全世界1億再生を達成したFLOWの熱きアニソン魂が燃え上がる! 『FLOW超会議2020 アニメ縛りリターンズ』レポート
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『FLOW超会議2020 アニメ縛りリターンズ』 PHOTO=Eri Shibata
数多くのアニメソングを手がけ、最近では『NARUTO -ナルト-』シリーズのナンバーを中心に北米、中南米、欧州、アジア各国など世界的な人気を博すロックバンド・FLOW。Spotifyで”海外で最も再生された国内アーティスト”としてトップ10入りも果たした彼らが手がけたアニメソングのみでセットリストを組み上げた伝説のライブ「アニソン縛り」が復活! 2月24日(月・祝)に幕張メッセ・イベントホールで開催され、世間を騒がすウイルス騒動も吹き飛ばすFLOWとファンの熱い想いが爆発したライブのレポートをお届けしよう。
仮面のあの男が開始早々ライブをジャック!? 粋な演出でライブはスタートから最高潮!
今年でキャリア18年目を迎え、その勢いは衰えるどころかますますパワーアップしていくFLOW。そんな彼らにとっては初となる幕張メッセ・イベントホールでのワンマンライブにして、2017&18年に行われた「アニソン縛り」再びということで、会場には6400人のファンが集結して満員御礼。
開演時間が近づき、場内にはライブに関する諸注意などのアナウンスが流れはじめるが、そのナレーションの声に場内が空気が一気に熱くなる。過去の「アニメ縛り」ではGRANRODEOの谷山紀章や声優の水樹奈々が受け持ったこの影ナレだが、今回担当したのは声優&アーティストの内田真礼! 彼女のミニアルバムにFLOWからギター・TAKEとベース・GOT'Sが楽曲提供やレコーディングで参加した縁で実現したという裏話も語られ、ファンもコンサートライトを輝かせて場内を真紅に染め上げながら、ライブへの期待を高めていった。
そしてステージ上のスクリーンにライブのオープニングムービーが流れ、客席もコンサートライトとクラップでそれに応え、いよいよライブ開始……と思った瞬間、突然画像が乱れてスクリーンに映し出されたのはギアスの紋章! そしてアニメ好きなら聞き覚えのある高らかな笑い声が鳴り響き……
PHOTO=Yasuyuki Kimura
「今夜はわたしが諸君の案内人をさせてもらうとしよう」
スクリーンに姿を現したのは『コードギアス 反逆のルルーシュ』のゼロ! 劇中で彼と黒の騎士団が見せたハッキング戦術をリアルで体感したオーディエンスからは爆発するような大歓声が!
「さて。此処にお集まりの諸君はFLOWのことが相当好きだと見える。無論。わたしも例外ではない。FLOWには感謝している」と告げたゼロが観客のコールを要求。そして「足りない! 足りないぞ! リピート・アフター・ミー! FLOW! FLOW!」とさらなるヒートアップを煽り、オーディエンスもそれに応えてヒートアップ。それに満足したゼロが自らのテーマをバックにライブの開催を宣言し、いよいよ三時間超に及ぶ熱い祝祭の幕が開いた。
暗闇に包まれた会場を青のレーザーが飛び交う中、スクリーンに映された『コードギアス 反逆のルルーシュ』のオープニングアニメと共に、同オープニングテーマ「COLORS」でライブがスタート。曲名通りに極彩色のコンサートライトとライティングで会場が染まる中、ボーカルのKOHSHIとKEIGOは開始早々からステージ前面のお立ち台に上がっての熱唱を繰り広げる。
PHOTO= Yasuyuki Kimura
「アニメ縛りリターンズ! 幕張! 楽しみ倒そうぜ!」
そんなKEIGOのゲキとともに、「WORLD END」「PENDULUM」と案内役を務めてくれたゼロに捧げるかのような熱くメロディアスな『コードギアス』ナンバー三連発に、会場の盛り上がりも一気にMAXへと達した。
PHOTO=Eri Shibata
KEIGOの歓喜に満ちた叫びと共に始まった最初のMCパートでは、新型コロナウイルスの影響で多くのイベントやライブが中止に追い込まれている中で、「どうしてもやりたかった!」このライブ実現のために協力してくれたスタッフやファンへの感謝の言葉が贈られた。そして「もう伝説作ろうぜ! 逆境って燃えるじゃん!」「イケるか幕張ー! やれるか幕張ー!」のゲキに合わせた歓声に場内が包まれる中、ライブは次なるパートへ。
