ワッツ・オン・ブロードウェイ?~B’wayミュージカル非公式ガイド【2020年冬編】
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ブロードウェイで上演中のミュージカルをとりあえず全部!紹介するこの連載。昨年は、初めてのNY観劇旅行を後押しするQ&Aを設けてみたり、その時々の演劇関連イベントをピックアップしたりもしながら月イチで更新していたが、今年から季刊ペースにリニューアル。とりあえず全部!な点はそのままに、一つひとつの作品をもうちょっと長めに紹介するコーナーも設けてみたい。ここはやはりロングラン順かなということで、今回は『オペラ座の怪人』(1988~)、『シカゴ』(1996~)、『ライオンキング』(1997~)にスポットを当てる。
■『オペラ座の怪人』
ガストン・ルルーの小説を原作にロンドンで舞台化され、ブロードウェイ史上最長のロングランを続けている、天才作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーの代表作。パリ・オペラ座の地下に潜む異才ファントム、歌姫の卵クリスティーヌ、その幼なじみのラウル子爵との三角関係を、流麗な音楽と魔法めいたセットによって運ぶ。正直言って、狂おしい恋物語に心行くまで浸って涙したいなら、ブロードウェイよりウエストエンドのほうがオススメ。だが、超絶歌ウマ俳優たちと生のオーケストラによって奏でられる楽曲の数々は文句なしに美しく、湖が出現したりシャンデリアが落ちてきたり火の手が上がったりする演出は何度でも新鮮な驚きを与えてくれるので、エンターテインメントとしては確実に楽しめるはずだ。
■『シカゴ』
天才ボブ・フォッシーの演出・振付によって初演(1975)されたもののそこまでの大ヒットには至らなかった作品を、ほぼコンサート形式でリバイバルしたことが功を奏し、アメリカ産ミュージカルとしては最長のロングラン記録を更新中。殺人を犯した二人の女、ロキシーとヴェルマが辣腕弁護士ビリーの力を借りて、スキャンダルを武器にスターダムにのし上がろうとする様を描く。この主要3役には世界各国の多ジャンルのスターが配されることが多く、そして演じ手によって作品の印象が大きく変わるため、観るタイミングによって当たりハズレがあるのは事実。下手すると来日キャストのほうがレベルが高かったりもするが、セクシーでスタイリッシュなアメリカらしさを感じるには最適の作品だ。
■『ライオンキング』
『美女と野獣』に続く、ディズニーのブロードウェイ進出第2弾にして、初のトニー賞受賞作。ストーリーはアニメ映画(1994)の通りだが、文楽の手法も取り入れてサバンナの動物たちを表現するという、動物=着ぐるみというミュージカル界の定説を覆した鬼才ジュリー・テイモアの演出がお見事。筆者などは客席通路から象が登場するだけで、人間の創造力に感動して泣けてしまうのだった。劇団四季による日本版もレベルは高いが、黒人俳優と黒人ミュージシャンたちが生み出す躍動感はやはり、日本版にはない魅力と言える。
【2019-2020シーズンの新作】
■1~3月に始まる作品
『Caroline, or Change』3月13日プレビュー開始/4月7日開幕
2004年のトニー賞ノミネート作品の、2018年にロンドンで好評を得たリバイバル版。
https://www.roundabouttheatre.org/get-tickets/2019-2020-season/caroline-or-change/
『カンパニー』3月2日プレビュー開始/3月22日開幕
ソンドハイムの傑作コメディを『ウォーホース』の演出家でリバイバル。P・ルポンが出演。
https://companymusical.com/
『ダイアナ』3月2日プレビュー開始/3月31日開幕
ダイアナ元妃の人生を『メンフィス』の作家と『カム・フロム・アウェイ』の演出家で。
https://thedianamusical.com/
『Flying Over Sunset』3月12日プレビュー開始/4月16日開幕
3人の著名人がLSD(当時は合法)を使用していた事実を元にJ・ラパインが創作する新作。
https://www.lct.org/shows/flying-over-sunset/
『Girl From the North Country』2月7日プレビュー開始/3月5日開幕
ボブ・ディランの楽曲がちりばめられてはいるが、作りとしては完全にプレイ。要英語力。
https://northcountryonbroadway.com/
『ミセス・ダウト』3月9日プレビュー開始/4月5日開幕
同名映画を『サムシング・ロッテン!』の作家兄弟と売れっ子演出家J・ザックスが舞台化。
https://mrsdoubtfirebroadway.com/
『SIX: The Musical』2月13日プレビュー開始/3月12日開幕
ロンドンで大ヒット中。ヘンリー8世の6人の妻がガールズパワーを炸裂させる痛快作!
