観られるなんて、なかなかない機会だと思う。そんな唯一無二のコンサートですよね。

三浦春馬

僕は5曲くらい担当することになると思うのですが、だいたいが英語での歌唱になるので、発音を一から教わっている最中です。最初のうちは、自分の発音がこんなにもだめだったということに毎日幻滅して(笑)。一曲二曲で、発音確認だけで5時間とかかかっていたんですよ。でも、発音にしても歌唱にしても、そうやって一生懸命準備した先に、(シンシアさん、マシューさんという)二人の表現者、その表現力から学べるもの、歌中でのギフトのようなものが、リハーサルや本番の中でもらえるんじゃないかなと思っていて。しっかり準備しておくことで、僕がアクションを起こしたときに何が生まれるのかを楽しみに、集中していきたいと思いますね。本番、緊張するとは思うのですが。

生の舞台で何かを届けるって、一カ月二カ月しっかり準備して、その時間があってこそ自信をもって届けられるんですよ。でも多分、今回ほとんど一緒にリハーサルする時間はないと思うんですよね。その意味でも、ミュージシャンの方々への尊敬を改めて抱くようになりました。海外の俳優の方たちもそうですが、コンサートという場において、臆せず自信をもって、きらびやかに堂々とパフォーマンスしている姿は、すさまじい努力がその根底にあるからだろうと思うんです。…いやあ、ホントに自己責任ですからね(苦笑)。僕、友人にキックボクサーがいるんですよ。彼らにとっては勝敗がすべてだし、リングの上でしか努力が評価されない。何だか通ずるところがあるなって思います。悔しい思いをしてこの音が出ないとか、もしかしたら重なる部分があるのかなと思ったりして。

三浦春馬

生のステージは、その瞬間、同じテーマ、道に沿って、自分も躍動することができるし、それが本当にすばらしかったら、お客様も一緒になって感動していただける。その空間、その一瞬に共に歓喜できることってなかなかあることではないと思うんです。そこに僕は非常に価値を感じていて。その一瞬が、一生忘れられないような、一生語り続けられるようなものになることだってある。こればっかりは機械では作れないものだと思うし、映像作品でも生みがたい一瞬ではある。そんなインパクトを与え得るエンターテインメントに携わっていきたいという思いがあるんです。

――日本語で歌うのと英語で歌うのと、感情の乗せ方にしても違いを感じますか。

そこはやはり難しさ、壁がありますね。ヴォーカル・トレーナーに、まず日本語で歌って、その後朗読してみるということの重要さを教わっています。

――その一方で、もともとその語に対して作られた音、もともとその音に対して作られた語を発することができる喜びがあるのでは?

そこはもう歌いやすいですよね。今回歌う『キンキーブーツ』の「息子じゃないの」にしても、日本語で歌った経験があるからこそ、英語で歌うとき、こんなに音が出しやすいんだという感覚がありますね。今回、英語で歌うということで、『キンキーブーツ』を観た方にも新たな挑戦として楽しんでいただきたいです。

三浦春馬

――今回のセットリストについてお聞かせください。

日本でもとても人気のある曲もありますし、初めてシンシアさんの歌を聴く方でも、ミュージカルにそこまで詳しくない方でも、どなたでも楽しんでいただけそうなナンバーが並んでいますよね。

『ディア・エヴァン・ハンセン』の「ウェイビング・スルー・ア・ウィンドウ」は、プロデューサーからの提案。マシューさんとデュエットする『シークレット・ガーデン』の「リリーズ・アイ」は僕が選んだ曲です。ハーモニーも好きだし、クラシカルな歌い方もできる。3月にアンドリュー・ロイド=ウェバーの『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド~汚れなき瞳~​』に出演するんですが、そこにもつながるいいステップかなと思って。その『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド~汚れなき瞳~​』からも一曲、「独白」を、これは日本語で歌います。映画『グレイテスト・ショーマン』から「リライト・ザ・スターズ」をシンシアさんとデュエットするのも楽しみですね。同じ空間、同じステージで彼女のパフォーマンスを観られる貴重な機会って、これから先ないかもしれないですし。『キンキーブーツ』での小池徹平くんとのデュエットを振り返ってみても、一緒に歌うということは、音やリズム、ハーモニー、気持ちを含めて共感し合っているという、独特の高揚感みたいなものがあるんです。それが、お客様の共感にもつながっていったらと思います。

三浦春馬

取材・文=藤本真由(舞台評論家) 撮影=池上夢貢

公演情報

『シンシア・エリヴォ ミュージカルコンサート featuring マシュー・モリソン&三浦春馬』
 
■日程:2020年1月16日(木)19:00/1月17日(金)14:00/19:00
■会場:東京国際フォーラムホールA
■席種:S席12,000円、A席7,000円(全席指定・税込)
■出演:シンシア・エリヴォ
スペシャルゲスト:マシュー・モリソン、三浦春馬
 
■一般発売:2019年11月16日(土)10:00~
■公式Twitter:@Cynthia2020JPN
■主催:梅田芸術劇場 アミューズ
■企画・制作:梅田芸術劇場