「あの不思議で不思議でないような、人生が変わってしまうようでなにひとつ変わっていないような、とても奇妙でどこにでもあるような出来事」という『デュラララ!!』の竜ヶ峰帝人のモノローグと共に、4曲目となる『デュラララ!!×2 結』のオーニングテーマ「Steppin’out」がスタート。オープニングでのゼロ登場など、今回のライブでは歴代アニメ関連曲の映像や特別収録となる豪華声優陣によるセリフやナレーションの数々と共に歌を届けるという贅沢なライブ演出も大きな見所。すべての作品に愛とリスペクトを持って関わり、多くのアニメ関係者の方々からも長く愛されているFLOWだからこそ実現できた仕掛けに、会場やニコニコ生放送で観覧しているファンも曲ごとに歓喜の声を上げ続けることに。
PHOTO=Eri Shibata
緑・赤・紫とビビットなコンサートライトとレーザーの光に会場が輝き、タオルを振り回しながら熱唱するKOHSHIに合わせてファンも熱いグルーヴで応えた「Steppin’out」が終わると、ひりついた感情をじっくりと聴かせていく『PERSONA -trinity soul-』オープニングテーマ「WORD OF THE VOICE」から、疾走感あふれる熱い勢い満点の『べるぜバブ』オープニングテーマ「Hey!!!」を連続で披露。高校生達の想いと戦いを描いた三作品の多彩なテイストを、FLOWがいかに歌で表現したかを味わえるバラエティに富んだパートとなった。
「2年前に日本青年館でやって、ツアーも廻らせてもらって、帰って来たら幕張メッセになってました!」(KEIGO)と、曲を終えて「アニメ縛り」の思い出を語るMCの最中、会場にライブ開催のお祝いを告げる声が響く。KEIGOとKOHSHIの「誰?」というつれないリアクションを受けながらも登場したのは、異色ヒーローアニメ『サムライフラメンコ』の羽佐間正義。幕張メッセに迫るキング・トーチャーの怪人を撃退するためには、FLOWファンの声援が必要ということで、会場をあげての「サムラーイ!」「フラメンコ!」のコール&レスポンスで気合いを高めたところで、同作オープニングテーマ「愛愛愛に撃たれてバイバイバイ」で再び熱いライブがスタート。
前回のライブの際にこの曲に参加したサイリウムダンサー「GinyuforcE&RAB(リアルアキバボーイズ)」は、今回はメンバーを増員してステージに登場。FLOWの演奏に負けじと、激しくサイリウムを振り回してのオタ芸パフォーマンスを展開し、KEIGOとKOHSHIも負けじとウルトラオレンジのサイリウムを振り回しながら熱唱。アニメ×バンド×オタ芸の最強コラボに客席もクラブのごとき熱狂に包まれていった。
PHOTO=Eri Shibata
『サムライフラメンコ』の興奮が続く中、ノンストップでスタートしたのはヒーロー繋がり『ドラゴンボールZ』のコラボナンバー! 映画『ドラゴンボールZ 神と神』でFLOWがカバーした名曲「CHA-LA HEAD-CHA-LA」と、同作の世界観を熱いロックに仕立て上げた劇中歌「HERO ~希望の歌~」では、ドラゴンボールや悟空の道着を思わせるオレンジのライティング&コンサートライトの光で場内が輝きに包まれ、スクリーンに流れる悟空のバトルとFLOWのパフォーマンスも加わり、熱狂のボルテージはますます上がっていった。
そしてヒーロー繋がりのラストを締めるのは、日本のアニメとマーベルのコラボレーションから生まれた『HEROMAN』。幕開けを飾ったのはTAKE(ギター)、GOT'S(ベース)、IWASAKI(ドラム)によるインスト曲「INVASION」。迫りくる敵の出現と戦いの予兆をテクニカルな演奏と轟くようなビートで楽器隊が紡ぎ出したところに、KOHSHIとKEIGOが再び登場してエンディングテーマ「CALLING」がスタート。ここまで激しい歌が続いていただけに、ジョーイやリナ達が過ごす戦いの合間の日常をエモーショナルに歌い上げたこの曲では、会場のファンも伸びやかなボーカルをじっくりと聴き入っていた。
全曲がクライマックス! 作品世界を熱く盛り上げた珠玉のオープニングラッシュ!