https://sixonbroadway.com/
■既に上演中の作品
『David Byrne’s American Utopia』
ミュージカルではなく「一生に一度の」「シアトリカルなコンサート」。2月16日まで。
https://americanutopiabroadway.com/
『Freestyle Love Supreme』
『ハミルトン』のクリエイター陣がプロデュースする即興ミュージカル。1月12日まで。
https://freestylelovesupreme.com/
『Jagged Little Pill』
アラニス・モリセットの同名アルバムをミュージカル化。『ピピン』の演出家の最新作。
https://jaggedlittlepill.com/
『The Lightning Thief』
ファンタジー小説「パーシー・ジャクソン」シリーズが原作。3か月持たず、1月5日まで。
https://www.lightningthiefmusical.com/
『ムーラン・ルージュ!』
バズ・ラーマン監督映画をアレックス・ティンバースが演出する話題作。人気沸騰中!
https://moulinrougemusical.com/
『Tina:ザ・ティナ・ターナー・ミュージカル』
ロンドンでの好評を受けてBW入り。オリヴィエ賞ノミネートの主演女優が続投!
https://tinaonbroadway.com/
『ウエスト・サイド・ストーリー』プレビュー中/2月6日開幕
ヴァン・ホーヴェ(演出)とケースマイケル(振付)が名作を大胆にアレンジ。期待大!
https://westsidestorybway.com/
【ロングラン作品】
■日本で既に上演された/されている作品
『アラジン』
ディズニーアニメが舞台ならではの手法で表現された秀作。魔法の絨毯は本当に魔法。
https://www.aladdinthemusical.com/
『シカゴ』
オペラ座の怪人に次ぐロングラン記録を更新中の名物作。出来は割とキャスト次第。
https://chicagothemusical.com/
『ライオンキング』
開幕から20年以上経つというのに、未だ入場率がほぼ毎週100%を超える大ヒット作。
https://www.lionking.com/
『オクラホマ!』
1943年初演の名作を21世紀の解釈でリバイバル。2019年トニー賞。1月19日まで。
https://oklahomabroadway.com/
『オペラ座の怪人』
言わずと知れた世界的メガヒット作。圧倒的な知名度ゆえ、劇場では日本人に遭遇しがち。
http://www.thephantomoftheopera.com/
『ウィキッド』
開幕から15年が経ち、ようやく
https://wickedthemusical.com/
■日本未上演の作品
『Ain’t Too Proud』
『ジャージー・ボーイズ』チームが描くテンプテーションズの軌跡。振付とキャストが最高。
https://www.ainttooproudmusical.com/
『ビートルジュース』
ティム・バートン監督映画の舞台化。映画を見ておかないと厳しいかも?6月6日まで。
https://beetlejuicebroadway.com/
『ブック・オブ・モルモン』
日本では永遠に上演されなさそうだが超絶面白い。モルモン教だけwikiで調べて観るべし。
https://bookofmormonbroadway.com/
『カム・フロム・アウェイ』
「911」の日、カナダの小さな町に起こった実話をシンプルだが力強い演出で描く感動作。
https://comefromaway.com/
『ディア・エヴァン・ハンセン』
深遠なテーマをスタイリッシュに描く、2017年のトニー賞受賞作。絶対日本でやると思う。
https://dearevanhansen.com/
『アナと雪の女王』
舞台ならではの表現が見当たらない残念作だが、生レリゴーは最高。今秋から日本で上演!
https://frozenthemusical.com/
『Hadestown』
『グレコメ』の演出家が現代的に描くギリシャ神話。2019年のトニー賞で8冠を達成。
https://www.hadestown.com/
『ハミルトン』
開幕5年目にして未だ超入手困難なモンスター級ヒット作。文句なしに革新的。観るべし。
https://hamiltonmusical.com/
『ミーン・ガールズ』
同名映画の舞台化。なぜか人気。アメリカ的なノリについていける自信があればどうぞ。
https://meangirlsonbroadway.com/
『トッツィー』
主演俳優を筆頭に大変チャーミングな舞台。残念ながら1月5日まで。ラストチャンス!
https://tootsiemusical.com/
『ウェイトレス』
同名映画の舞台化。話題性ある主役を次々投入し3年半踏ん張るも、ついに1月5日まで。
https://waitressthemusical.com