「アイドル、芸能ジャンル」作品をセレクション/ホーム・シアトリカル・ホーム~自宅カンゲキ1-2-3[Vol.25] <2.5次元舞台編>

2020.5.27
コラム
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舞台

イラスト:春原弥生

自宅で。あるいは移動中に。はたまた時間がぽっかり空いたとき。そんなすきま時間に手に取れる演劇・ミュージカル・ダンス・クラシック音楽の映像作品を、エンタメ界隈に棲息する人々が「3選」としてジャンル・テーマ別に語り尽くします。今回は「演劇編」のなかから、世界でも注目を集め、いまやひとつのジャンルとして確立した、「2.5次元舞台」をお届けします。(SPICE編集部)


ホーム・シアトリカル・ホーム~自宅カンゲキ1-2-3 [Vol.25] <2.5次元舞台編>
「アイドル、芸能ジャンル」の作品をセレクション
by 松本裕美

【1】舞台『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ!』
【2】舞台『KING OF PRISM』
【3】2.5次元ダンスライブ『ツキステ。』、『S.Q.S』、『ALIVE STAGE』


今回は参加するのも楽しい「アイドル、芸能ジャンルの2.5次元作品」を紹介します。誰しも花の芸能界、キラキラ輝く世界に憧れた経験があることでしょう。今回紹介する作品はペンライト、サイリウムが必須です! おうちで楽しむ際には、劇場同様に少し部屋を暗くして、手には応援グッズを握りしめて、キラキラ輝く世界を堪能してみませんか。劇場での観劇とは異なり、持って良いものに制限はありません! 声を出して応援してよし! 踊ってよし! 尊さにむせび泣いてもよし! 思い思いに楽しんでください♪

舞台『あんさんぶるスターズ! オン・ステージ!』

【公演ダイジェスト映像】『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』~Night of Blossoming Stars~


アイドル、青春、学園もの……と3拍子揃った大人気アプリゲーム「あんさんぶるスターズ!」(略称「あんスタ」)の舞台版は2016年6月の初演を皮切りに、現在までに8作品が公開されました。「あんスタ」はキラキラした学園アイドルの成長物語ではなく、例えるなら【アイドルという国で制度に抗う革命児たちの物語】。メインストーリー(初演、『~Take your marks!~』、『~To the shining future~』)ではアイドル育成のための学校・夢ノ咲学院で制度を敷いた生徒会と、それに異議を唱える“Trickstar”たちのストーリーが展開されました。

鳴上嵐役の北村諒さんと神崎颯馬役(『~Destruction × Road~』)の神永圭佑さんはゲームでキャラクターボイスを担当する、“中の人”でもあります。声が似ているというのは、2.5次元舞台でも重要なファクターのひとつですが、その点のリアルさは大きな強みとなっています。リアルさで言えば山中健太さん(葵ひなた役)と山中翔太さん(葵ゆうた役)もリアル双子です。作品同様に芸能活動が長くベテランの方もいれば、『あんステ』(舞台版の略称)が初舞台の俳優さんもいて、キャラクターと俳優さんの親和性が非常に高い作品でもあります。

『あんステ』を含む、アイドルをテーマにした作品の舞台は、劇中で歌と踊りのライブパートがあり(ミュージカルとは少し違いますが)、ペンライトやうちわで彼らを応援することができます。ペンライトをカチカチして推しの色を準備するのも実は楽しいんですよね。今からライブが始まるぞ、という心の切り替えのスイッチでもあるんでしょうか。

舞台化の魅力は、原作では立ち絵と文字でしかなかったものが3次元(2.5次元)になって、知らなかった空白を表現してくれる感動にもあると思っています。例えば『あんステ』で言えば、初演の“UNDEAD”と“紅月”の対バンの場面では、それぞれのユニットの曲が2曲同時に再生され、パフォーマンスも交わるように主導権を争うかのように表現されています。これを見た時は「実際にはこういう状況だったんだ」と文字から想像していたものを越え、新たな視点を与えてくれたと思いました。