「ずっと毎回クライマックス。そりゃそうだよ。だいたいアニメのタイアップって、オレらオープニングじゃん。エンディングだったらバラードがあってもおかしくないけど、オープニングでさ、疾走感がないとダメじゃん。だからずっと走ってる」
PHOTO=Eri Shibata
PHOTO=Eri Shibata
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PHOTO=Yasuyuki Kimura
そんなKOHSHIの言葉と共に始まった三回目のMCパートでは、楽器隊の面々も「(この景色は)冥途の土産になる!」(IWASAKI)「歓声が頼もしい!」(GOT'S)「ここにいる人もネット民のみんなも間違いなく優勝させるので、楽しんでいってください!」(TAKE)とここまでのライブへの想いを語った。そしてゼロによるオープニングの話にもなり、演じた福山潤がいくつもアドリブを加えたり、笑い声も何パターンも収録するなどノリノリで取り組んでくれていたことが明かされた。
PHOTO=Yasuyuki Kimura
FLOWのトークで盛り上がる中、会場に『交響詩篇エウレカセブン』のレントンとエウレカの声が届く。二人の言葉に続くようにオープニングテーマ「DAYS」が始まると、場内は広大な空とエウレカを思わせる青と緑のコンサートライトの光で埋めつくされていった。
光と共にさわやかな歌声が響く中、続いては一転して激しい戦いを感じさせるメロディが。ニルバーシュを駆るエウレカとアネモネの激しいバトルシーンの映像と共に始まったのは、ゲーム版『エウレカセブン』主題歌「Realize」。激しくアグレッシブな曲とアネモネのイメージに合わせて、場内も一転して熱い真紅の光で埋めつくされた。そして再びエウレカの少し大人びたモノローグが流れると、続いてはエウレカとレントンの息子・アオの世代の物語を描いた『エウレカセブンAO』のオープニングテーマ「ブレイブルー」へ。会場はその名の通りの海と空のような青い光に包まれ、夏の空を駆けるような伸びやかなボーカルが会場全体の青へと溶け込んでいった。
PHOTO=Yasuyuki Kimura
そんな爽やかなムードは、会場に響き渡る低く呻くようなSEでかき消されていく。それに重なるように流れてきたのは、人気ゲーム『テイルズ オブ ベルセリア』のヒロイン・ベルベットの慟哭。彼女の怒りと戦う様子に呼応するようにステージに炎が吹き上がり、同ゲーム主題歌「BURN」がスタート。重々しくも疾走感あふれるラウドサウンドに、ファンは炎のような赤いコンサートライトで会場を染め上げて応えていった。
PHOTO=Eri Shibata
激しい熱気に包まれた場内を涼しく静めるかのように、声を通じて会場に現れたのは『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』のスレイ、ミクリオ、ロゼ、アリーシャ達。彼らの語る旅の思い出と、スレイの「響け、風ノ唄」の言葉とともに始まったのは、同作のオープニングテーマ「風ノ唄」とエンディングテーマ「INNOSENSE」。涼やかな青の光で場内が包み込まれる中、イントロの「Wowow~!」ではファンも声を合わせて唄い、サビではともにクラップを鳴らす。続く「INNOSENSE」では戦いのマーチのような鬨の声をメロディと共に上げて、ステージと一体になって盛り上がっていった。
ラストを飾るのは世界中で愛されるFLOWの『NARUTO -ナルト-』ソング6連発!
