シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.13にPancetta(パンチェッタ)の選出が決定
-
ポスト -
シェア - 送る
Pancetta 過去公演写真
世田谷パブリックシアターによる、若い才能の発掘と育成のための事業“シアタートラム ネクスト・ジェネレーション”第13回目の選出団体が、Pancetta(パンチェッタ)に決定した。
1年に1度、公募により選ばれた団体に劇場がサポートを行いシアタートラムでの上演機会を提供する“シアタートラム ネクスト・ジェネレーション”。これまで、快快・FUKAIPRODUCE羽衣・ミナモザ・てがみ座・スズキ拓朗・泥棒対策ライト・悪い芝居など、現在演劇界で活躍中の多くの才能を輩出してきた。
一宮周平
今回選出されたPancetta(パンチェッタ)は、個性ある空間性、言葉の世界を持ち、多方面から注目を集めるアーティスト・一宮周平が企画、脚本、演出を行う団体で、2013年より活動を開始。今回の選出により、Pancettaは、2020年11月にシアタートラムで作品を上演する。なお、本上演は世田谷区芸術アワード“飛翔”(主催: 世田谷区、公益財団法人せたがや文化財団)の一環として行われ、舞台芸術部門・外部審査員及び世田谷区芸術アワード審査会が選定した。
選出にあたり、舞台芸術部門・外部審査員の岩松了(劇作家・演出家・俳優)、マキノノゾミ(劇作家・演出家)、小野寺修二(演出家)より講評と、Pancetta企画・脚本・演出を行う一宮周平より受賞コメントが届いた。
外部審査員選評
岩松了(劇作家・演出家・俳優)
何が面白いと言って、例えば女二人が正体不明の男に、女1 「あの、あなた何が見えますか?」と言って、男 1 が机だ、椅子だと言い、他にはと聞かれて「いい、お天気ですね」とこたえ、相槌を打つ女 2 に「雨が降るかもしれませんね」と言うと、頷いた女 2 の脇で女 1 が「見えてないわよ、私たちのこと」と言う。女2 も「うん」と言う。この流れ。いや、劇性と言うべきか。人の精神に空白があるように、人を取り巻くこの世界にも見えざる空洞があるのだろう。いや、見えて然るべき、なのか?そんなことを感じさせてくれる戯曲『un』。もしやこれは戯曲を選考する企画ではないのかもしれないが、この段階で判断するのは戯曲しかない。上演されたものを観てガッカリしないとも限らないが この手の作家は本が面白すぎて演出には不向きという場合がおうおうにしてあるものだ、そんな不安を吹き飛ばす公演を期待したい。
マキノノゾミ(劇作家・演出家)
戯曲および舞台表現のそれぞれには、まだ突出した部分が少なく不満も感じたが、全体的なバランスが良く、まとまりがある点を評価した。押し付け感のない軽やかなバカバカしさと独特の乾いたユーモアのセンスは、彼らの個性であり、最大の武器であると思う。
応募作が、これまでのような短篇コントのオムニバスではなく、長編作品となっている意欲も買う。近未来を設定する戯曲はよくあるが、「科学の発達により人間が排泄行為を必要としなくなった世界」というのは、なかなか類を見ない発想のセンスである。
これからの伸びしろの大きな集団であると思う。
小野寺修二(演出家)
今回は、シアタートラムで自分が観たいもの、その団体の可能性について考えながら参加させていただきました。その中で『パンチェッタ』に興味惹かれました。断片を繋ぎ、物語としていく、最小の道具で美術とするなど、共感できる瞬間が多くありました。新作では、断片の繋ぎではなく物語を語るとのこと。テキストも隙間を感じさせる、観客に想像を促すものでした。スタイルを踏襲しつつ、どう発展するのか?可能性と期待を感じます。ぐっと大きくなる空間でのチャレンジを是非観てみたい!そう思いました。
受賞コメント
一宮周平
この度は、第6回世田谷区芸術アワード“飛翔”に選出していただきとても光栄に思います。この賞の名前は飛翔。しかし私は飛ぶことも翔ぶことも出来ません。だからせめて跳べるように、前にある小さな壁を越え続けていけたらと思います。いつの日か大空を羽ばたいている私を夢見て。ぜひ11 月の公演を楽しみにしていただけたらと思います。この度はありがとうございます。
【Pancetta(パンチェッタ)】
一宮周平が企画、脚本、演出を行う団体。出演者、スタッフはその都度集められる。2013 年 5 月 22 日より活動。人間の身体を駆使し、表現の可能性を示唆する類を見ない表現を追求 し、 生でこそ価値のあるものづくりを念頭に面白さを追求し続けている。グリーンフェスタ 2017 、第9回せんがわ演劇コンクール グランプリ・オーディエンス賞・俳優賞、若手演出家コンクール 2018 最優秀賞・観客賞など各賞受賞。