【『あんステ』作品】
『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』
『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』〜Take your marks!〜
『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』〜Judge of Knights〜
『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』〜To the shining future〜
『あんステフェスティバル』
『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』~Memory of Marionette~
『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』~Destruction × Road~
『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』~Night of Blossoming Stars~


本筋とは少しズレてしまうかもしれませんが、個人的に特筆したいのが姫宮桃李(役(初代)/星元裕月さん)です。メインストーリー最後の勝敗が出た時の、彼の行動と心境。直接、ストーリー内では描かれていない背景部分の演技がそこにあり、周りの祝福ムードに反して心を痛めたことを覚えています。細かいところの演技や表情は、演じる俳優さんがキャラクターを愛し、たくさん考えてくださっている証拠なのかもしれません。

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舞台『KING OF PRISM』

舞台キンプリ第2弾!舞台「KING OF PRISM -Shiny Rose Stars-」上演決定!

ペンライトやうちわなどを劇場に持ち込んで、まるで生のライブ同様に鑑賞することができる“応援上映”スタイルを確立した原作アニメーション「KING OF PRISM」(略称「キンプリ」)。そんな原作の魅力そのままに舞台での表現をプラスした公演です。

演じるのは橋本祥平さん(一条シン役)、長江崚行さん(香賀美タイガ役)、小南光司さん(神浜コウジ役)をはじめ、若手で勢いのある2.5次元俳優さんばかり。エーデルローズと敵対するシュワルツローズにもspiさん(大和アレクサンダー役)、古谷大和さん(高田馬場ジョージ役)など、歌唱力の高さやダンスの上手さに引き込まれていった人が多いことでしょう。シトロン役(MANKAI STAGE『A3!』)の時にも思いましたが、古谷大和さんはズルイ! キャラクターの魅せ方、輝かせ方を知っているかのようで、ステージに立つと自然と視線を奪われていることに気付きます。

2020年3月の『-Shiny Rose Stars-』公演でのゲネプロ前記者会見を取材させていただいた際、出演メンバー全員が脚本家・青葉譲氏の発言を、しっかりと顔を見て頷きながら一言一言かみしめながら聞く姿勢が印象的でした。キャラクターがプリズムジャンプに向けるものと同様に、俳優さんやスタッフさんたちも作品へ純粋に真っ直ぐに接しているのかなと応援したくなる舞台です。

作中でも使用されているTRFの「BOY MEETS GIRL」や「EZ DO DANCE」に代表される名曲は、原作を見ていない方でも親しみやすいですし、ペンライトを振りながらノリノリで応援できるシーンだと思います。そうして気軽に「プリズムの煌めき」を浴びてください。笑顔で歌って踊ってプリズムジャンプをする彼らを見ているだけで幸せになれますし、観劇後は「キラキラしたものをもらったな」と満たされた感覚になること間違いなしです。

【舞台『KING OF PRISM』作品】
『KING OF PRISM-Over the Sunshine!-』

『KING OF PRISM-Rose Party on STAGE 2019-』
『KING OF PRISM –Shiny Rose Stars-』


あとこれだけは言っておきたいのですが、見どころのひとつに「お風呂シーン」があります! 上半身のみならず、ギリギリを攻めてくるまさにサービスシーン。この値段(代)で……見ていいものなのか……? 舞台『キンプリ』も理解の範疇を軽々と二段飛ばしで超えていくのです。

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2.5次元ダンスライブ『ツキステ。』、『S.Q.S』、『ALIVE STAGE』

【BD】2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ第10幕 CM80秒

こちらも大人気作品を舞台化した作品です。原作のキャラクターCDシリーズ「ツキウタ。」に存在する架空の芸能プロダクション「ツキノ芸能プロダクション」に所属するタレントによる芸能活動で、それぞれ出演するグループごとに『ツキステ。』(Six Gravity、Procellarum)、『S.Q.S(スケアステージ)』(SolidS、QUELL)、『ALIVESTAGE(アライブステージ)』(SOARA、Growth)などが展開されています。さらに、脚本を担当するのは原作同様にふじわら氏です。誰よりもこの世界を知る方が関わっているということは、世界観の構築においてとても安心します。