すべての曲が盛り上がり続けた激しい「アニメ縛り」ライブもいよいよ終わりが近づいていく。
「僕ら、本当にありがたいことに、いろんな国でもライブをやらせてもらっています。その度に“日本のアニメは愛されているな”と実感します。そしてそのアニメと同じくらい僕らの曲も愛してくれているのをすごく感じます」とアニメソングを手がけることへの想いを言葉にするKEIGO。その証とも言えるのが、彼らが手がけた『NARUTO-ナルト-』のテーマソング「Sign」がサブスクリプト系サービスで2000万回再生を突破。さらにFLOW全体では1憶回再生を越えたという記録。その数字に込められたファンの応援の気持ちに対する感謝の気持ちが、今回の「アニメ縛りリターンズ」だったと語った。
そして「アニメの曲をただのタイアップだとは思っていない。アニメを作る人々が全てを賭けて作品に命を吹き込んでいるのを目の当たりにしているからこそ、自分たちも思いっきり作品とコラボレーションしているのだ、と。だからみんなに伝わっていると信じている」という気持ちを込めた曲として、ライブ・スペクタクル『NARUTO -ナルト-』イメージソング「光追いかけて」がスタート。
PHOTO=Eri Shibata
極彩色のコンサートライトと、ステージを包み込むようなまばゆい白の光の饗宴の中で曲が終わると、轟くような和太鼓のメロディが会場に響き渡り、それをバックに「みんな楽しんでっか!?」というナルトの元気な声が! 最後の声のゲストとして登場したのは『NARUTO -ナルト-』のナルト、サスケ、サクラ、ヒナタ、シカマルら木ノ葉の面々で、会場の盛り上がりに嬉しそうな声を上げる。そしてシカマルの「どんだけあったまってんのか、確認しとかねーと、な」という声からのコール&レスポンス。会場を揺るがすような歓声があがるが、ナルト達はそう簡単には納得せず「まさかこれでOKってわけじゃないよな?」(サスケ)「前回よりもっと大きな声、出せるわよね!」(サクラ)「もっと声、出せますかー!」(ヒナタ)とコール&レスポンス合戦はますますヒートアップ。5人揃っての「掻き鳴らせ!FLOW!」の声を合図に、『NARUTO -ナルト-』オープニングテーマ「Re:member」が鳴り響き、ナルトたちとFLOW、会場が三位一体となって盛り上がっていく。
PHOTO=Yasuyuki Kimura
さらにFLOWが次の世代の『BORUTO』の世界とコラボしたゲーム『NARUTO×BORUTO 忍者TRIBES』テーマソング「Break it down」では、忍び同士のバトルを彷彿とさせる音のせめぎ合いが場内のテンションを上げていく。
次なる『NARUTO -ナルト-』ソングは、彼らの少年時代の冒険を描いた『NARUTO -ナルト- 少年篇』のオープニングテーマ「SUMMER FREAK」、忍界大戦のドラマが描かれた『NARUTO -ナルト- 疾風伝』のエンディングで物語に寄り添い続けた「虹の空」と、ナルト達の成長と冒険を歌で振り返るような構成に、ファンも腕を振り上げながら物語の思い出に浸っているかのようだった。
そしてライブもいよいよクライマックスへ。
PHOTO=Eri Shibata
「まだまだいけるでしょー! 男いけるかー! 女子はどーですかー!」のゲキに合わせてのコール&レスポンスでFLOWとファン双方が気合いを入れ直して始まったのは、『NARUTO -ナルト-』ソングの代表とも言える「GO!!!」! ボーカルの二人がステージ端からスタンドの間近にまで近づき、会場の全員と声を合わせて「We are Fighting Dreamer!」を高らかに熱唱。そして「みなさん前回超えますよー! 伝説を作るぞー!」のかけ声と共に、ステージ前からスタンド奥に向けてのビッグウェーブも見事に決め、最後はファンのみの「We are Fighting Dreamer!」合唱から、会場全体に打ち出された黄金色のリボンが煌めく中で共に熱唱を決めて、最高の盛り上がりの中でラストを締めくくった。
PHOTO=Yasuyuki Kimura
いつものライブならこれで締めるのが定番だが、ここからKEIGOの熱い想いが溢れ出す。
「今日、歌わせてもらった全ての楽曲、全ての作品、そして目の前にいるみんながオレたちの誇りです。これからもオレたちにしか出来ないライブをやっていきます!よろしく!」
そう言って始まった本当のラストナンバーは、全世界で愛される『NARUTO -ナルト- 疾風伝』オープニングテーマ「Sign」。コンサートライトの青と狂い咲きのライティングが飛び交い、極彩色の世界となった会場でFLOWとファンが一体となって声を張り上げる。さらに生配信を通して応援をしていたファンの思いがこもったコメント弾幕がスクリーンに映し出され、このライブに参加したすべての人達の思いを一つに束ねる最高の大団円となった。
PHOTO=Eri Shibata
全24曲の熱いライブをやり遂げ、メンバー紹介ではFLOWの5人と、そして「最高のライブを作ったニコ生の前のみんなと幕張のみんなー!」と、この場所・この時間を共有したすべての人間がFLOWだと高らかに叫ぶKEIGO。そして客席をバックにした記念撮影や、再びの「Sign」を流しながらのエンドロールと感謝の挨拶、そして再びゼロが登場してFLOWとファンへの惜しみない賞賛と共に最高の時間は締めくくられた。
作品ととことん向き合って練り上げられたFLOWのアニメソングと、その熱量に応える作品やキャラクター達が生み出した特別なライブ。参加したファンは家路についた後、きっとまた作品を見返しているのではと思いたくなる一夜となった。
取材・文:斉藤直樹 撮影:Eri Shibata / Yasuyuki Kimura