みく 1年ぶりのライブ『みく アンティック-珈琲店-/【Lc5】~39 for “my family"~』オフィシャルレポ
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みく アンティック-珈琲店-/【Lc5】が1月6日に東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催した『みく アンティック-珈琲店-/【Lc5】~39 for “my family"~』のオフィシャルレポートが到着した。
「あのころはよかった」というノスタルジーではなく、「この人はやはり歌うべき人だ」という確信。1年ぶりにステージに立ったみくが抱かせてくれたものは、それだ。
2019年1月5日&6日に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催の『LIVE CAFE 15th Anniversary Year Grand Finale』公演を最後に、アンティック-珈琲店-は16年に及ぶ活動を封印し、みくはステージから遠ざかることになった。しかし、【Lc5】で共に活動していたドラマー・Akiの声かけをきっかけに、彼は1年ぶりにヴォーカリストとしてステージに立つことを決断。『みく アンティック-珈琲店-/【Lc5】~39 for “my family"~』と題し、2020年1月6日に東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて“一夜限りのライブ"を行うことを発表すると、
アンティック-珈琲店-と【Lc5】、2つのバンドのヴォーカリストであるみく。今回のライブを支えるのは、ドラム・Aki(【Lc5】/ Bräymen)、ベース・カノン(アンティック-珈琲店-)、ギター・Reo(【Lc5】)という、スペシャルな面々だ。
メンバーに続き、黒のゴージャスなファーコートをまとい、手を振りながらステージに現れたみく。「今日は集まってくれてありがとう! 楽しんで帰ってくださいね。僕も楽しんで歌います!」とイントロで笑顔を見せた待望の1曲目は、アンティック-珈琲店-の「Spring Snow」だ。マイクスタンドに手を添え、ソリッドなバンドサウンドに負けない歌声で健在ぶりを最初から見せつけた彼、1年ぶりにステージに立つその姿、耳に届く声に、どうしたってグっときてしまう。
ハンドマイクに持ち替えた【Lc5】の「Only you ~キミとのキヅナ~」では、「声ちょうだい!」「歌って!」というみくの声に、大きなかけ声で応えるオーディエンス。場内に漂っていた緊張感が、少しずつ解けていく。
「久しぶりです! みんなに会うのが照れくさくてしょうがなかったけど、この1年すごく寂しかったから、今日をすごく楽しみにしていました。僕は、メンバー、スタッフ、お客さんがいてこそステージに立てます。あらためてみなさん、ありがとうございます!
ていねいな感謝の言葉から、アンティック-珈琲店-の「スノーシーン」へ。【Lc5】のデビュー曲「Loveless」、アンティック-珈琲店-の「Cherry咲く勇気!!」、【Lc5】の「一秒間の愛し方」とエモーショナルなナンバーが続く中、メンバー同士アイコンタクトをする場面も。コートを脱いでみくもエレキギターを持った「メープルガンマン」では、歪んだリフをかき鳴らしながら「声出せ!」とアオったり、Reoと向き合ったり、Reo、カノンと3人で横並びになったり、華麗にギターソロを奏でたりと、目も耳も楽しすぎる。
1月5日に誕生日を迎えたばかりのみくを「おめでとう!」と口々にメンバーが祝い、ゆるーいトークで和ませる4人。「長い間、アンカフェと【Lc5】を混ぜると危険、みたいな雰囲気があったけど(笑)、こうしてみくがまたステージに立ってくれたことがうれしくてうれしくて」とAkiが感慨深げに言うと、「1年前、EX THEATERのステージで、もう歌うのはやめようかと思って。まさか自分がまたステージに立つなんて想像もしなかったけど、Akiくんからのお声がけがあって、メンバーやスタッフさんが手伝ってくれて、カフェっ仔(アンティック-珈琲店- ファンの呼称)、【Lc5】ファンのみんながこうして観に来てくれて、本当に感謝しています」と、みくも感無量な表情だ。
【Lc5】の切ないバラード「STORY」。「アンカフェの曲の中で一番好き」と過去にみくが発言し、のちのMCでAkiも「リリース当時、すぐ「この曲好き!」ってみくにLINEした曲を演奏できて幸せ」と言った「願い事は1つさ」。みくのファルセットが美しく響いた【Lc5】の「refrain」。メンバーも、オーディエンスも、それぞれに過去の記憶や現在の想いを重ねる時間は、本当に愛おしい。
「1年前にアンカフェのライブが終わったあと、自分なりの考え、その軸さえブレなければいいと思っていたんだけど……大切なものを失ったまま生活をしていくうちに、自分の生き方に対しての自信がなくなってしまって。こういう機会をいただいてまたステージに立てた今回、あらためて自分の目指す道、答えを見つけられたらいいな、と思っています」
正直な気持ちを言葉にするみく。多くのファンの偽らざる願いは、「みくには歌っていてほしい」ということなのではないだろうか。
「こんな話をして、次はめちゃめちゃポップな曲なんだけど」とい前置きをしたアンティック-珈琲店-の「ダックのマジカルアドベンチャー」では、みくがドナルドダックの人形を手にアヒル声を繰り出せば、オーディエンスも大きくコール。曲中、“甥や姪にお年玉を挙げるよきおじさんにさなれそうなのは?"とみくが投げかけて4人でわちゃわちゃと掛け合ったり、遊び心が止まらない。
さらに、「渋谷、まだまだいくぞ!」とみくが気勢を上げると……突然、Reoがバースデーソングのメロディを奏で始め、合唱するオーディエンス。みくが「え……ありがとう」と驚く中、バースデーケーキを持って登場したのは、なんとアンティック-珈琲店-のtakuyaだ。オーディエンスも騒然とする中、「めっちゃうれしい! せっかくだからギター弾いてよ!」とみくが頼んで、takuyaとゆうきの加入後、初めてリリースした曲「覚醒ヒロイズム」をtakuyaも加わって演奏することに! みく、Reo、カノンそれぞれと向き合い、ギターソロをセンターで弾くtakuya。各々の道を歩んでいっても、こうしてたまにでも顔を合わせて音を楽しめたら、それはすごく素敵なことである。
そして、みくのいかついシャウトが映えた【Lc5】の「TELL ME!!」に続き、オーディエンスのかけ声が水際立ったアンティック-珈琲店-の「MY HEART LEAPS FOR“C"」。“キミの笑顔があるから ココにいられる"“キミが不安な時は ボクが唄を歌う"というフレーズに込めた愛、「やっぱりライブは最高だね!」という言葉は、紛れもなく本物だった。
大きなアンコールに応え、再登場したみくとメンバー。ラストを飾ったのは、アンティック-珈琲店-の「スマイル一番イイ♀」だ。1階席、2階席の奥のほうまで見渡しながら、大きく手を振りながら、歌を届けてくれたみく。その心動かす歌声は、時にそっと寄り添い、時に背中を押し、時に救いにもなる。
「みなさん、本当にありがとうございました! 1年前、自分の足が止まってしまい、なにが自分に残されたのかを考えたりもしたんですけど……自分には大切な仲間がいた、それだけで十分だな、って思ったんですね。今日も、その幸せを噛みしめながらステージに立っていました。みなさん、出会ってくれてありがとうございました。僕の一生の宝物です。心の中で大切にしていくので、これからもよろしくお願いします!」
最後にみくが残したメッセージ、それは私たちにとっての希望、だと解釈している。みくが“宝物"を大事に想う限り、彼の歌声を生で聴ける機会は、きっとまたある。
文= 杉江優花
撮影=折田琢也
ヘアメイク=北瞳