シリーズ共通してお芝居パートとダンスライブパートに分かれていますが、最大の特徴が後半のダンスライブパートは声優さんの声(原曲楽曲)であるという点です。舞台で演じている俳優さんと原作で声を担当している声優さんとは別であるため、普段慣れ親しんでいる曲の声イメージとは異なり、「舞台はそこが苦手で……」という人もいることでしょう。ですが、この舞台ではその点の摩擦が非常に少なくなっています。そして「ダンスライブ」と銘打つ通り、ダンスの激しさやパフォーマンスのクオリティの高さは2.5次元舞台ではトップレベル。非常に見ごたえがあり、ペンライトを持って応援する側も、手に汗握るほどです。また客席通路を使用したハイタッチなどでファンサービスを浴びられるのも、客席参加型舞台として人気のポイントです。個人的に好きなのが、公演があるたびにどんどん色気が増す世良里津花役の阿部快征さん。本当に男性ですか……!?

2.5次元舞台の円盤には稽古場風景やバックステージ映像が特典で入ることが多いですが、シリーズのバクステ映像は特典のみで200分超えになるものもあり、その長さに衝撃を受けます。キャストさんたちのわちゃわちゃを見るのも楽しいですし、真剣に稽古している様子はドキュメンタリー番組なのかと錯覚してしまうほど。単に完成された公演本編だけでなく、どんな想いでどんな苦労をしてキャラや作品に向き合ったのかが見たいと思うんです。作品やキャラクターのファンとしては、俳優さんがキャラクターと真剣に向き合って血の通ったキャラクターを作り上げてくれる様は見ていて嬉しくなってしまいますよね。

【2.5次元ダンスライブ作品】
2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』ステージ
・第一幕~第十一幕 (2020年5月現在までの発表時/
第十一幕は公演中止
2.5次元ダンスライブ『S.Q.S(スケアステージ)』

Episode1~6 (2020年5月現在までの発表時/Ep6は公演中止)
2.5次元ダンスライブ『ALIVESTAGE(アライブステージ)』

Episode1~3 (2020年5月現在までの発表時/Ep3は公演中止)


そういう意味でもDVD・Blu-rayの特典映像が好きだったりします。好きな作品ならお金は払うから、特典映像長くしてください(笑)。

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女性向けジャンルの世は、アイドル・芸能ジャンル戦国時代! 『劇団シャイニング(うたの☆プリンスさまっ♪)』や『A3!(エーステ)』、『アイチュウ ザ・ステージ』などほかにもアイドル・芸能作品があります。たくさんキラキラを浴びて元気に毎日を過ごしましょう!

文=松本裕美

作品情報

舞台『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』
 
公演日程:2016年6月初演~
原作:『あんさんぶるスターズ!』(Happy Elements K.K)
脚本:赤澤ムック
演出:宇治川まさなり
 
発売元:マーベラス
販売元:アニメイト
 
(C)2016 Happy Elements K.K/あんステ製作委員会

舞台『KING OF PRISM』
 
公演日程:2017年11月初演~
原作:タカラトミーアーツ、シンソフィア、エイベックス・ピクチャーズ、タツノコプロ
脚本:青葉譲
演出:宇治川まさなり
 
発売元・販売元:エイベックス・ピクチャーズ
 
(C)T-ARTS  / syn Sophia / エイベックス・ピクチャーズ / タツノコプロ /「KING OF PRISM -Shiny Rose Stars-」製作委員会2020

2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』ステージ
2.5次元ダンスライブ『S.Q.S(スケアステージ)』
2.5次元ダンスライブ『ALIVESTAGE(アライブステージ)』
 
公演日程:2016年4月初演~(『スキツテ』)
公演日程:2018年5月初演~(『スケステ』)
公演日程:2019年5月初演~(『イブステ』)
原作・脚本:ふじわら(ムービック)

発売元・販売元:ムービック


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